湘南ベルマーレ VS 浦和レッドダイヤモンズ

J2 第32節



日   時 2000年9月9日 19:0?
試合会場 平塚競技場 (神奈川県平塚市)
天   候 晴れ
観 客 数 10,107人 (辛うじて大台確保)
試  合  結  果
湘   南 前 半 浦   和
後 半
     
     
得   点   者
浦和:小野 伸二(17分:PK),クビツァ(85分)



前半戦の写真が極度のピンぼけ。いいショットも少ないし、
デジタルカメラの使いこなしも難しいなぁ。


J2も残り試合は少ない。各チーム昇格に向け、佳境に差し掛かる。
今日の対戦は、平塚競技場での湘南ベルマーレ対浦和レッズの一戦。
両者は奇しくも、昨年のJ2陥落同士。現時点で成績は明暗はっきりしている。
浦和がJ1再昇格を手中に収めるには、絶対に落とせない筈だし、湘南も黙って食い下がる訳にはならない。
両者のつばぜり合い、勝利を飾るのはどちらなのだろうか。

浦和サポーターの行列

競技場まで数100メートルの位置
試合開始2時間前で
レッズサポーターはずらりと行列
中には寝袋を抱えた姿!もあり



浦和サポーターがゴール裏を占拠

時間帯はさほど変わらないのに
既に多数の浦和サポーターが
アウェイ側ゴール裏を占拠
試合開始時には、びっしりと埋まる



湘南のサポーター

対する湘南のゴール裏は、ご覧の有様
浦和戦を除外すると
平均観客数は3,000人代にまで
落ち込む厳しいこの頃



紙テープが投げこまれる

選手がピッチに登場すると同時に
湘南サポーターから紙テープが
投げた後は、サポータ自身で観客席にテープを戻す
礼儀の良さでは、Jリーグの優等生


湘南の選手紹介。前園選手(背番号10:MF)が前節でハットトリックを決めたアナウンスが場内に流れると、浦和サポーターから盛大なブーイングが沸き起こる。
試合開始前の衆議院議員河野太郎氏(湘南の代表取締役会長)の挨拶でも同様。だが、河野氏が「札幌が昇格しても(関東から)遠いので、近場の浦和と(湘南が)一緒に昇格しよう」とリップサービスすると、途端に拍手に切り替わる。
サポーターって、単純なのねぇ。余計なことを考える間もなく、試合開始。
スターぞろいの浦和に対し、純国産メンバーの湘南がどこまで対抗できるか、興味深い。

序盤は予想に反し、湘南が激しい動きを披露。鋭い動きでボールを支配し、浦和サイドに攻め立てる。
いきなり強烈なスライディングをお見舞いし、警告を受けるシーンもあったものの、きびきびした湘南の動きに、浦和の選手は戸惑っているようだ。
いや、戸惑っているのは表面上か。僅かな合間をぬい、前線の岡野選手(背番号7:FW)に、緩い縦パスが渡り、とたんにシュートを放つ。
少しでも油断すると、浦和も黙ってはいない。

崩れ落ちる浦和の選手

湘南は手薄な浦和のサイドを突く
激しいチェックに、浦和の選手も崩れてしまう


試合は10分経過。湘南がやや優位の展開には変化なし。
湘南は浦和の連携の乱れに乗じ、サイドを攻め立てる。ゴールライン付近で中央にセンタリングを送り、松原選手(背番号17:FW)がシュートの体制に入ると、ゴール裏はどっと沸き返る。
応援も互いに熾烈。やや控えめな浦和サポーターも、湘南コールに応酬し、反撃開始。
圧倒的な声援に浦和の選手も押されたのか、突如試合を押し返す。
余裕を持ったドリブルで、湘南サイドを突破。個人能力の高さを遺憾なく発揮し始める。
ドリブルで持ち込み、中央に折り返してシュートを放つ。これはGK伊藤選手(背番号1)が裁く。
浦和の単発攻撃を凌いだ湘南は、左サイドを突破。和波選手(背番号11:MF)が浦和選手の背後をするりと抜け、後方からのパスを受け取る。
前線に登りつめ、中央にクロスを送る。互いに息をつく間もない攻防が繰り広げられる。

湘南は和波・前園(背番号10:MF)を中心とした、巧みなパスワークで攻撃を組み立てる。対する浦和は岡野選手のスピードを生かした攻撃など、個々の能力に頼る展開。
均衡が破れたのは前半20分前。湘南の選手が自陣ペナルティエリア内で浦和の選手を倒してしまい(実はハンドでした、ごめんなさい)、PKを与えてしまう。
ボールを蹴るのは、小野選手(背番号8:MF)。伊藤選手の動きを冷静に読み、ゴール右下隅に豪快に蹴りこみ、浦和が先制点を奪取する。

先制点を喜ぶ浦和サポーター

プレー中の写真がピンぼけなので
得点を喜ぶ浦和サポータでもご覧ください


先制点を奪われた湘南には不利な展開。だが、選手達に落ち込んだ様子は見られない。
リスタート後も、シャープなプレーで浦和の守りを崩し、ゴール付近に攻め立てる。
対する浦和は攻め手に欠ける・・・としたいのだが、意外な伏兵からの攻撃が光る。
それはGK田北選手(背番号1)のゴールキック。ボールは前線の選手に一本で渡り、そのままヘディングでシュートの体制に持ち込まれる。
中盤からの浦和の攻撃を、湘南はよく凌ぐものの、田北選手のGKに、予想以上に手を焼いているようだ。
湘南は前園>和波選手の連携が主体の攻撃。だが浦和の守りも厚く、なかなか崩すには至らない。

松原選手

湘南の松原選手(右)がパスを味方に渡し
浦和のピクソ選手(背番号3:DF 左)の
裏に回りこみ、背後からパスを受ける
そのまま角度の無い位置から
強烈なシュートを浴びせる



湘南は松原選手が絶好調。続けてのコーナーキックからのプレーで、前園選手からのクロスをヘッドで合わせる。
こうなると、湘南の一方的な展開。今度は松原選手が右サイドをえぐり、反対のサイドにロングパス。
それを別の選手が中央の前園選手に送り、ボールは前園選手の足元へ転がる。
前園選手がシュートの体制と同時に、浦和の選手と交錯。前園選手はピッチに転がり込むが、プレーは続行。
チャンスは逃したものの、湘南は失点もものともせず、小気味よいチームワークで、浦和ゴールを脅かす。

湘南のホットライン

湘南の前園選手(右)と和波選手(左)のホットライン
細かなプレーも興味深いが
和波選手の俊足を生かしたドリブルが見られず
ちょっと残念



酒井選手のプレー

湘南のもう一人のFW酒井選手(背番号25)は
極端な前進シフトを採らず
松原選手のアシスト役をかって出る



前園選手のコーナーキック

やはり前園選手の注目度は高い
切れの優れたコーナーキックは見もの


前半もロスタイムに突入。湘南はコーナーキックを得て、前園選手がキック。
回転を鋭くかかったボールは、浦和ゴール前に落ちる。後方から湘南の選手が走りこみ、強烈な一撃!!
・・・の筈が、空回りしてしまいボールは大ふかし。その後の松原選手のシュートも、田北選手がしっかり抑える。
湘南が攻撃の主導権を握ったまま、前半を終了。試合運びに適度の緊張感とスピーディさがあり、見応えのある内容。
湘南の組織化された攻撃と、浦和の個人能力の高さを生かした攻撃が激しく激突。
見所も多く、抜かりのない懸命なプレーに満足。こんな日には、カメラを置いて、じっくり観戦に専念したいものだ。
(もちろん、このページの作成は欠かせないので、我慢して撮影を続行します)

ボールに手を伸ばす観衆

この2枚は、ハーフタイム中の光景
ボールボーイ等が投げるボールを受け取ると
協賛スポンサーからのプレゼントが貰える
懸命に手を伸ばせど、ボールの数が少なく
ちょっと奪い合い



旗をねだる子ども

ボールを貰えなかった子ども達が
キングベルI世にチームフラグをよこせと無理な注文
今日のキングベルは元気に満ち溢れ
私ともハイタッチで健闘を祈る


さあ、後半開始だ。このままの流れを湘南が維持出来れば、同点も夢ではないぞ。
序盤は浦和が主導権を握る。中盤の小野選手を攻撃の基点に、前線の選手へ柔らかなパスを送る。
浦和のコーナーキックも、全て(だったと思った)小野選手がキッカー。柔らかなボールタッチは健在だが、キックの精度は低く、ボールがタッチラインを流れることもしばしば。
長期的な観点からして、小野選手のレベルがじり貧になっている気がしてならない。将来の日本代表を背負う技量があるだけに、引っかかる点ではある。

誰?

後半開始と同時に、巨大ゲートフラグが
ところで、描かれた人は誰?



小野選手のスキンヘッド

中央の小野選手は未だ坊主頭
継続している以上、チームの危機感を
周囲にもアピールしているようだ


やがて湘南が本来の動きを取り戻す。ピッチを縦横無尽に駆け回り、得意のパスワークで浦和のゴールに迫る。
対する浦和の攻撃は淡白。縦パスが一本通るが、湘南のGK伊藤選手が難なく裁く。
いや、クビツァ選手(背番号34:FW)は要注意だ。足元のプレーも強く、湘南の選手をひとり、ふたりと振り切り、前線に迫ってくるぞ。
長身でありながら、足元の粘りも卓越。イメージにとらわれ過ぎると墓穴を掘るぞ。

クビツァ選手を防ぐ

クビツァ選手のドリブルを
最後は二人がかりで崩す


ピッチ上では湘南のシュート攻勢が炸裂。観客席もどっと沸き返る。
ボールをしつこく繋ぎ、盛んにシュートを浴びせる。タレント揃いの浦和の守備陣も、さすがに手を焼いている模様。
パスワークが封じ込められかけると、ドリブルでの切れ込みに切り替わる。浦和は防戦一方となる。
浦和はそれでも反撃を試みるのだが、攻撃にゆとりが喪失したのか、クビツァ>岡野選手のホットラインもオフサイドの判定となってしまう。
湘南は守備面でも、クビツァ選手を徹底マーク。これでは浦和も反撃の余地が無い。
攻め手がままならない浦和は、小野選手が積極的に攻撃参加。自らのコーナーキックの跳ね返りをシュートするなどし、攻撃への執念を絶やさない。
それでも20分を過ぎると、湘南のシュート攻勢は俄然勢いを増す。押し上げも強く、浦和陣内で容赦なくボールを拾い、すかさず反撃。
選手の運動量も衰えを知らない。後はゴールにぶち込むだけだぞ!

中盤での応酬

変化が激しく、ボールも盛んにピッチを周回
時には激しいぶつかり合いも



岡野選手がするりと抜け出す

浦和は岡野選手が俊足で抜け出そうとするが
ゴールライン脇で、湘南の小川選手(背番号34:DF)の
スライディングに封じ込まれる
浦和は個人のボール支配率が高すぎか


30分を過ぎ、浦和のコーナーキック。小野選手が蹴ったボールは逆サイドに流れてしまうものの、吉野選手(背番号29:MF)?が拾い、中央のクビツァ選手へパス。
ボールはクビツァ選手の足元に転がり、すかさずシュートを放つが、ギリギリで湘南の選手がガードに入る。
シュートをうまく放てなかったクビツァ選手は、両手で頭を抱え、悔しさを表現。
それでも、ようやくチャンスが到来した浦和のサポーターは、俄然息を吹き返す。平塚の森に浦和コールが巻き起こる。
浦和サポータの盛大な応援に、湘南の選手もプレーがし辛そうだ。その影響からか、選手の集中力が欠け始め、守りに空間が生まれてしまい、そこを浦和に攻め込まれる。
湘南も小川選手を中心によく守ってはいるが、選手層が厚い浦和に対し、果たして何処まで耐え得るのだろうか?

クビツァ選手が走る

湘南の守りに、多少疲れの色が
走りこむクビツァ選手を
小川選手が足で引っ掛けてしまう



小野選手のコーナーキック

小野選手のコーナーキックとなると
ベルマーレサポーターの中にも
カメラのシャッターを切る人も
浦和のキャプテンマークの色は、白でした



攻める酒井選手

湘南の低い攻撃は、緩むこと無い
ドリブルとパスを巧みに織り交ぜ
盛んにシュートを放つが
なかなかゴールを割れない


湘南の絶え間ないシュート攻勢と、浦和のカウンター。勝者はどちらなのだろうか。
この勝負は浦和に軍配が。中盤の岡野選手にボールが渡り、上半身を巧みに揺らし、湘南の選手を振り切り前線に迫る。
飛び出してきたGK伊藤選手の動きを読み、ラストパス。後方から追いついたクビツァ選手がパスを受け、無人のゴールに冷静にシュートを決める。
これで湘南の集中力は途切れてしまい、THE END。
最後は湘南の選手が、突破を図る浦和の選手を引きずり倒し、退場者が出る始末。湘南は一方的に攻めながらも、一矢報いることなく、試合は終了しました。

勝利を喜ぶ浦和サイド

勝利を分かち合う、浦和の選手とサポーター
選手の万歳と同時に、雄たけびがあがり
旗が盛んになびく


残念ながら、湘南の勝利はならず。それでも勝負に対する執着心は見事であり、選手達に盛大な拍手を送りたい。
方や勝利を収めた浦和のサポータは、喜びを爆発・・・いや、意外とそうでもない。
駅に向かう浦和サポーターの表情は、予想に反して冷静沈着。1勝ちには間違えないが、試合は終始劣勢であり、その内容には決して満足していないようだ。
彼らの目標は、あくまでJ2優勝でのJ1復帰。この1勝ちは単なる通過点と捉えているようだ。

更に、浦和サポーターの会話を小耳に挟む。どれをひとつとっても、試合を深く振り返っている。
彼らの姿勢からは、市民ひとり一人がサッカーを深く愛し、レッズというチームが浦和の街にとって、不可欠な存在に昇華しているのを実感させられます。
短いJリーグの歴史ではあるが、10年すら経過していないのに、この変貌ぶりには驚愕ばかりだ。

では、川崎と比較すると(比較してどうする、と言われかねませんが)?どちらの都市も似た部分が多いが、片や街ぐるみで応援するのに対し、川崎では大多数の市民はフロンターレ(ヴェルディも含め)に無関心であり、足元にも及ばないのが現実。
フロンターレが川崎に密着させるためには、どうすれば良いのか?この問いに対する回答は難儀しますが、浦和の取り組みを大いに吸収すべきでしょう。

最後になりますが、私にとってこの試合は現時点で今年1年のベストゲーム。最後ばかりは湘南の集中力が途切れましたが、手抜きが微塵とない真剣勝負に、十分満足しました。
まるで昨年のフロンターレの試合を彷彿させてくれる。勝負に賭ける直向さが、フロンターレの最大の魅力だったのに・・・。
それと比較すると、今のフロンターレには課題が山積。悩んでも答えは出る術も無く、頭が痛い限りだ・・・。


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