ベルマーレ平塚 VS 鹿島アントラーズ
J1 2st 第14節
日 時 | 1999年11月23日 15:00 | |||
試合会場 | 平塚競技場 (神奈川県平塚市) | |||
天 候 | 曇り | |||
観 客 数 | 8026人 | |||
試 合 結 果 | ||||
平 塚 | 0 | 前 半 | 2 | 鹿 島 |
0 | 後 半 | 4 | ||
得点者 | 中田 浩二 (41分) 平瀬 智行 (43分) 増田 忠俊 (51分) マジーニョ (65分) ビスマルク (69分) リカルド (76分) |
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0 | 計 | 6 |
J2降格が既に決定したベルマーレ平塚と、オリンピック・フル代表と役者揃いの鹿島アントラーズとの一戦。
ベルマーレはセカンドステージ僅か1勝と不本意なシーズンとなってしまったが、来期の市民クラブ「湘南ベルマーレ」新生に向けて、有望な若手選手に奮起して、なんとしても一矢報いたいところである。
JR平塚駅前に、何とベルマーレのマスコットキングベルI世が出現!! 何でも、伊豆の観光アピールにかり出された模様 |
駅近くの商店街にも、ベルマーレの旗が並ぶ
折角ここまで来たのですから、来期も地元(と周辺地域)のサポートに期待したいところです
雲一面のどんよりとした中、試合開始のホイッスル。
立ち上がりは予想に反し、ベルマーレが攻勢に出る。
アントラーズサイドでのプレーが続き、早速コーナーキックのチャンスとなる。アントラーズ得意の応援旗による攪乱で、ベルマーレのプレーを混乱させる。
もうおなじみとなった、旗をゴールと同じ高さで、平行に振るシーン
しかしそれもつかの間、格の違いは明確となり、一転してピンチの連続となる。
オリンピック代表FWの平瀬選手(背番号19)にボールが繋がり、もたつくベルマーレのディフェンスを尻目に一気に前線へ。オフサイドの旗が上がっているが、プレーは止まらず、ゴール付近まで詰め寄られる。
アントラーズの攻撃は、序盤から全開に。平瀬選手が再三からみ、シュートを連発する。
ベルマーレも反撃を試みるが、レベルの違いは明らか。アントラーズの秋田(背番号3:DF)・名良橋(背番号2:DF)両選手を中心とした堅守に、ことごとく潰されてしまう。
ベルマーレの守りはどうも甘く、穴が目立つ。
アントラーズはそこを突いて、鋭いセンタリング。ベルマーレはアントラーズのプレスに徐々に押されていく。
ベルマーレは平瀬選手へのパスを西山選手(背番号11:MF)がカットし、三木選手(背番号3:DF)にパス。そこには三木選手の動きの遅さに目をつけたアントラーズの選手がどっと押し寄せる。
瞬く間にボールを奪われ、フリーキックのピンチとなる。カーブを描いたボールは、ゴールキーパー本田選手(背番号16)の正面に向かう。
アントラーズのぶ厚い攻めに、ベルマーレディフェンスは防戦一方
GK本田選手(中央)はたまらずファンブルしてしまう
アントラーズの変化自在の攻撃は留まるところを知らない。ベルマーレの守りはただただ振られまくってしまう。
早い低めのパスを面白いように回し、隙が出来たところにポンとパスを送る。ベルマーレの選手はそれに追いつくので精一杯。
この状況下、ベルマーレも何とか反撃を試み、ゴール前でクロスを放るが、精度が低く、ボールは遥か遠くへ行ってしまう。
攻められて、攻められて、攻められて・・・ ベルマーレは早くも、防戦一方となる |
アントラーズの攻撃は、ベルマーレをあざ笑うかの如く容赦ない。
平瀬選手のドリブルを貞富選手(背番号25:DF)がタックルで防ぐものの、その浮き球を一瞬にして奪われ、鋭いクロスボールでピンチを迎える。
更にアントラーズは攻める。ベルマーレも何とか防御するが、三木選手を始めとしたヘッドのクリアは勢いがなく、アントラーズの選手に容易くカットされる。
この場にて、基礎体力の違いまで、もろにさらけ出してしまう。
その後もアントラーズは波状攻撃を展開。それでもベルマーレは貞富選手を中心に何とか守り切り、コーナーキックからのピンチは辛くも防ぐ。
アントラーズは最後に名良橋選手がミドルシュート。これは大きくゴール枠をそれる。
25分を過ぎると、アントラーズの攻めはますます一方的となり、自由変化なプレーを披露する。
ベルマーレもビスマルク選手(背番号10:MF)を倒してしまい、イエローカードで防御するのがやっとの苦しい展開。
ここからはアントラーズの猛攻が。左右前後から容赦なく攻め込まれ、コーナーキックを連発される。
ベルマーレは防御一辺倒。再三のシュートも本田選手が何とかクリアするのが精一杯。
少ない反撃の機会も動きが足りず、アントラーズのディフェンス陣にあっさりカットされる。
アントラーズのヘディングシュートが、ベルマーレゴールを襲う
おまけに審判の裁定までも、アントラーズに味方してしまう。
アントラーズ相馬選手(背番号7:DF)の得意な左サイド突破。ラインズマンの旗はオフサイドを示すも、プレーは続行。
その隙に一気に攻め込まれ、更なるピンチを招く。
両者の違いは大人と子ども位。貞富選手の必至のタックルも、アントラーズは軽くあしらってしまう。
アントラーズビスマルク選手(左端)に2人付くが、全く止められず
前半も40分、アントラーズの猛攻を何とか凌いだベルマーレに、遂に悪夢の瞬間が訪れる。
ゴール前アントラーズの攻撃を、茂庭選手(背番号24:DF)がスライディングで防ぎ、ボールは相手選手に当たりゴールラインを割る。
・・・ように見えたが、何故かアントラーズボールとなってしまう。
ベルマーレイレブンも意義を唱えるが、落ち着きを取り戻す間もなく、アントラーズのコーナーキックを迎える。
サポーターのブーイングがこだまする中、右コーナーから繰り出されたボールは、中田選手(背番号26:MF リカルド選手ではありませんでした)の頭に合い、あっという間に先制点を許してしまう。
ベルマーレの選手は納得いかず、審判に詰め寄るが全く受け入れられず、挙句の果てに本田選手がレッドカードで退場する事態に。
ベルマーレサイドが騒然とする中、試合はリスタート。ベルマーレの選手が落ち着きを取り戻す間もないうちに、平瀬選手に蹴り込まれる。
ボールは交代したばかりのゴールキーパー水谷選手(背番号26)の手先をすり抜け、ベルマーレゴールネットを揺らしてしまう。
あっという間に2失点。サポーターからは罵声とブーイングが飛び交い、ペットボトルまで投げ込まれる。
茂庭選手が懸命にスライディングするも、アントラーズボールに
判定に納得いかず、ベルマーレのイレブンが主審に詰め寄る
意義を唱えたことで、本田選手が退場処分となってしまう
その傍らでは、ゴールを喜ぶアントラーズの選手が(左1点目・右2点目) 勝利の味を知る男達の姿が、ここにはあります |
ベルマーレは早くも戦意が喪失したのか、動きがパタリと止まってしまう。
ここで前半終了。ホイッスルと共にベルマーレサポーターから激しいブーイングの嵐が沸き起こる。
騒然とした雰囲気が尾を引く中、後半開始のホイッスル。
立ち上がりから、アントラーズの一方的な展開。中盤のベルマーレの選手を振り切り、一気に前線へフィード。
ベルマーレのファウルを誘い、コーナーキックのチャンスに。ここから容赦ない攻撃のオンパレードとなり、がんがんシュートを打ち込まれる。
ベルマーレも何とか食い下がり、この場では得点を許さない。
そして反撃に転ずる・・・はずが名良橋・熊谷(背番号18:MF)選手らに冷静にカットされ、得点の糸口すら掴めない。
アントラーズは攻撃の手を緩めず、完膚なき波状攻撃を展開する。
ベルマーレの守備は、アントラーズの巧みなパス回しに、完全に翻弄されてしまう。
そして後半6分、繋ぎにつないだパスから、増田選手(背番号14:MF)が正面からミドルシュート。
ボールはゴールの右上に突き刺さり、早くも3点目を失ってしまう。
リスタート後は、ベルマーレも速攻に転じ、外池選手(背番号5:FW)が左サイドを強行に突破を図る。
しかし格上の相手には通じず、ディフェンス陣に潰されてしまう。
アントラーズ守備陣の堅守により
ゴールキーパーの高桑選手(背番号21)も仕事がない
アントラーズの攻撃は更に一方的になり(もう表現する言葉も尽きつつある・・・)、ベルマーレの選手は完全にもて遊ばれてしまう。
競技場内に響くのは、ホーム側より多いアントラーズのサポーターの声援ばかり。ベルマーレサポーターからは、血の気が失われる。
ベルマーレも反撃を試み、松川選手(背番号7:MF)がゴール前フリーとなりシュート。これは勢いがなく、高桑選手ががっちりセーブ。
その直後から、またもやアントラーズの激しい攻撃が(もう別の言葉も思い浮かばない・・・)。完全に一方的な流れとなってしまい、20分頃にはマジーニョ選手(背番号8:FW)に4点目を献上。
リスタート後に、ベルマーレも再度詰め寄り、ゴール前のもつれから松川選手がシュートを放つ。
攻撃を防いだアントラーズは、ここから怒涛のカウンターに転ずる。
そして24分、今度はビスマルク選手に決められて遂に5点目。もはややられまくりで、手の打ちようもない。
訪れるのは、得点を喜ぶこのシーンばかり
頼むから1点取ってくださいよぉー
その後もアントラーズは面白いように攻め立て、ベルマーレを完全に潰しにかかる。
ベルマーレも何とか食らいつき、決死のカウンターに転ずる。
特に松川選手は、アントラーズゴール前で必至のプレーを披露。その懸命な姿にベルマーレサポーターから暖かい拍手が沸き起こる。
アントラーズゴール前、一人決死に切れ込む松川選手
強烈なタックルを食らい、痛みを堪える
サポーターの声援に答え、何とか立ち上がる
しかしその直後、手薄となったベルマーレの守りを突き、アントラーズの強烈なカウンターが。
瞬く間にゴール前に達し、最後はリカルド選手に蹴り込まれ、遂に6失点。
その後もアントラーズの攻めのオンパレード。ベルマーレにはもはや攻撃の余力もなくなってしまったのか・・・。
だが、ベルマーレもまだ諦めてはいなかった。
アントラーズの攻撃を凌ぎ切り、40分過ぎになると、一気に攻勢を仕掛ける。
前線の選手は最後の力を振り絞り、必至に反撃。意地でも1点を奪いにアントラーズゴールに向けて襲い掛かる。
ゴール前のルーズボールに、外池選手が飛び込み、ゴールネットを揺らしに掛かる。
最後まで諦めない・・・
だが、残された時間は、余りにも少なすぎた。
サポーターの願いもむなしく、タイムアップ。ベルマーレはホーム最終戦も、相手の格の違いに圧倒される結果となってしまった。
その瞬間競技場に流れてきたのは・・・ベルマーレの健闘をたたえるアントラーズサポーターからのベルマーレコールでした。
一方的な大差の完敗に、ベルマーレイレブンも茫然自失
試合後はベルマーレの選手がグランド内に終結し、今期の報告会が催される。
始めに湘南ベルマーレの重光オーナーが挨拶。残念な結果に終わったシーズンを陳謝し、来期は市民球団となって生まれ変わることを報告。
続いて、古前田監督・高田哲也主将(背番号12:MF)が挨拶。来期の巻き返しとJ1昇格をファンに向けて誓いました。
そして場内一周。ベルマーレのサポーターだけでなく、アントラーズサポーターからも暖かい声援が飛び交いました。
挨拶を終えた選手達は、正面スタンドより場内一周をスタート
他のチームと同様に、ミニサッカーボールをスタンドに投げ込む
ぐるりと一週した選手達は、最後にベルマーレサポータ席に挨拶
暗い表情の中にも、ほっとした安心感が覗いている
多くの選手がサポーター席から距離置く中
最後に森山選手(背番号2:DF)が登場
サポーターと笑顔で握手を交わす
来期も若手中心とはいえ
彼のようなベテラン選手も精神的な支えとして必要です
忘れてはいけません、キングベルI世も登場
平塚駅で見かけたものと比較して、こちらの方が汚れが少ないので
2体以上の着ぐるみがあることが判明(多分)
一説によると、神野選手(登録選手中にはないのでコーチ?良く分からない)が入っているという説があるが
真相はいかに???
今期のベルマーレを私なりに総括すると、財政難の中若手中心の構成とならざるを得なくなり、戦力的には極めて苦しい1年でした。
しかも観客動員数も伸びず、ファン層の拡大にはつながりませんでした。
それでも、小松原・西山・和波・茂庭といった期待の若手が芽を出し、今後の彼らの成長が非常に楽しみです。
ただ来期J1に戻ってこれるかといえば・・・残念ながら「NO」かも知れません。
J2のチームは下位を別にすれば、J1と戦力が遜色のないチームが沢山あります。
しかも彼らは年間36試合という厳しい1年を乗り切り、着実に力と自信を付けているのも事実です。
来期は水戸が加わり合計11チーム。何と40試合もこなす必要があります。
北は札幌、南は鳥栖・大分と、移動の幅もJ1以上です。
体が出来ていないユースの選手も多いので、疲労の蓄積と怪我が心配されるところです。
おまけに競技場や周辺施設の質は、J1に比較すると劣悪なのが現状です。山形競技場みたいに荒地同然のグランドでの戦いも強いられることでしょう。
選手やサポーター達の多くは、J2についてピンとこないかも知れませんが、J1以上の過酷な戦いを覚悟する必要があります。
それでも私は信じています。彼らが激戦を乗り切り、再びJ1に戻ってくることを。
その日まで、ベルマーレを、そして若手の成長を見つめ続けます。
試合開始前、競技場内に謎の飛行物体が浮遊
2個の風船に、ベルマーレの旗が括り付けられている
しばらく浮遊を続け、選手達が練習を開始するとその姿は消えました
選手の練習開始前に、ベルマーレのフラグショーが
トラック一面を埋める旗の多さに、ただ圧倒される
アントラーズのサポーターからは、「2001年J1で待ってるぞ!」の幕が
暖かいサポートに感激
ベルマーレサポータも無地の幕にメッセージを書き込み、それに応じる
サポーター同士の熱い触れ合いを感じたひとときでした