FC東京 VS 川崎フロンターレ
J1 ファーストステージ 第11節
日 時 | 2000年5月6日 13:04 | |||
試合会場 | 駒沢陸上競技場 (東京都世田谷区) | |||
天 候 | 曇り | |||
観 客 数 | 11,229人(J1になると1万人) | |||
試 合 結 果 | ||||
東 京 | 0 | 前 半 | 0 | 川 崎 |
2 | 後 半 | 1 | ||
2 | 計 | 1 | ||
得 点 者 | ||||
東京:小林 成光(55分),ツゥット(73分) 川崎:池田 伸康(79分) |
とーきょ(どどど)、ちょーふ(どどど)
ゴールデンウイークも残り2日。J1ファーストステージも残すは5試合である。
未だ勝ち星から見放された川崎フロンターレの相手は、宿敵FC東京。奇跡のJ1昇格も記憶に新しい。
堅実な戦力補強と、シンプルな組み立てで、強烈な破壊力を有すサッカーで、昇格僅かながら、先輩の強豪と互角の勝負で、J1の首位戦線に躍り立つ。
同じ戦力補強を図りながら、低迷するフロンターレと明暗の差。不利である点は否めないが、昨年負け無しの利を生かし、今井新監督に初勝利をプレゼントしたいところだ。
ピッチに登場した選手達は、朗らかな表情を浮かべる
ゼッカ時代のぎすぎすした雰囲気は
払拭されたのだろうか
川崎の「ハッピーサッカー」ならば
東京は「sexy-football」で対抗
東京のサポーターはハッピーで
たまらないんだろうな・・・
川崎の近場でありながら、サポーターの数はいささか寂しい。不振さを象徴するようだ。
でも負られない。相手は東京だし、これ以上負けて、待ち受けるはJ2陥落のみ。
さて、いつもに劣らず大声で声援だ!
たーのしみやこ、こーいのみやこ
夢のパラダイスよ、花の東京!!
・・・まずい、東京を応援する癖が抜けていない。口直しだ。
なかにし〜、なかにし〜、なかにして・つ・おラーララ
なかにし〜、なかにし〜、なかにしてつおラーララ
待望の中西選手(背番号14:DF)がスタメン登場だ。この日をどれだけ待ち侘びた事か・・・。
選手のコールで、「中西」の文字が
堂々と掲げられる
何度もコールを繰り返し、喜びを爆発させる
試合開始、今の勢いを象徴するかのように、東京の攻撃が充実している。
皆自信を持ってプレーしている、対するフロンターレは落ち着きに欠ける。
立ち上がりが遅いのは昨年同様だが・・・、東京の選手をちょっと怖がっている嫌いもあるようだ。
菊地選手(背番号21:GK)が浮き足立っている。東京のシュートをおっかなびっくり防いでいるのが、ちょっと心もとない。
東京の圧力を凌ぎ、川崎も若干ではあるが反撃を試みる。まだエンジンは温まっていない。
中央付近から前線を突破する
今野選手(背番号28:MF)
このポジションは完全に彼が手中に収めたか?
10分も経過したのか、突如試合は静かな展開に。
ボールの動きが止まり、両者見つめ合う。
が、突然空気が切り裂かれ、東京のカウンターが展開。直向にゴールを狙う。
フロンターレも猛攻を耐え、カウンターをお返しする。アルバレンガ選手(背番号18:FW)が左サイドから、強烈なシュートを放つが、大きく枠を反れる。
リスタート後は、息をつく間もなく東京の反撃。果敢に攻めあがり、右サイドから鋭いセンタリングが。
それを誰かがヘッドで合わせ、ボールを地面に叩きつける。こちらもゴールを外れ、難を逃れる。
アルバレンガ選手のシュートは大きく外す
彼も頭を丸めてしまい
ペドリーニョ選手(背番号5:MF)と
識別しにくくなる
間違えて「ペドリーニョ」コールが起きたほど
別のコーナーキックのシーン
アルバレンガ選手の奥様が
愛情を込めて?刈ったおかげか
見事な丸刈りである
東京の攻めは止まらない。フロンターレの一瞬の隙を突き、ツゥット選手(背番号9:FW)が中央をドリブルで切れ込み、強烈なシュートを放つ。
これは菊地選手がガッチリセーブ。簡単にはゴールを割らせない。
しかし東京の流れは確固たるもの。幾度となくフリーキック・コーナーキックの機会を得て、何度となく危険な目にあってしまう。
フロンターレも巧みな距離感を保ち
時折反撃を見せるものの
最後は藤山選手(背番号8:DF)を筆頭とした
守備陣に阻まれる
東京の選手はよく動く。活発にグランドを走り回る。
対するフロンターレは・・・攻守の切り替えがとにかく遅い。ボールを貰うとパスコースを考えてしまうのか、ボールを無用に持つ時間が非常に長い。
そうする間に東京にパスコースを防がれてしまう。そうしてまごついていると、素早いチェックが襲い掛かる。
そうなるとロングパスに切り替える。長い縦パスで左サイドを通過して、クロスボールをゴール前に放り込むが、最後は競り負けてしまい。シュートの体制になかなか持ち込めない。
当たり負けない体づくりも、今後の課題か
東京の攻撃はカウンター中心だが、意外に効果的である。フロンターレの選手が戻らない間に攻めあがり、盛んにファウルを誘う。
今度は正面のフリーキックか・・・強烈なシュートが隙間を縫ってゴール一直線だ。
決められたか!いや菊地選手が右に飛んでクリアしてくれた。
それだけでなく、ゴール前の細かなパスワークも巧みである。下半身を軽く動かし、柔らかにパスを回すだけのプレーだが、フロンターレの選手を左右に走らせ、体力を磨耗させられる。
フロンターレは正面からの攻撃に弱すぎる。ディフェンスの足がパタリと止まり、その隙に一気に持ち込まれる。
選手同士が遠慮し過ぎている気がならない。ファウルを必要以上に恐れているのだろうか。
こうやって見直すと、西澤選手(背番号31:DF)をはじめ
多くの守備陣も攻撃に絡んでいる
この後久野選手(背番号23:MF)が
クリアボールをトラップするや
ミドルシュートを放つ
浦田選手(背番号13:FW)に
鋭いクロスが上がったものの
藤山選手に一足早くダイビングヘッドで防がれる
流れは依然東京である。フロンターレも攻撃を凌ぎ、攻撃に切り替えるのだが、選手に焦りがあるのか、誰もいない場所にボールを蹴り出し、東京に拾われてしまう。
またもや東京のフリーキック。シュートは壁に当たり、そこからフロンターレはカウンターを展開。
右サイドの森川選手(背番号29:MF)にサイドチェンジを図り、パスが渡るものの、トラップを失敗してしまう。
そこに待ち受けるのは、東京の反撃。ボールを拾うや攻めに攻めて、コーナーキックを2本お見舞いする。
今野選手もライン際で粘りのプレー
中西選手も隙あらば攻撃に参加
まだ試合勘は取り戻せていないか
時間が経過するにつれ、東京のプレーに風格すら感じ取れる。いや、フロンターレの攻撃がとにかく遅く、相手に余裕を与えているのだろう。
とにかく走れない。ボールを受け取りドリブルを図るものの、足は動けど前に出ない。
ロスタイムに近づくと、フロンターレの選手がまた止まってしまう。待ってたとばかりに、東京の選手は盛んにシュートを浴びせ掛ける。
何とか無失点で前半を切り抜ける。後半を戦い抜く体力は温存されているのか、不安が過ぎってしまう。
サポーターもまだまだ
勝負はこれからだ
さあ後半だ。ちょっと応援の勢いが寂しいようだ。
試合の状況など記録していちゃ、声の勢いも劣ってしまう。どうせたいした文章にならないんじゃ、応援に専念するのが一番だ。
よ〜し、大声をこれ以上張り上げるぞ!
フローンターレ!フローンターレ!!!
おーおおー、レッツゴー川崎!
おーおおーフロンターレ!!
相手に圧倒されてなるものか
腕を掲げて熱いフロンターレコールを
ピッチに届けるぞ!
スタートと同時に、青赤軍団がフロンターレのサポーターめがけて攻めて来る。
応援の後押しも凄い。独特の押しが辺りをこだまする。
※東京の男性コーラス応援歌はCD化されないのだろうか。あったら即買いしたい。
あ、売店を覗いていたら、J1昇格ビデオ(もちろん東京の)を売りつけられそうになった(笑)。
動きが戻らないフロンターレのディフェンスを尻目に
得点を貪欲に狙う
かつての盟友、ツゥット選手(左)と
中西選手(右)の攻防
中西選手は弾き飛ばされるが
ツゥット選手はバランスが崩れ
ボールはラインに切れる
東京の攻撃は容赦無い。ボールを支配し、フロンターレの守備をぐっと引き寄せ、パスを回す。
それだけでフロンターレの選手は追いつけない。一向に動きは鈍いままだ。
やばいぞ・・・あ!東京の選手がフリーで抜け出した。
菊地選手が決死に飛び出すが・・・あっさりとかわされて先制点を奪われるとは・・・。
この後がら空きのゴールに、シュートを決められる
もう後が無い。我々に残されるは絶叫の嵐のみだ。
オオーオオオオオー、フォルツァーフローンタレー
しかし、フロンターレの選手は息切れしたのか、中盤より全く前に出ない。動きが重苦しく、走るのすら辛そうだ。
頼むから動いてくれ!声を振り絞り、気力を尽くして声援を送っているのだから。
せめてもの救いは、奥野選手(背番号4:DF)のライン取りの良さ。相手のパスラインに体を預け、ボールをクリアして、危険を回避する。
アルバレンガ選手がボールを奪い取り
反撃を試みるも・・・
すかさずファウルを取られてしまう
調子のいい東京サポーターから
「岡田(主審)」コールが起こる始末
フロンターレは沈み込んでいる。少ないゴール正面のルーズボールも、ペドリーニョ選手がシュートを放つが、ジャストミートせず。
雲行きは怪しくなる一方。東京はフリーキックを得て、ツゥット選手が蹴る。
強く正確なシュートは、フロンターレのゴールをかすめる。これだけの選手がどうして「戦力外」なのか・・・。
東京の容赦なき攻撃は続く。ゴール前で厳しいチェックの応酬となる。
ああ〜!ツゥット選手が襲い掛かる・・・。決められてしまった・・・。
ツゥット選手のシュートが吸い込まれる
東京のユニフォームを纏った彼は
2周りほど成長したようだ
彼を放出したのは、悔やみ切れない
諦めるな。昨年を思い出せ。今から逆点だ。
おーおおー、レッツゴー川崎!
おーおおーフロンターレ!!
しかし選手は鈍い、前に出ない。足に重しが付いているようだ。
もう駄目なのか?おや、誰かが走りこんでいるようだ。
ボールは東京のゴールに吸い込まれているぞ。よく分からないが、1点返したぞ!
1点を取り返し、息を吹き返すサポーター
東京の選手も疲れている。残り時間も少なく、ここをつけ入る以外手段は無い。
フロンターレの選手も気持ちが前に向いている。中西選手も中盤まで上がり、ロングパスを前線に一気に送り込む。
よし、コーナーキックで同点だ・・・。気持ちは前に向いているが、体がついて行かない。
そしてタイムアップ。今井新監督のデビュー戦は、ほろ苦い結果となりました。
選手が挨拶すると、力ない拍手が沸き起こる
ツゥット選手のヒーローインタビューが響き渡る中
力なく立ち尽くし、座り込むサポーター
やり切れない思いが辺りを支配する
宿敵東京に完敗。僅かな間に大きく水を開けられた。
体力の差は歴然としている。中西選手が加入した影響からか気持ちは前向きだが、如何せん体力不足が露呈しており、時間が経過するにつれ、運動量が著しく低下する。
ここ数試合は、力負けばかり。技術力よりも、持久力で劣っているのは明白でしょう。
しかし、残り数試合で体力強化は図れるのか?今井新監督に突きつけられた命題は、重くのしかかるばかりです。
帰りのバスに乗る際、あるフロンターレサポータを指差し、見下した態度で笑う東京サポーターの姿が。
これが両者の関係なのか。かつてのライバルは、瞬く間に強者と弱者に分離してしまった。
昨年を知る者としては、悔しいばかりである。だがこれは冷酷な事実なのです。
強いチームは人を引き付け、弱いチームは見放される。当たり前の姿が垣間見えた瞬間でした。