キヤノン EF28-300mm F3.5-5.6L IS USM
インスピレーション
(2008.03.08 最終更新)
2004.06.26に発売された、キヤノンの高倍率ズームレンズ、「EF28-300mm F3.5-5.6L
IS USM」。
旧モデルの「EF35-350mm F3.5-5.6L USM」のリファイン版として登場。強力なIS(手ぶれ補正機能)を搭載し、デジタル一眼レフカメラを想定した光学系へと一新され、最新技術満載のレンズへと変貌を遂げた。
28-300mmと高倍率ズームながら、タムロン、シグマとは傾向が全く異なる超ど級レンズ。Lの称号を掲げるだけあり、その実力は如何なるものでしょうか?
細かい前置きはどーでも良いので、早速レポートをどうぞ。

手持ちのレンズをバックに撮影。外観はEF35-350mm F3.5-5.6L USMとほぼ同一。
付属のフード(EW-83G)は花形で植毛加工された本格的なものだが、
フルサイズ対応でもあり広角側のケラレを防止するため、サイズが控えめなのは止むを得ない。

左側面に各種スイッチが並ぶ。ISの切り替えがON/OFF表示となり、旧来のISレンズよりも分かりやすくなった。
スイッチは意外と軽く、バックの中でずれる時があり。
いざ撮影すると、AFやISがOFFに切り替わってしまうこともままある。

上が広角側で縮めた状態、下が望遠側で伸ばしきった状態。
ズームは直進式で、一般的な回転式とは異なり、筐体を前後する事で広角−望遠を切り替える。
ボディが相当重く(本体:1,670g)、ズーミング中に手元が震えやすいので、可能であれば三脚or一脚は用意したい。
前後の動きの固さについては、リングを回すことで調整可能。
− 使用感について −
3年余り使用した感想です。ざっくばらんに書いてみました。
28-300mmの機動力を生かすには、ある程度の努力(=筋力アップ)が必要でしょうか。
画質は並みの高倍率ズームを圧倒。AFも高速かつ正確な部類。
動体予測AF(AIサーボ)使用時でも迷いが少なく、安心感も高い。
AFの安定感に関すれば、超望遠系の単焦点レンズより上かも知れない。 |
| 極めて強力かつ省電力のISが魅力。手ぶれ補正機能は最強ながら、電池の消耗量はIS非搭載レンズと遜色なく、AFの速度低下も殆ど無視出来る。 |
高倍率ズームとは思えぬシャープさ、デジタル一眼レフとの相性は最高。
ヘタな単焦点レンズよりは、描画力は優る可能性は高い(特に逆光時)。 |
しかし高倍率ズームの宿命か、周辺部の歪みは(特に広角側)は不可避。
単焦点のLレンズと比べると、描画力はやはり劣る模様。
一部には70-200mm F2.8Lと互角説もあるが、それは疑問。24-70mm F2.8辺りの世代よりは、描画性能が多少劣る可能性大。 |
| 本体1,670Kgの重さは体に堪える、カメラ込みだと最低でも2kg半ばとなり、筋力の弱い方には辛い重量と言わざる得いない。 |
直進式ズームは慣れないと使い勝手で難あり。
300mmだと微妙にロックがかかり、広角側に引き戻す際に余計な力が入り、 ズーミングがワンテンポ遅れるのは弱点。
ただ、半年以上使い込んだ時点で、ロックは自然に?解消された。 |
ISは搭載するが、基本的に手持ち撮影には不向き。
慣れれば自在に振り回せなくもないが、しっかりした三脚か一脚は欲しいところ。 |
F値は3.5-5.6と暗めなので、暗所は弱め。この辺は並みの高倍率ズームと大差ないので注意。
ただ、ISO800程度に上げてもノイズは極少、キヤノンの機種は高感度に強いため、十分クリアな画質が得られる。 |
Kiss Digitalや20D/30Dのグリップは、お世辞にも頼りない。
ボディが滑りやすく、しばらくボディを握っていると手が痛くなるのはご愛嬌。
本来ならば、D1系統とのペアが正解だろう(・・・て、さすがに高過ぎて手が出ない)。 |
防塵・防滴構造ではあるが、直進式ズームなので、どうしても埃は吸いやすい。
大雨時に撮影後、レンズ内に水滴がたまって修理に出した経験あり(一応は防水カバーは装着したが・・・)。 |
購入から2年半後に、内部のねじが外れて修理に出した。
動きが激しい直進式ズームの宿命だろうが、「L」の称号を語るだけに残念。
修理は1週間弱で終了。費用は・・・忘れた。 |
− 強力なISとエントリークラスを遥かに上回る画質が魅力 −
取り敢えずの撮影サンプル&各種レンズとの比較です。一部の写真を除き、画像をクリックするとオリジナルサイズでご覧頂けます。
ISは常にON(モード1)で撮影しています。
高倍率ズーム対決:望遠側300mmでの撮影
(画像をクリックすると実サイズで表示されます) |
キヤノン
EF28-300mm
F3.5-5.6L IS USM
 |
シグマ
28-300mm F3.5-5.6
MACRO
 |
| 絞り優先AE(F5.6) , AWB , ISO 100 , JPEG Large Fine |
この勝負はキヤノンが圧勝。条件によっては更に差が出そうで、普及クラスの高倍率ズームがつけ入る隙は全くなさそうだ。
特に周辺部の違いに着目。ただ、フルサイズの場合は共に光量の低下が激しい模様につき、APS-C環境での前提つき。 |
単焦点レンズとの対決1:100mmでの撮影
(画像をクリックすると実サイズで表示されます) |
キヤノン
EF28-300mm
F3.5-5.6L IS USM
 |
キヤノン
EF100mm
F2.0 USM
 |
| 絞り優先AE(F5.0) , AWB , ISO 100 , JPEG Large Fine |
非L系の単焦点レンズとは互角に渡り合える描画性能。
中央部の解像力では、むしろ普通の単焦点レンズを上回るかもしれない。
背景のボケ具合に関すれば、 EF28-300mm F3.5-5.6L IS USMの方が硬質で、高倍率ズームの束縛から完全に脱してはいない。 |
単焦点レンズとの対決2:300mmでの撮影
(画像をクリックすると実サイズで表示されます) |
キヤノン
EF28-300mm
F3.5-5.6L IS USM
 |
キヤノン
EF300mm
F4.0L IS USM
 |
| 絞り優先AE(F8.0) , AWB , ISO 100 , JPEG Large Fine |
さすがにEF300mm F4.0L IS USMにはかなわない。画質のキレ・ボケ具合共に、Lの単焦点(ものにもよるであろうが)の領域には届かない。
但し、ISの効果とAFの高速性では、新型のユニットを搭載するEF28-300mmF3.5-5.6L
IS USMが圧倒的に勝る。 |
| IS(手ぶれ補正機能)のON/OFF比較 |
IS ON
 |
IS OFF
 |
面倒くさいので、絞り優先AE(F5.6)で撮影
シャッター速度は共に1/10程度
AWB ISO 100相当 JPEG Large Fine |
シャッター速度比、3段分ISの効果は絶大!サンプルは暗い室内で無謀にも300mmで手持ち撮影したが、余りの威力に舌を巻いた。
これは強力な武器。但し基本はしっかり構えての撮影。
ISをONにしてもAF速度の低下とバッテリの消耗は極小なので、常にONで構わないと思う。 |
キヤノン EF28-300mm F3.5-5.6L IS USMで撮れ!
川崎フロンターレ編:その1
(画像をクリックすると実サイズで表示されます) |
 |
30D , 絞り優先AE(300mm F6.3 1/1600秒) , 太陽光 , ISO 640 ,
JPEG Large Normal , sRGB , ピクチャースタイル : スタンダード
シャープネス : 4 , 色の濃さ : +1 , 色合い : -1
サイドを駆け上がる森選手の姿、動体予測AFが正確に動きをとらえた。
F6.3なので背景はごちゃごちゃ気味であるが、
プロ用途で無ければ十分な画質と言える。
なお、サッカーの撮影時は撮影枚数が増えるため、
JPEG Normalで撮影しているのはご愛敬。 |
キヤノン EF28-300mm F3.5-5.6L IS USMで撮れ!
川崎フロンターレ編:その2
(画像をクリックすると実サイズで表示されます) |
 |
30D , 絞り優先AE(280mm F5,6 1/1000秒) , AWB , ISO 1600 ,
JPEG Large Normal , sRGB , ピクチャースタイル : スタンダード
シャープネス : 4 , 色の濃さ : +1 , 色合い : -1
ヘディングでボールをクリアする、寺田選手のプレー。
ISO1600とは信じ難いノイズの少なさに感激。
これだけ美しく撮影出来れば、アマチュア用途では満足度は高い。
AFも俊敏かつ正確、プロご用達の1D系で無くてもここまで撮れる。 |
キヤノン EF28-300mm F3.5-5.6L IS USMで撮れ!
川崎フロンターレ編:その3
(画像をクリックすると実サイズで表示されます) |
 |
30D , マニュアル(300mm F5.6 1/1000秒) , AWB , ISO 3200 ,
JPEG Large Normal , sRGB , ピクチャースタイル : スタンダード
シャープネス : 4 , 色の濃さ : +1 , 色合い : -1
等々力陸上競技場でのナイター撮影、F5.6までしか稼げないので
必然的に最高感度の撮影となる。
とは言えISO3200とは思えぬノイズレスな画質。等々力陸上競技場は
ピッチ上が明るいので、ナイター撮影も楽にこなす。 |
キヤノン EF28-300mm F3.5-5.6L IS USMで撮れ!
川崎フロンターレ編:その4
(画像をクリックすると実サイズで表示されます) |
 |
30D , マニュアル(220mm F5.6 1/1000秒) , AWB , ISO 640 ,
JPEG Large Normal , sRGB , ピクチャースタイル : スタンダード
シャープネス : 4 , 色の濃さ : +1 , 色合い : -1
写真は韓国でのナイター、明るさは日本より劣るため、F5.6はさすがに厳しい。
ただ、ホームページ用途であればレタッチで救える範疇。
暗所でもAFの精度は高い。海外でも信頼できる相棒。 |
キヤノン EF28-300mm F3.5-5.6L IS USMで撮れ!
鉄道編:その1(画像をクリックすると実サイズで表示されます) |
 |
30D , マニュアル(280mm F7.1 1/800秒) , 太陽光 , ISO 200 ,
RAW (DPP 3.0にてJPEG変換) , sRGB , ピクチャースタイル : スタンダード
シャープネス : 4 , 色の濃さ : +1 , 色合い : -1
高倍率レンズは鉄道撮影者には不人気なジャンルなようだが、
特急電車の撮影にチャレンジ。
動体予測AFの追随性も万全、新幹線のような超高速移動体で無ければ
撮影は極めて快適、画質も十分及第点。
しいて弱点を挙げれば、背景ボケが若干さわがしい程度だろうか。 |
キヤノン EF28-300mm F3.5-5.6L IS USMで撮れ!
鉄道編:その2(画像をクリックすると実サイズで表示されます) |
 |
30D , 絞り優先AE(285mm F7.1 1/60秒) , 太陽光 , ISO 200 ,
RAW (DPP 3.0にてJPEG変換) , sRGB , ピクチャースタイル : スタンダード
シャープネス : 4 , 色の濃さ : +1 , 色合い : -1
ホームに進入する201系、シャッタースピードは僅か1/60秒。
超望遠撮影ながら手ぶれも抑制、いい加減な写真と思いきや、
それなりな写真が撮れてしまった。
一脚併用の前提付きながらも、ISの強力さを再認識させられた一枚。 |
キヤノン EF28-300mm F3.5-5.6L IS USMで撮れ!
鉄道編:その3(画像をクリックすると実サイズで表示されます) |
 |
30D , マニュアル(190mm F6.3 1/640秒) , 太陽光 , ISO 200 ,
RAW (DPP 3.0にてJPEG変換) , sRGB , ピクチャースタイル : スタンダード
シャープネス : 4 , 色の濃さ : +1 , 色合い : -1
猛烈な逆光下であったが、果敢に撮影にチャレンジ。
EF28-300mm F3.5-5.6L IS USMの逆光性能は、キヤノンのレンズ中でも
最強クラス、多レンズ構成のハンデは微塵も無い。
こんなシチュエーションならば、単焦点レンズと互角の画質。
利便性を考慮すれば、積極的に使いたい。 |
キヤノン EF28-300mm F3.5-5.6L IS USMで撮れ!
マクロ撮影編:その1(画像をクリックすると実サイズで表示されます) |
 |
30D , 絞り優先AE(190mm F9.0 1/400秒) , 太陽光 , ISO 160 ,
JPEG Large Fine , sRGB , ピクチャースタイル : スタンダード
シャープネス : 4 , 色の濃さ : +1 , 色合い : -1
最短撮影距離は70cmと近接撮影もこなす、ならばマクロ撮影に挑戦。
結果はご覧のとおり、専用のマクロレンズと比較するとシャープさは劣るが、
一見すると見分けがつかぬ、高い描画性能には驚いた。
発色も原色に忠実、色収差も皆無で植物の繊毛もしっかりと描画。
円形絞りの賜物だろうか、背景のボケ具合は美しい。
ただし、ピントリングは細くて重いため、MFはかなりやりにくい。 |
キヤノン EF28-300mm F3.5-5.6L IS USMで撮れ!
マクロ撮影編:その2(画像をクリックすると実サイズで表示されます) |
 |
0D , 絞り優先AE(250mm F7.1 1/640秒) , 太陽光 , ISO 160 ,
JPEG Large Fine , sRGB , ピクチャースタイル : スタンダード
シャープネス : 4 , 色の濃さ : +1 , 色合い : -1
花の撮影にチャレンジ。ピクセル等倍で観賞すれば、アラは結構目立つ。
それでも数分の一サイズに縮小すれば、マクロレンズとの判別は困難。
ISは前後方向の手ぶれには無力なので、三脚は用意したい。 |
キヤノン EF28-300mm F3.5-5.6L IS USMで撮れ!
夜間撮影編(画像をクリックすると実サイズで表示されます) |
 |
30D , 絞り優先AE(28mm F6.3 1/20秒) , オート , ISO 1000 ,
JPEG Large Fine , sRGB , ピクチャースタイル : スタンダード
シャープネス : 4 , 色の濃さ : +1 , 色合い : -1
広角端の夜間撮影、手持ち撮影なので腕に負担がかかる。
描画についてはご覧のとおり。十分に満足し得るレベル。
コンクリートの筋も鮮明に撮影、静止物であればISの威力がフルに発揮。 |
キヤノン EF28-300mm F3.5-5.6L IS USMで撮れ!
ポートレート編(画像をクリックすると実サイズで表示されます) |
 |
30D , マニュアル(300mm F5.6 1/125秒) , オート , ISO 1600 ,
JPEG Large Fine , sRGB , ピクチャースタイル : スタンダード
シャープネス : 4 , 色の濃さ : +1 , 色合い : -1
タイにてダンサーを撮影、夜間舞台と過酷な条件ながら、
躍動感とセクシーさを引き出せたようだ(?)。
EF28-300mm F3.5-5.6L IS USMは、
パパラッチご用達レンズと評する向きもあるようだが、
撮影中はちょっぴりパパラッチ気分(あからさまな盗撮はダメですが)。 |
キヤノン EF28-300mm F3.5-5.6L IS USMで撮れ!
スナップ編(画像をクリックすると実サイズで表示されます) |
 |
30D , 絞り優先AE(35mm F9.0 1/250秒) , 太陽光 , ISO 160 ,
JPEG Large Fine , sRGB , ピクチャースタイル : スタンダード
シャープネス : 4 , 色の濃さ : +1 , 色合い : -1
近所の裏路地を適当に撮影。ある程度絞るとシャープさもアップ。
青空はあっさりとした配色、コダックやオリンパスの濃色系とは相反であり、
この辺りは好みが分れそう。
周辺域の歪みであるが、APS-C機ではほとんど気にならないが、
フルサイズ機の場合はそれなりに歪み、周辺域の光量落ちも激しいらしい。 |
|
キヤノン EF28-300mm F3.5-5.6L IS USMで撮れ!
こいのぼり編(画像をクリックすると実サイズで表示されます) |
 |
30D , 絞り優先AE(100mm F7.1 1/640秒) , 太陽光 , ISO 125 ,
RAW (DPP 3.0にてJPEG変換) , sRGB , ピクチャースタイル : スタンダード
シャープネス : 4 , 色の濃さ : +1 , 色合い : -1
空中を元気に泳ぐこいのぼり。
右上の棒の木目も鮮明に描画、細部の解像力もなかなかのもの。
重さとサイズを苦としないのであれば、お散歩レンズとしても悪くはない。 |
EOS Digitalを楽しもうに戻る
トップページに戻る