湘南ベルマーレ VS 水戸ホーリホック
J2 第34節
日 時 | 2000年9月23日 19:00 | |||
試合会場 | 平塚競技場 (神奈川県平塚市) | |||
天 候 | 雨 | |||
観 客 数 | 2,186人 (オリンピックに客を取られた) | |||
試 合 結 果 | ||||
湘 南 | 0 | 前 半 | 1 | 水 戸 |
1 | 後 半 | 0 | ||
0 | 延長前半 | 1 | ||
1 | 計 | 2 | ||
得 点 者 | ||||
湘南:前園 真聖(65分:PK) 水戸:ジョン・パウロ(12分),村田 教生(90分) |
日本代表(だけ)のサポーターの皆様、Jリーグも観戦しておくれ
日本代表選手だって、その正体はJリーガーなんだから
サッカーオリンピック日本代表、決勝リーグ進出で日本中は熱気の渦。
今日は準々決勝対アメリカ戦。天気も優れない事だし、テレビに噛りつき、若き勇者を応援するぞ!
・・・いや、湘南の若き勇者も忘れてはならない。日本代表と比較すれば、絶対的な技術レベルは明らかに劣るが、潜在能力では勝るとも劣らない。
・・・筈なのだが、湘南は負けが先行し、J1復帰は既に絶望的。本日の相手はJ2一年生の水戸ホーリーホック。
ホームで勝ちに恵まれない湘南。今日こそは雨の中、日本代表の試合よりも優先してくれた観客の為にも、一矢報いたいところだ。
シドニーオリンピックの日本代表戦と同じ時間帯で
かつ天気は恵まれない
これだけ悪条件が揃えば
J2の試合に誰も行かないのでは・・・
予感は的中し、競技場に向かうバスもご覧の有様
乗客数は僅か8名の悲惨な状況
試合開始小一時間前の競技場内も閑散
日本代表の底辺を支える
Jリーグ(J2ですが)の観客数減少に
危機感を覚えるばかり
それでも熱心なサポーターは応援する
さて、私の姿と言えば・・・
大胆にも!フロンターレの青いレインコートで
湘南サポーター付近に腰掛け観戦
フロンターレの宣伝の為?いや
単にこれしか雨具が無かったという訳
(警告:チームによっては殺される危険性もあるので
真似はしないように)
小雨も小康状態となり、キックオフのホイッスル。日本代表の試合を見慣れた身には、試合のスピード・テンポも驚くほど遅く感じてしまう。
徐々にJ2のリズム慣れてくるものの、序盤は両者平凡な戦い振り。
いささか見所が無い試合展開。応援ばかりが白熱し、水戸の一風変わった応援と、湘南コールが激しく交錯。
平塚競技場周辺は静寂で、両チームのサポータともに絶叫するので、本当に声は響く。
応援がひと段落すると、競技場は閑静な佇まいに逆戻り。ピッチ上の選手達よ、日本代表戦より優先してくれた観客の為にも、もう少々ペースを上げてくれぇ。
水戸は左サイドを盛んに突く
ピッチの湿りの影響か、滑りながらのセンタリングは
踏ん張り切れずにゴールラインを割る
5分も経過すると、自力に勝る湘南がボールを支配。
水戸のマークの甘さも手伝って、ボールを優位に回す。
左サイドを俊足の和波選手(背番号11:MF)が激走し、鋭いクロスを放る。だが細かいミスも目立ち、ゴール前のチャンスまでは至らない。
水戸も反撃は精度が低く、連携も乱れがち。淡白な攻めに湘南の守りは助けられる。
10分を過ぎても、両者連携が悪い。さすがに日本代表の強固な繋がり・・・と比較するのは無理がある。
水戸ペレス選手(背番号37:MF)のパス
水戸の攻撃は、連携が乱れてバラバラ
流れは水戸に傾きかける、サイドから中央にパスを何度も折り返し、湘南にプレッシャーを与える。
でもパスの精度は低く、連携も乱れがち。これなら湘南の守りも崩れない。
攻撃をしのいだ湘南が、前園(背番号10:MF)・和波の突破力で反撃・・・と思いきや、甘かった。
再び水戸に攻め込まれ、鋭いサイドチェンジから、一気に直線的に駆け上がる。
中央にクロスボールが。最後はゴール前に飛び出した水戸のジョン・パウロ(背番号11:FW)と湘南のGK水谷選手(背番号21)が交錯するも、ジョン・パウロ選手が強引に押し込み、ボールは転々と湘南ゴールへ吸い込まれる。
訳も分からぬ間に、湘南は呆気なく先制点を許してしまう。
水谷選手が危険を顧みずに飛び出すも
ボールは無情に湘南ゴールへ
湘南の選手は気落ちしていない。リスタート後も和波選手が俊足を久々に生かし、水戸ゴールに果敢に攻め立てる。
中盤では小川選手(背番号34:DF)が素早いチェックから水戸のボールを奪い、自ら攻め上がりセンタリングを送る。
しかし、湘南は連携が安定しない。何度も前線にパスを送るも、どうしても合わせる選手が不在。
水戸は執拗にチェックせず、湘南との距離を保った守備。湘南はそれに乗じて優位なボール回し。
低くパスを繋ぎにつなぎ、最後はシュート。低い弾丸はゴールを反れてしまう。
スピードは湘南が水戸を圧倒。重いピッチの中、湘南の選手達は自在に走りまくる。
湘南の小川選手も積極的に動く
若干25歳ながらも、若手の多い湘南では
既にベテラン格
水戸の攻撃は控えめ。湘南の反則から立て続けにフリーキックを得るが、その後の積極性に欠ける。
目立ったところは、ジョン・パウロ選手がループシュートを放った程度。概して守りを固めた展開。
湘南はスピードに乗じて、水戸サイドでの一方的な展開に持ち込む。水戸のパスミスに突け込み、ボールを奪取して、盛んにセンタリングを送り込む。
湘南は何度もシュートを放ち、水戸の最終ラインは崩壊寸前。だが最後の最後で、どうしても崩せない。
水戸のディフェンスは、必死に抵抗。綱渡り的ではあるが、身を制して湘南の猛攻を連続して弾き返す。
湘南の選手達も疲れてしまったのか、30分頃になると運動量が軒並み低下。一方的に攻撃しながら、得点を奪えなかったのは痛いばかりだ。
湘南は絶妙な直接フリーキックを得る
前園選手がゴールを睨む
前園選手が前傾姿勢から豪快にシュート!
・・・じゃなく、反対側からフチカ選手(背番号8:MF)が
意表を突いたシュート
だが、水戸の壁に激突し、吸収されてしまった
水戸も少ないチャンスを見逃さない
元ブラジル代表のジョン・パウロ選手が
湘南のDF白井選手(背番号31)を振り切り
一気に前線へ
鍛錬されたプレーから
一転して強烈なシュートが炸裂
湘南もひやひやさせられる
少ないチャンスを集中して生かす水戸に対し、圧倒的にボールを支配している筈の湘南は、どうしたことか決定的な形に持ち込めず。
前園選手のフリーキックは、ことごとく水戸の壁に粉砕。水戸の守りも安定し始め、湘南のライン取りを徐々に解読しつつある。
湘南は中盤より先に前線にパスが送れず、バックラインがパス回し。攻め手を欠く展開に、温厚な湘南のサポータも、さすがにいらつきの声が上がる。
水戸は左サイドを、盛んにえぐりにかかる。ゴールライン際からのクロスの精度は極めて低いものの、湘南にとっては、守備に専念せざるを得ず、嫌な流れになる。
それでも湘南はこの流れを断ち切り、水戸サイドに果敢に反撃を試みる。
前半の残り時間も少ない。湘南は最後の力を振り絞り、水戸も必死に防御する。
最後は湘南の絶妙なスルーパスが。水戸ゴールはがら空きとなり、後は叩き込むだけだ!
・・・ああ、スルーパスは水戸のディフェンス正面へ、このチャンスを見す見す逃してしまう。
ロスタイムに突入すると、ジョン・パウロ選手が湘南の乱れを突き、強烈に突破を図る。湘南はそれを凌いだ場面で前半終了。
湘南が自力に勝るのは、誰が見ても明白だが、この日も決定的なチャンスに持ち込めない。
悪天候の中駆けつけたサポーターの為にも、後半戦の奮起を期待するばかりである。
ジョン・パウロ選手に手を焼いた前半戦
湘南は個人技に優れた外国人選手の
マークが曖昧な傾向も
ハーフタイム中には、恒例の
誕生日を迎えた観客が記念撮影
本日は2組の親子?だけ
客数は落ち込むばかりだ・・・
さて、後半開始。ここから日本代表にも劣らぬ白熱したゲームが始まるぞ!
それはさておき、開始直後は水戸が先制攻撃。湘南の足が動かぬ間に、瞬く間にゴールに迫る。
センタリングから、最後はシュートを放つ。湘南の水谷選手も懸命に弾き、追加点を何とか免れる。
水戸の攻撃は特段スピードは無かったが、湘南の選手ばぼけっとしてしまい、不意打ちを食らった格好だ。
水戸の声出し部隊は、たったこれだけ
にしては、声援は大きく、相当の迫力に驚嘆
前園選手も滑らかなパスを前線に送る
だが流れは直ぐに湘南へ戻る。松原選手(背番号17:FW)が水戸の守りを振り切り、ゴールライン際から懸命にセンタリングを送り、サポーターを沸き立たせる。
続けて酒井選手(背番号25:FW)のシュートも炸裂。押せ押せの展開に、観客席も熱くなる。
しかし油断はならない。直後水戸のカウンターも炸裂し、ゴール前に一気に詰め寄り、コーナーキックを与える展開に。
水戸のプレーは、お世辞にもレベルは高いとは言い難い。それでも少ないチャンスを、確実に狙ってくる。
松原選手も、シャープな動きで
水戸の選手を翻弄する
湘南は流れを寄り戻し、細かいパスワークで水戸を圧倒するも、どうしてもゴール前の混戦を制しきれず、チャンスを潰す展開を打破出来ない。
するとまたまた水戸が主導権を握る。見計らったようなループシュートを放ったり、前後左右に広大にパス回しをするなどし、遅いながらも水戸が優位な時間帯へ。
試合の緊迫感は薄れつつある。湘南が攻撃を押せども、最後は水戸の懸命な守りに阻まれて、水戸のカウンターをやすやすと食らうパターンの繰り返し。
湘南はゴール前で細かく繋ぎ、最後は松原選手にスルーパスを送るが、僅かに距離が長く、相手GK本間選手(背番号1)ががっちりセーブ。得点は遠く険しいばかりなのか。
前園選手の飛び出しも、一歩間に合わず
惜しいチャンスが連続する
湘南のサポーターも懸命に応援。バックスタンド反対側で大人しく観戦していた観客からも、「ベルマーレ」コールが自然発生。
その願いが遂に通じた時が。湘南の左サイドの突破を、水戸の山村選手(背番号2:DF)がペナルティエリア内で引きずり倒し、PKのチャンスが巡って来た。
キッカーは前園選手。自らボールをセットし、上半身を巧みに揺らせながら、GKと逆の方向に蹴りこみ、冷静にシュートを決める。
・・・いや、やり直しの判定。どうやらフェイント行為と見なされた模様。
それでも落ち着いて、2度目のキックもあっさり決める!同点に追いついたぞ!!
湘南の選手が振り切った直後
水戸の山村選手(だと思った)が
ユニフォームを引っ張ってしまった
前園選手は落ち着いていた
蹴り直しのPKも冷静に決める
(ヒデのPK失敗は悔やまれる・・・)
サポーターもようやく一安心
久々のホームゲーム勝利へ驀進するぞ!
さあ、ここからだ。湘南の選手もサポーターも息を吹き返し、見違えるように、機敏なる動きを取り戻す。
前園選手も別人の如く変貌。中盤でボールをコントロールし、司令塔を見事にこなす。
左サイドから渡辺選手(背番号30:MF)がこぼれ球を拾い、中央に折り返す。後方から抜け出した川口選手(背番号3:DF)がヘッドゴールを狙いに掛かる。
水戸のGK本間選手と激しく激突。ゴール前にルーズボールが転がるが、惜しくも寄せ切れず。
湘南はガンガン押し捲り、水戸は防戦一方。この調子で2点目も頂戴するぞ。
川口選手が長身を生かし、ヘッドで得点を狙う
ボールの支配率は湘南が優位
後は確実に得点に結び付けるのみ
後半30分を過ぎても、湘南の優位は揺ぎ無い。
水戸の守備が適当に距離を保つ点を生かし、自発的に鋭いパスを盛んに回し、水戸に焦点を絞らせない。
和波選手のクロスボールに、松原選手が突進してくる。至近距離からダイレクトにシュート!!
ボールはゴールの左側に外れ、絶好のチャンスを殺してしまうも、追加点を期待させる充実した攻撃にサポーターも沸き返る。
水戸の選手は足が止まっている。湘南はワンタッチでボールを軽快に繋ぎ、濡れたピッチをもろともしない強いスルーパスで、追加点を狙いにかかる。
水戸も余力を振り絞り、後半終了直前に最後の攻撃。コーナーキックを基点にした強烈なシュートも、水谷選手が逆に飛びそうになりつつ、懸命なダイビングで逃れる。
互いに譲らぬ攻防が繰り広げられる。勝負の行方は最後まで縺れている。
興奮の余り、小競り合いも勃発
勝負はこのまま決まらず、延長戦になだれ込む。
小雨がぱらついて来たので、カメラ収納し、延長開始のホイッスルを迎える。
さあ、撮影再開・・・。カメラがなかなか取り出せないぞ。
あれれ???水戸が瞬く間に押し寄せてくる・・・。慌ててシャッターを切った瞬間には、劇的なVゴールが突き刺さり、水戸の選手達はガッツポーズで喜びを大爆発させていました。
苦戦を強いられながらも、延長戦を制し
水戸の選手は喜び爆発
湘南のサポーターは一気に沈黙
GK水谷選手も、最後まで立ち上がれず
今日も湘南は勝てなかった。優位な試合運びを生かせず、最後は水戸の闘争心と粘りに屈してしまった。
私も去年の夏から、平塚での勝利を味わっていない。次に湘南がホームで勝利するのが、何時の日であろうか。
小雨混じりの中、とぼとぼと帰路に向かう。善戦も空しく、残念な結果でした。