川崎フロンターレ VS FC東京
J2 第32節
日 時 | 1999年10月24日 14:01 | |||
試合会場 | 等々力陸上競技場 (神奈川県川崎市) | |||
天 候 | 晴れ | |||
観 客 数 | 13812人 | |||
試 合 結 果 | ||||
川 崎 | 2 | 前 半 | 2 | 東 京 |
1 | 後 半 | 0 | ||
桂(12分) 久野(36分) ツゥット(60分) |
得点者 | 奥原(2分) 加賀見(43分) |
||
3 | 計 | 2 |
J2最大のライバル、FC東京との一戦。
東京は、ナビスコ杯準決勝で、アマラオ選手(背番号11:FW)が負傷退場し、それ以後はリーグ戦3連敗と苦しい布陣での戦いを強いられている。
この日負けると、大分トリニータとの勝ち点差が急接近することも予想され、必死の抵抗が予想される。
対するフロンターレは、久方振りの等々力グランドでのゲーム。
J1昇格&優勝に向けて、眼下の東京を打ち破りたいところ。
試合開始から1時間30分以上も前にだというのに、FC東京のサポーターはすでに激しい気勢を上げている。
この熱気は、やはり只者ではありません。
FC東京応援フラッグのニューカマー
10月末の陽気とは思えない気温&日差しの中、両者の応援は最高潮に達し、試合は開始される。
立ち上がりは、東京が中間距離からフロンターレサイドにパスを放り込み、それをフロンターレディフェンスがはじき返す展開。
・・・のはずが、開始早々2分、東京の奥原選手(背番号10:MF)が左サイドの縦パスを、転がりながらもノートラップで蹴りこみ、いきなり先制点の洗礼が。
フロンターレのサポータからは、大きな嘆きが、そして東京のサポーターからは得意の東京ブギウギが響き渡る。
フロンターレも攻め返すが、東京の左右変化なパス回しにディフェンダーが翻弄され、流れをつかめない。
カウンターからツゥット選手(背番号9:FW)のヘッドに合わせるのの、ボールはゴールポストにはじかれる。
続けてティンガ選手(背番号10:FW)もボールを押し込もうとするが、無情にもホイッスルが鳴ってしまう。
サポーターからは、ため息ばかりこぼれてしまう。
東京の厚い攻撃は、容赦なく続く
だが、10分を過ぎると、フロンターレの攻撃パターンが徐々にできあがる。
東京に攻め込まれる中、久野選手(背番号23:MF)のスルーパスが、ツゥット選手にいいリズムで繋がる。
これは東京に潰されるものの、ゴール前の混戦となり、最後は桂選手(背番号12:MF)がゴール前フリーとなり、身長の低さを感じさせないヘッドで同点に追いつく。
等々力の席を埋め尽くした青いサポーターは、これで俄然活気づく。
得点後は両者様子をうかがい、落ち着いた展開に。
その静寂を破るかの如く、ツゥット選手が豪快にミドルシュートを放ち、東京ディフェンス陣をあわてさせる。
東京は細かいパスワークで川崎サイドに攻め込むも、中西選手(背番号14:DF)の冷静な蹴り出しで阻まれる。
20分過ぎると、フロンターレは左サイドのラインが機能するようになる。
東京のハンドから、鋭いリスタート。久野からツゥットのホットラインは相手に大きなプレッシャーを与える。
守備はまだまとまりがないものの、全員気合で攻撃を防ぐ。
地を這う東京のロングシュートも、ディフェンスが体全体で当り防ぐ。
続けて東京のコーナーキックは、サンドロ選手(背番号3:DF)の頭に合わせたものの、フロンターレ浦上選手(背番号1:GK)が余裕の守りでセーブ。
さらに東京 奥原選手へのロングボールは、フロンターレ佐原選手(背番号3:DF)がヘッドで競り勝ち、攻撃の芽を潰す。
本音を書くと、この日は日差しが異様に強く
デジタルカメラの液晶ファインダーがまったく役に立たない
そのため慣れない光学ファインダー越しの撮影となり
いいチャンスはつかめなかった(ゴメンナサイ)
30分近くになっても、フロンターレ左サイドの攻撃は緩まない。
ツゥット選手がするりと東京のディフェンスをかわし、鋭いクロスボールをあげる。
それを大塚選手(背番号16:MF)が右サイドからシュート。これは惜しくもポスト左にそれてしまう。
またディフェンス面もますます強固となる。
中盤でアウミール選手(背番号15:MF)がボールを持つと、すかさず数人が取り囲み、自由なプレーを絶対に許さない。
東京は中盤で細かなパスワーク。しかしフロンターレのマークが厳しく、前線への突破を図れない。
フロンターレ森川選手(背番号29:DF)の守りは
波がなく、安心して見ていられる
(頼むから来年もフロンターレでプレーさせてください:柏レイソル殿)
そして35分過ぎ、 森川選手からの長いフリーキックは、ゴール前左サイドのティンガ選手に直接渡り、相手DFに倒され、絶好の位置でフリーキックを得る。
そこは久野選手の得意の位置。右足から繰り出されたボールは弧を描き、すっと東京ネットを揺らす。
フロンターレ、十八番のパターンで2点目をゲットした。
J1昇格に向け後がない東京は、必死に反撃を開始するも、焦りのためかフロンターレに中盤付近でカットされる。
フロンターレは、ティンガ選手が正面よりシュート。これは相手キーパー鈴木選手(背番号22)の正面へ。
東京もロングパスを多用し、ゴール付近の選手に繋ごうとするも、浦上選手が良い飛び出しを見せて、チャンスを潰してしまう。
東京は足元から抜こうとするも、フロンターレ佐原選手(中央)の足に
当たってしまう
しかし東京は決して諦めない。
前半終了直前、再三フロンターレサイドに押し込み、最後は加賀見選手(背番号13:MF)が体勢を崩しながらも右足で蹴り込む。
ボールはフロンターレゴールの左隅にすい込まれ、嫌な時間帯に同点に追いつかれる。
ロスタイム、フロンターレはカウンターより抜け出したティンガ選手が右サイドから豪快にミドルシュート。
相手キーパーの手は届かない。だが、ボールは無情にもポスト左枠をかすめるかのごとくそれてしまう。
ここで前半終了。トップ同士の戦いにふさわしく、緊迫したシーソーゲームが展開された。
この日はアルバイト情報誌「an」で有名な
学生援護会の主催ゲーム
残念ながら特製プレゼントは当たらず
フロンターレの感動的なプレーは、富士通系列のみならず
新たなスポンサーを開拓できそうです
後半開始早々、両者ともに左右前後にボールをかき回し、激しい攻撃の応酬となる。
動きはめまぐるしく、見ているものを落ち着かせない。
共に豪快なシュートを連発するも、ディフェンスが体を張って防ぎ切る。
序盤は東京の厳しい攻撃が。
右サイドから鋭く攻めあがり、放ったシュートは大きくふかす。
さらに奥原選手が正面からヘッド。これは勢いがなく浦上選手ががっちりとセーブする。
東京は続けてサイドチェンジからのボールを、短めのパスで繋ぎ、走りこむアウミール選手に渡す。
フロンターレディフェンスは何とか追いつき、何とか攻撃を防ぐ。
東京のDF、サンドロ選手と小峯選手(背番号26:DF)が
自陣でパス回しをし、味方FWの体力を温存させる
これにはフロンターレサポーターからブーイングが
フロンターレも少ないチャンスをものにすべく、長橋選手(背番号20:MF)を中心に、前半とは逆に右サイドからえぐるパターン。
ボールはティンガ選手の頭に合わせたものの、ポストの枠には入らず。
試合はますます白熱し、中盤が荒れた展開となる。
東京の反則が多くなり、流れはフロンターレに傾く。
そして後半15分、長橋選手がゴール前右サイドから不規則な動きで正面に持ち込み、ツゥット選手にパスを渡す。
それをゴロで蹴りこむ。勢いはなかったが、キーパーは逆をつかれ体は微動だにせず。
フロンターレ、最高の時間帯に3点目をゲット。再び東京を突き放した。
サポーターの喜びも最高潮。辺りから歓喜の声援が沸き起こる。
応援の中心は2階席
その喜びようは半端ではない
※画像をクリックすると、競技場の応援がちょっとだけ聞けます
(WAV形式:32Kbyte)
点をあげても、ツゥット選手(中央)の切り替えは素早い
攻撃を緩めるなど、彼の頭には毛頭ない
その後は一方的にフロンターレペースとなる。
ツゥット選手はシャープな動きで東京ディフェンスを翻弄し、ティンガ選手も負けない動きで応酬する。
東京はフロンターレの攻撃を、イエローカードで止めるのが精一杯となる。
東京もアマラオ選手の代役、鏑木選手(背番号17:FW)がドリブルで持ち込むも、佐原選手がいとも簡単にクリアし、格の違いを見せつける。
フロンターレは久野選手と桂選手が続けざまにシュート。
シュートの嵐に対し、東京のGK鈴木選手も堪えるのがやっとである。
フロンターレ長橋選手(左から2番目)の芸術的ドリブル
このあとツゥット選手に繋ぎ、ノートラップで放ったシュートは
惜しくもミートせず
東京はセンターライン付近から縦パス一本で送ろうとするも、佐原選手のヘッドにはまってしまう。
ここでオーロラビジョンに観客数の発表が。
なんと13812人!!この数字に観客はどよめき、さらに応援のボルテージは上がる。
私の近くにも、選手の名前が知らないサポータが沢山いました
序々ではありますが、新たなファン層を開拓しているのは
間違えありません
後半30分を過ぎると、勝利に飢えた東京が決死の波状攻撃を展開する。
フロンターレはディフェンスが結団し、激しい攻撃を懸命に堪える。
シュートの嵐となるが、浦上選手を中心とした守りは、決してゴールを許さない。
更に東京は、変化なパスを用い、攻撃の形を変えながら、フロンターレサイドをがんがん攻めまくる。
だが、フロンターレは集中力を切らすことなく、厳しい攻撃を防ぎ切る。
これにはフロンターレサポーターから、熱い拍手が沸き起こる。
中盤での激しい攻防
フロンターレは桂選手に変え、伊藤彰選手(背番号19:MF)を投入。東京の息の根を止めにかかる。
東京はアウミール選手にボールが渡るものの、ツゥット選手が執拗にまとわりつき、苦し紛れのパスを送る。
それはフロンターレのティンガ選手に渡り、一気にカウンター。最後にシュートまで持ち込む。
カウンターで攻め込むティンガ選手
東京も最後に食らいつき、アウミール選手が倒れながらも放ったシュートは、勢いよくポストの上へ。
ここで試合終了。フロンターレは劇的な勝利を飾ることで、J1昇格に向け王手をかけた。
次節の札幌戦で90分以内で勝利をおさめると、J1昇格条件である2位以上が事実上確定する。
夢のJ1まで、あと僅かである。
試合後はもちろん、選手からサイン入り生写真を頂戴するために、競技場入り口の鉄柵に陣取る。
選手が乗ってきたバスの近くには、多くのサポータで既に埋め尽くされかけている。
空いているのは、フロンターレの旗が固定してある位置のみ。止む無くそこで待ち構えていると、警備員の人が寄ってきて、「邪魔でしょう」と旗を取り外しにかかる。
私も手伝い。目の前の障害物は無くなり準備万端。
選手のみならず、警備員の機転まで評価できますね。
30分近く待つと・・・先陣を切って伊藤彰選手が登場!したはずが、あたりのサポータを気にする様子もなく、帰りのバスに一直線に乗り込む。
あれあれ、どうしたんでしょうか。バスの中ではひとりスポーツ新聞を読んでいました。
しばらくすると、今度はふろん太君が登場。
いつもの愛嬌を振りまきながら、子供たちにサイン入り写真&オリジナルシールを配っていました。
私もはじめてサインを見てみましたが、ちゃんと「ふろん太」と形になっています。
いったい誰が書いたんでしょうか?
写真とシールを配り終えたふろん太君は、おもむろに風船を折り始める
追った風船は、近くの女の子にプレゼント
その脇ではFC東京の選手が現れ、鉄柵の前で鎮座していた東京のサポータが気勢を上げる。
試合はとっくに終わっているのに、試合中さながらの応援が始まってしまう。
東京のサポーターは、本当に熱い人たちが多いです。
それにしても、あの一体感は、なかなか真似のできることではありません。
やがてフロンターレの選手が続々と登場し、写真を配りはじめました。
この日の私は、2枚をゲット。位置が良くなかったので結果は今一でしたが、それでもうれしいものです。
ついでに高田選手からは、ビブスにサインを書いてもらいました。本当にありがとうございます。
脇を見ると、近くのこども達もサインを欲しがるが、ペンを持っていない。
そこで私は高田選手に「こども達がサインを欲しがっているよ」と声をかけて、ペンを手渡す。
高田選手はいやな顔ひとつせず、こどもが持つフラッグにすらすらと「えいじ」(高田選手の名前は栄二です)と書いていました。
困ったときはお互い様ですね。
本日の収穫はこの2枚
上が向島選手(背番号11:MF)
下は大塚選手
どちらも鮮鋭なプレーを披露している
フラッシュが反射して、大塚選手の顔が消えかけているのは
私の大ミス(反省)
等々力競技場では、応援旗のレンタルがあり
レンタル品は色付けが濃く、販売品との識別をしている(らしい)
左がレンタル・右が販売されているもの
オーロラビジョン反対側の得点表示を見ると・・・
あれ、東京が「F東京」になっている
これはもはや、来年「V東京」が誕生する前触れか?
注:ヴェルディ川崎が来年東京に行くことも
その際のチーム名称も現在は不明なのであしからず
勝利を分かち合うフロンターレサポーター達
これだけの人がずっと来続けることを願うばかりです。