川崎フロンターレ VS 浦和レッドダイヤモンズ

ナビスコカップ 第1回戦 第1試合



日   時 2000年4月12日 19:03
試合会場 等々力陸上競技場 (神奈川県川崎市)
天   候 曇り
観 客 数 7,026人(水曜にしては上々?)
試  合  結  果
川   崎 前 半 浦   和
後 半
     
     
得   点   者
川崎:久野 智昭(38分),マジーニョ(48分:PK),
伊藤 彰(82分)



浦和レッズのサポーター、何故か川崎球場の最終戦にも現る(実話)


過酷な戦いがひしめく4月、ナビスコカップも遂に開幕の火蓋を切る。
相手は赤い熱狂軍団浦和レッズ。昨年の涙の降格が記憶に新しい。
が、リーグ戦負けなしの5連勝とブッちぎりの強さ。もはや向かうところ敵なしである。
対するフロンターレは未だに1勝止まり・・・。昨年とほぼ同一メンバーで勝ち星を重ねるレッズと、大幅な戦力補強?を図りながらも、勝利に見放されたフロンターレと、あらゆる面で対極な両チーム。
フロンターレはJ1に昇格した意地とプライドに賭けても、是が非でも落とせない一戦である。
応援でも負けてはいられない。赤い歓声に等々力の地を支配されるのは、死んでもご免だ。

浦和のサポーター

暗くて恐縮ですが、浦和のサポーター席
平日のおかげで、赤一面とはならず
声援の迫力はさすが、熱狂軍団に相応しい



浦和に負けないぞ

試合がカップ戦だろうが
相手がJ2だろうが
常に全力、勝負にこだわりたい


さあ、試合開始だ。リーグ戦での鬱憤をここで晴らしまくるぞ。
・・・おや、応援が全く無い。皆静かに立ち尽くし、真剣な眼差しでピッチを見つめている。
1分、2分、3分・・・・・・いつものコールが何処からも起こらない。
どうしてだ?まさか負けが込むチームに対する無言の抗議なのか・・・・

無言で立ち尽くすサポーター


響くのは浦和サポーターの絶叫のみ

が、5分を過ぎた辺りで応援開始。単にウオーミングアップに時間を要しただけのようだ。
序盤は均衡。ピッチの中央で互いに応戦。
両者時折抜け出し、シュートを狙う。浦和の切り込みが若干勝っているようだ。
何度もディフェンスの裏を突かれそうになる。あぶない危ない・・・。

浦和の攻撃

浦和の攻撃は、低い玉回しと
俊足の岡野選手(背番号7:FW)の切り込みが中心
フロンターレのDFは連携がもう一つながらも
個人能力の高さで攻撃を防ぐ



ペドリーニョ選手の守備

浦和の裏を突く縦パスは
ペドリーニョ選手(背番号5:MF)がクリア
下半身の安定性は評価できる


10分を過ぎてもレッズがやや攻勢。スピードはさほど無いものの、中央から低いパスを多用して、再三強引な突破を図る。
何度もゴール前に接近されそうになる。だが、レベルの勝るフロンターレのディフェンス陣は、随所で固い守りを見せて、レッズの突破を断ち切る。
やがて流れはフロンターレに傾く。13分近くになると。正面からおあつらえのFKが。
キッカーは長橋選手(背番号20:MF)?、助走を十分に取り豪快に蹴るものの、大きく外れてしまう。
それでもチャンスが続き、右サイドのコーナーキックを得る。
ボールはゴール正面に落ち、フロンターレが盛んに押し捲るものの、惜しくもバーに弾かれる。

レッズの攻撃は予想外にスピードが無い。攻めのパターンも左サイドの強引な突破ばかりで、バリエーションに欠ける。
が、突如サイドチェンジ、フロンターレのディフェンスの隙間から、攻撃の基点を作り出す。
それでもJ1の他チームと比較すれば、断然遅い。余裕の守りでレッズの攻撃を防ぐ。
レッズの遅さに乗じ、フロンターレも徐々に攻撃のリズムが掴みかけている。
さあ、サポーターも黙ってばかりじゃなく、応援で選手を後押しするぞ〜。
おーおぉーレッツゴ−かわさきー
オーオォー、フローンターレー!!

岡野選手のドリブル

レッズは野人(ちょっと古い?)岡野選手がドリブル
そこを森川選手(背番号29:DF)が追いかける



最後は守りきる

岡野選手はボールをキープしきれず
最後はフロンターレの包囲網にはまる
岡野選手のスピードは予想外に遅かった
それでも他の選手が追いつかないので
やっぱり早いんでしょうが


フロンターレも守るばかりじゃつまらない。少しは攻撃に転じねば。
お、カウンターだ。久野選手(背番号23:MF)がフリーでパスを受け、目の前には相手がいない。
これはチャンス、一気に攻勢だ!
パスを受けるなり、前方に大きなパス。が、そこには誰もいない。
あーあー、ボールを大切にしてよー。

この時間帯(30分過ぎ)になると、フロンターレが有利な展開。マジーニョ選手(背番号10:FW)も積極的にボールに絡み、長橋選手のドリブルも冴えている。
またまたフリーキックのチャンス、それもゴール左寄りと、久野選手お得意の位置である。
すかさずサポーターからも「ベティに蹴らせろ!」と熱烈にアピール。
だがキッカーはペドリーニョ選手。ボールは弧を描くものの、またまた大外れ。
それでもフロンターレの攻撃は続く。守りに飽き足りた森川選手と寺田選手(背番号6:DF)も果敢に中央突破を図る。

レッズのファウル、そしてリスタート。フロンターレの攻撃は、レッズの守りを崩しにかかる。
お、ゴール正面でマジーニョ選手がフリーでボールを持っている。そこに後ろから久野選手が走りこむ。
パスを受けた久野選手は思い切ってシュート!!ボールの勢いは程々ながらも、相手GKの視界は遮られ、ゴール隅にすっと吸い込まれる。
やったー!!待望の先制点だ!!

興奮するサポーター

初めての先制点に、サポーターも興奮


この1点でサポーターも生き返る。やや静かなスタンドもとたんに賑やかになる。
おーおぉーレッツゴ−かわさきー
オーオォー、フローンターレー!!
オーレ!オーレ!フーロンターレをオーレ!!

そして前半残り時間も僅か、フロンターレの猛攻が展開される。
フリーキックを得るや否や、目の覚めるようなサイドチェンジ。ふわりとしたパスが反対側にピタリと決まる。
今までの連携不足が嘘のようである。やれば出来るではないか。
レッズの攻撃も輪をかけて単調になる。遅いパス回しとクビツァ選手(背番号34:FW)にボールを集中させるばかりなので、フロンターレのディフェンスは一気に潰しにかかる。
攻撃も冴え渡る。鈴木選手(背番号8:FW)の崩れながらのシュートは枠に収まらず残念。
それでもフロンターレの圧力は止まらない。的確なパスワークで、レッズの守備陣を幻惑させる。
そして前半終了。フロンターレがリードするなんて、J1昇格以来初めてだ。
嬉しいな・・・それ以上に一安心。何と言っても久しぶり過ぎるので。
サポーターも大声で「フロンターレ!」コールを掲げている。殆どのサポーターは勝利を直で味わっていないので、是が非でも勝ちたい筈だ。
さあ、この勢いで後半に繋げるぞ!

トラックを一周する横断幕

トラックを横断幕が一周
まるで相撲の懸賞?


後半開始まで5分程ある・・・のに、レッズの選手は既にピッチに集結している。
随分早く出てくるな。レッズサポーターのブーイングもうるさいし。
おまけに変な雪崩風紙テープは止めてくれ。グランドを清掃するのは善意あるボランティアなんだぞい。
こっちは礼儀正しく、「大漁」?の応援旗で反撃ののろしだー。

大漁旗

何処からともなく大漁旗が出現
大漁旗といえば、ベルマーレが有名


後半開始早々、いきなり天からのプレゼントが舞い落ちる。
タオルを振り回す応援が始まった矢先、フロンターレの圧力がレッズゴールを襲う。
たまらずレッズのディフェンスはマジーニョ選手を押し倒してしまう。
そこに主審が駆け寄り、指を指す。やったー!PKだー!!

ボールをセットするマジーニョ選手

マジーニョ選手自らボールをセット
以前の広島戦ではPKに泣いたが
ここはPKで笑うぞ!

主審の笛が鳴り、マジーニョ選手は冷静にシュート。おーし2点目だ!!
いや、やり直しのようだ。またまたボールをセットし直す。
サポーターからは、盛大な「アンコール」コールが、もやは得点は疑う余地も無い。
そして2回目のシュート。ボールは中央付近に突き刺さり、今度こそ2点目だ〜!!!

マジーニョ選手のPK

枠ぎりぎりながらも
キーパーの反対側に綺麗に決まる
・・・がこれは1本目の幻のゴール
(2本目は撮影に失敗した・・・)



喜びまくるサポーター

PKが決まった瞬間
サポータの喜び具合の半端じゃないこと


この得点で、ピッチの選手達も俄然輝きを増す。過酷な連戦の疲れをまるで感じさせない。
左右に呼吸の合ったパスワークを展開し、レッズのゴールに果敢に襲い掛かる。
時折顔を覗かせるレッズのカウンターももろともしない。守備に余裕が生まれたのか、レッズのオフェンスラインを読み、容易く攻撃を打ち砕く。
サポーターもエンジン全開。レッズなんかに負けない大声で応援だ!!
手拍子を強く打ち、手はひりひり、それでも拍手は止めないぞ!!
太鼓の打音に合わせて絶叫だ−!!!
オオーオオオオオー、フォルツァーフローンタレー!!
オオーオオオオオー、フォルツァーフローンタレー!!
もっとも私の目の前では、子どもが椅子の上で眠っていましたが。

フロンターレのサイドチェンジ

フロンターレのサイドチェンジはうまく機能
フリーの長橋選手が受け取り、瞬く間に前線に攻め込む
あれだけ空間の利用が下手だったのが、嘘みたいだ


10分を過ぎると、レッズは一気に2人の選手を交代。フロンターレの勢いに水を差す。
が、そんなの関係ない。応援のピッチをどんどん上げ、選手のモチベーションを後押しだ。
またまたフロンターレが押し捲る。レッズのクリアボール?をペドリーニョ選手が食いしばってミドルシュート!
これまた大外れ。これで攻撃の安定性さえあれば言うこと無いのに。

15分近くになると、フロンターレは今野選手(背番号28:MF)を投入。軸が生まれたのか、攻撃の安定性がより強固になる。
多少イージーなパスミスがあるものの、相変わらず流れはフロンターレだ。
この勢いは止まらない。長橋選手が再びフリーとなり、ゴールラインぎりぎりで鋭いクロスボールを放り込む。
そこに鈴木選手が果敢に飛び込む。得点には至らないが、コーナーキックのチャンスに。
今度は森川選手が突進。相手のマークを振り切り豪快にヘッド!
ボールは惜しくも枠に入らず・・・。それでも攻撃のお膳立ては整っている。
全員攻撃のフロンターレが今ここに甦りつつあるぞ。

マジーニョ選手の突破

今期初得点を挙げたマジーニョ選手も疲れを見せず
低い鋭いパスを受けるや否や、ボールを離さない



マジーニョ選手が倒される

が、レッズの選手に引っ張られる
それでもプレー続行(だったけ?)で
サポーター席からは大ブーイング

もはや完全なるフロンターレのリズム。レッズもクリアミスが目立ち、選手の精彩も失せつつある。
さあ、もう一押しだ。ここでもスピード感溢れる応援で、レッズにとどめを刺すぞ!
お・お・お・おお、お・おおーおお、おおおおー、そーれ川崎
お・お・お・おお、お・おおーおお、おおおおー、そーれ川崎
市原!・・・じゃなくて川崎!川崎!川崎!・・・ヘイ、ヘイヘイヘイヘイ!
長橋選手のセンタリングも精度は高く、鋭い。
再び抜け出し、レッズゴール前にボールを送る。
そこにマジーニョ選手のヘッドが・・・うーん残念。
続けてマジーニョ選手の右足が!これは城定選手(背番号14:DF)にかろうじて防がれる。
だがコーナーキックがあるぞ。今度は奥野選手が完全にフリーだ。
頭を低く下げ、ヘッドが浦和ゴールに向かい一直線・・・僅かに枠外だ〜。

フロンターレはレッズの息の根を止めるべく、伊藤彰選手(背番号19:FW)を投入。
いきなり大活躍。得意のドリブルで右サイドを崩しにかかる。
ルーズボールが浦和ゴール前に転がり、一気に突撃・・・浦和は西野選手(背番号12:DF)のスライディングでタッチに逃れるのが精一杯。
ここから一気に押しかかる、ゴール前の混戦から伊藤彰選手が滑り込み、駄目押しの3点目だ〜!!!

心酔しきるサポーター

とどめとも言える3点目に、サポーターも心酔


残り時間も僅か、後は時が過ぎるのを待てばよい。
そしてロスタイム、フロンターレのサンバのリズムが競技場にこだまし、レッズの応援席は闇と沈黙の世界。
そのまま試合終了。フロンターレはJ2相手でありながらも、久々のホーム勝利に沸きかえりました。

勝利を喜ぶサポーターと選手

トラックの選手達に、割れんばかりの拍手と歓声が
多くのサポーターが味わう、久々の勝利の味です


ようやくこの時が訪れました。ホームでの勝利がどれだけ長く感じられたことか。
が、喜びにばかり浸ってはいられない。本音で申せば、この日のレッズは対戦相手として余りにも格下過ぎる。
浦和の選手&サポーターに対して非常に失礼ですし、非難を浴びるのを承知で書けば、小野選手(背番号8:MF)を欠く、今の浦和ごときに負けてはいられないし、負けるつもりも断じてない。
我々の目標はあくまでもJ1残留&上位進出。大きな目的のためには、この程度の相手に取りこぼしは絶対に許されない。
今後清水・磐田などといった強豪が待ち受けている。J1で生き残りを賭けるには、これ以上の戦いを強いられるのは必至です。
でも勝ち星は最高の薬です。今後のリーグ戦もこの勢いのまま戦い抜いて欲しいところです。
もちろんナビスコカップも手抜きは禁物です。一つでも上位を狙えるように、アウェイの駒場でも全力で立ち向かいたいところです。

大はしゃぎのふろん太君

ふろん太君も勝利に大はしゃぎ
フロンターレが勝ち星を重ねれば
彼の喜びもぐっと増すことでしょう?



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