大宮アルディージャ VS 湘南ベルマーレ
J2 第36節
日 時 | 2000年10月1日 14:01 | |||
試合会場 | 国立西が丘競技場 (東京都北区) | |||
天 候 | 曇り | |||
観 客 数 | 2,201人 (もっと選手達を生で応援しようよ〜) |
|||
試 合 結 果 | ||||
大 宮 | 0 | 前 半 | 1 | 湘 南 |
1 | 後 半 | 1 | ||
1 | 計 | 2 | ||
得 点 者 | ||||
大宮:宮下 真洋(59分) 湘南:時崎 悠(0分),酒井 良(63分) |
どっちのチームがホーム??正解は大宮だったりして
J2もラストスパート。上位チームは悲願のJ1昇格に向け、一瞬足りとも気が抜けない日々が続く。
大宮もそのひとつ。2位の浦和と勝ち点差は11。これ以上差が拡大すると致命傷は免れない。
特に前節の水戸戦に敗れたのは想定外に違いない。是が非でも90分内での勝利を奪い、J1昇格に執念を燃やすのは間違えない。
もちろん湘南だって、先輩格の意地がある。今期のJ1復帰は絶望的ながら、執念では勝るとも劣らない。
両者の思惑が激しく激突。大宮と湘南、どちらの気持ちが勝るのだろうか。
1年ぶりの西が丘競技場
選手との距離を妨げるトラックが無いのは最高
高橋(川崎)市長、川崎にもサッカー専用競技場を!
ピッチに目を向けると、大宮のアップ中
昨年サインを頂戴したヤン選手(背番号3:DF)も健在
大宮は昨年と大幅なメンバー入れ替えは
(特に主力級)なさそうだ
競技場でどうしてキャベツが??
単に会場入り口で貰っただけ
今年は大豊作で野菜の卸値も暴落
捨てる位なら、配ったほうがマシ?
でも美味しそうだ、捨てるなんてもっての他だ
ふろん太君、恥ずかしがらずにこっちを向いて
ふ!ふろん太君!!
いつの間にリスになっちゃったんだ???
(大宮のマスコット、アルディ君に決まっている)
さあ、キックオフ。心配された雨も降らず、肌寒いのを除けば、日差しも弱く絶好のサッカー日和。
立ち上がりは、湘南の攻めが光る。和波選手(背番号11:MF)が俊足を生かし、左サイドをドリブルで駆け上がり、サイドから鋭いクロスを放る。
これは大宮のDF、岡本選手(背番号5)がヘッドでゴールラインに逃れる。場面は湘南のコーナーキックへ。
前園選手(背番号10:MF)がキック!ボールは緩やかにゴール反対に反れ、湘南の選手が突進してくる。
ボールは豪快に大宮のネットを揺らす。開始早々、大宮は湘南に先制点を許してしまう。
湘南の和波選手(右)が
大宮の氏家選手(背番号7:DF)の
スライディングを外し、センタリング
湘南の胸元が、DDIからKDDIに
変化しているのも着目
決定力不足に泣いた湘南が
幸先の良い先制点を叩き出す
このゴールに目が覚めたのか、リスタート後は大宮の優勢。スピード感溢れる細かいパスワークで、湘南サイドに果敢に攻め立てる。
序盤の影響か、大宮の選手は反応が鈍い。それでも徐々に安定度を増し、プレーの精度が高まってきたようだ。
組織力に勝る大宮は、パスを細かくつなぎ、湘南をかき回す。
守備面でも、和波選手に氏家選手が密着マーク。和波選手の飛び出しに食らい付き、自在なプレーを許さない。
和波選手への縦パスは、大宮が難なく見送る
和波選手の反応が遅く、チームメイトから
「和波、行け!」と喝が入るも、追いつけず
大宮のフォーメーションは、超攻撃型。自陣に守備の選手を殆ど残さず、GK以外は湘南の陣内まで常駐している。
選手の攻撃の意識も高い。中盤のマーク選手(背番号10:MF)にパスが渡った瞬間、僅かな間も置かず、一気に前線に駆け上がる。
他の選手も同様。DFもどんどん前へボールを送り、攻撃の手を緩めない。
大宮の攻めに対し、湘南は困惑しているのか、中盤でのミスが少々目立つようだ。
前園選手の突破も
大宮の岡本選手が体を入れ、冷静にクリア
大宮はディフェンスの薄さを
運動量でカバーしている
湘南の連携の乱れをよそに、大宮は優位にボールを支配。湘南の攻撃を中盤で封じ、前線にボールをどんどん集めてくる。
湘南は徹底したカウンター狙い。大宮のミスに乗じて、和波選手を中心に、一気の反撃を試みる。
手薄な大宮の守備網をぬい、松原選手(背番号17:FW)が突進。ゴール前でバランスを崩しながらも、最後はシュートを放つ。
また大宮の守備ががら空きに。湘南の選手がそこを突くが、大宮はGK渡邉選手(背番号20)がペナルティエリアを飛び出し、ぎりぎりの所でボールを蹴り出し、何とかピンチを凌ぐ。
それでも大宮は守りに入らない。マーク選手を基点に、細かく複雑なパスワークで、前線の磯山(背番号11:FW)選手にボールを合わせて来る。
しばらくこの流れが続く。大宮の攻撃一辺倒な試合運びは、とどまる所を知らない。
渡邉選手も忙しい
皆攻撃に転じてしまい
ペナルティエリア外の守りもしばしば
湘南の松原選手が
歯を食いしばりながらも
スピードに乗ったドリブルで前線に迫りシュート
大宮の奥野選手(背番号2:DF)も
集中力を切らさず、シュートコースを封じ込む
20分を経過しても、この流れは変化せず。大宮は一時動きが鈍くなったものの直ちに復活し、ぶ厚い攻撃で湘南のゴールを脅かす。
対する湘南もカウンター狙い一本。大宮の猛攻を凌ぎ、ボールを奪ったら、大宮の選手の裏にパスを送り込み、がら空きの空間を生かす作戦。
湘南は大宮の反則を誘い、フリーキックを得る。前園選手の蹴ったボールに、松原選手等がどっと押し寄せ、大宮の渡邉選手と激しく交錯。場内は悲鳴の渦と化す。
大宮の試合運びは大味。守りは薄く、GKがDFを兼用するのか、ペナルティエリア外の守備を強いられる。
湘南はGKの事情を察し、松原選手がループシュートを放つ。ボールは大きく反れたものの、守備の駒数不足は否めない。
対する攻撃面も、連携が疎になり、個人が強引に持ち込むシーンが目立つ。
気負いばかりが先走り、がむしゃらにミドルシュートを放つなど、先ほどまでのパスワークは影を潜めてしまう。
ご覧の通り、大宮の守りはがら空き
DFは軒並みオーバーラップ
GKを除く総攻撃体制
(大昔の平塚も、そうだったが・・・)
大宮のセットプレーは、意外と安定
コーナーキックでもドンピシャでジャンプ
シュートは惜しくも決まらず、残念
大宮のゴール裏は、毒舌が飛び交う。松原選手がヘッドでボールを繋ごうとしたら、ミスってサイドラインを割り込んでしまい、間髪入れずに「やっちゃった、やっちゃった、もう一回、もう一回・・・」と、冷やかしの言葉を浴びせ掛ける。
スキンヘッドにポーンとボールが当たり、芸術的なボーンヘッド。ふき出しそうな場面だったが(失礼・・・)、ピッチ上ではそれを尻目に、両チームの激しい攻防が延々と続く。
大宮のDFは、攻撃の手を緩めず。奥野選手や氏家選手が、中盤を飛ばしたロングパスを、盛んに前線に送り込む。
だが、守備を放棄した訳でもない。湘南の和波>松原選手もポストプレーも、パスワークを読み切り、相手のミスを誘う。
湘南の酒井選手(背番号25:FW)の突破も、岡本選手が体を入れて防御。大宮のDF陣は、守備に攻撃に大車輪の活躍である。
前半も35分を経過。この時間帯は、大宮の堅守が光っている。
前園選手のボールコントロールにも
大宮は背後から容赦なく襲い掛かる
前半の残り時間も僅か。大宮はバックラインを更に上げ、容赦なく湘南に襲い掛かる。
湘南のファイルを盛んに誘い、セットプレーを得る。マーク選手が再三フリーキックを放つものの、湘南のGK水谷選手(背番号21)の好守に阻まれるなど、どうしても得点を奪えない。
ロスタイムに突入すると、大宮サイドにはGK以外人影が無い。一方的に攻め続けたものの、同点に追いつけずに前半終了。
ハーフタイム中、甲府の勝利や浦和の敗戦が場内でアナウンスされると、どよめきと拍手が交錯。
浦和の敗戦の一報には、特に盛大な拍手が。大宮の浦和に対するライバル心は、フロンターレのヴェルディに匹敵するようだ。
ハーフタイム中は、アルディ君が場内を周回
ふろん太君の二番煎じの気配が、多少はあるが・・・
アルディ君もサインに応じてくれる模様
子どもに愛されてこそ、マスコットの味が生きる
さあ、後半開始だ。バックスタンドの大宮サポーターが輪を組んで、やるぞ〜!!と大声を張り上げ、気合をこめる。
大宮の攻撃を重視したフォーメーションは、揺るぎすら感じさせない。開始早々湘南サイドを果敢に攻め立て、是が非でも得点を奪いに掛かる。
マーク選手のコーナーキックを、ジョルジーニョ選手(背番号27:FW)がヘッドで叩く。ボールは鋭角で湘南ゴールへ一直線も、ここは水谷選手がセーブ。
大宮は全選手が入り乱れての猛攻が続く。細かいパスワークも復活し、ワンタッチで細かいパスを連続させる。
GKを除く、全選手入り乱れての攻撃。もはやDFもMFもFWも無関係にすら思えてしまう。
セットプレーには長身のヤン選手も参加
パワープレーで、湘南のゴールをえぐる
度重なる大宮の猛攻。湘南の選手で立ち向かうのは誰か?
その解は小川選手(背番号34:DF)。ジョルジーニョ選手のドリブルをタイミング良く足を出し、体勢を崩しながらも足にボールを引っ掛け、サイドラインに逃れる。
ピンチを再三凌ぐ小川選手の奮闘振りが大宮を慌てさせたのか、大宮のフリーキックがミスとなり、湘南の選手の真正面へ。
ボールは松原選手に渡り、大股の豪快なドリブルで大宮サイドへ一直線。最後は鋭いクロスを放り、後方から走りこんだ選手のヘッドにドンピシャリ。
ボールはゴール左側に反れたが、大宮の守備の薄さに、不安を残すプレーであった。
中盤では、足の引っ掛け合いで
選手が縺れ込むシーンも
私の目の前では、大宮の選手がアップ中。傍らにはコーチ(中村コーチ?)がおり、ピッチに向かい、色々呟いている。
試合展開に苛立ったのか、「何であんな複雑なプレーするの?」と不満の声が。密集したエリアでの余裕無きパスワークが、いたく不満なようだ。
更に一言、「サイドを有効に使え」。その言葉が通じたのか、無理なパスワークから一転、右サイドの突破に作戦変更。
話を聞くだけでも、結構な勉強になる。サッカーを心身知り尽くした試合分析は、やはり別格だ。
ピッチを真剣な眼差しで見つめる
中村コーチ(だと思う)?
大宮の奥野選手も
サイドの空間をドリブルでのし上がる
(しかし、ここまでオーバーラップするとは・・・)
コーチの祈りが通じたのか、大宮に絶好の機会が。
ゴール前の磯山選手にパスが渡り、相手をかわして足先で絶妙のパスを脇に送る。
そこに宮下選手(背番号17:MF)が割って入り、豪快な一撃が湘南ゴールに突き刺さる。
コーチもこぶしを上げて喜びを爆発。同点に追いついたぞ!!
磯山選手の足技が冴えた得点
私もコーチにつられて
自然にガッツポーズしてしまったりして
さあ、ここからだ。悲願のJ1昇格に望みを託す為にも、絶対に逆点だ。
「くっつけ!飛び出せ!!」、コーチも大声を張り上げ、ピッチ上の選手を奮い立たせる。
選手達も遠慮は無用とばかりに、追加点を狙えとばかりに、果敢に湘南サイドへ攻め続ける。
大宮は一方的に攻めまくる。湘南は小川選手が体にボールを当て、攻撃を凌ぐのがやっとの展開。
ここで大宮の選手の一人が、足を吊ってしまった気配。コーチが監督席に戻り、交代を耳打ちしている。
そんな間に、湘南が反撃に転じる。一気のカウンターで大宮ゴールに迫り、最後は低い弾道が襲う。
湘南のカウンター狙いに揺るぎは感じられない。大宮の守備の綻びを見逃さない戦術のようだ。
・・・なんて間に、湘南に2点目を決められる。再び大宮ゴール正面に低いクロスが渡り、最後は酒井選手が崩れながらも押し込み、再びリードを許してしまう。
(興奮の余り、写真を完全にとり損ねてしまった・・・)
リスタート後、大宮は空中戦を仕掛け、ヘッドで得点を狙う。湘南は白井(背番号31:DF)・小川の両選手が必死に食い下がり、目を離せぬ攻防となる。
湘南のゴール前では、激しい主導権の掴み合い
湘南のパスミスに乗じ
大宮は一気に反撃
最後はジョルジーニョ選手に渡り
振り向きざまに豪快な一撃
湘南の守備の要、小川選手(背を向けた選手)
以前平塚競技場で受け取ったチラシに
小川選手へのインタビューが掲載されており
「後輩の姿勢になるようなプレーがしたい」とあった
今日のプレーは、その言葉が偽りでない証明
激しい衝突で何度も倒れながら
幾度も復活し、盛大な拍手を浴びる
後半も30分近くを経過。大宮は優位な試合運びながら、決定的なチャンスに持ち込めず。
ジョルジーニョ選手のセンタリングに、野口選手(背番号9:FW)が合わせ、強烈なヘディングシュートが一直線!
ボールはポストの僅か上を通過し、惜しくも外してしまう。
大宮のサポーターからは溜息が、ピッチ上からは焦りの空気が漂う。
時間ばかりが刻一刻と、無情に過ぎ去ってゆく。
大宮の落ち込みをよそに、湘南は元気爆発。鋭いセンタリングを放り込み、渡邉選手のファンブルを誘うなど、お返しとばかり攻め立てて、大宮に反撃の余地を与えない。
大宮のディフェンスは攻め疲れたのか、湘南の選手の個人技に、徐々応対し切れなくなる。
大宮の選手に、焦燥感が漂い始める
試合は残り僅か。湘南の猛攻を凌いだ大宮は、最後の反撃。
だが、選手間の呼吸は乱れがち、気負いばかりが先走るのか、強引なドリブル突破ばかりが引き立ってしまう。
小雨が僅かに舞う中、ロスタイムに突入。大宮は捨て身の攻撃に備え、守備要員のヤン選手も最前線へ。
ボールがサイドラインを割り込むと、ヤン選手が急いでスローインへ。コーチもボールの元へ駆け寄り、ヤン選手に素早くボールを渡して、少しでもプレー時間を稼ぐ。
だが、時間は足りなかった。大宮の反撃も虚しく、試合終了のホイッスル。
J1昇格を目指す大宮にとっては、悔いの残る敗戦。湘南相手に勝ち点を逃したのは、大きな誤算でしょうか。
大宮の選手は、メインスタンド・バックスタンド・ゴール裏と
ピッチ全面のサポーターに深々と挨拶
あれだけ口が悪かったゴール裏のサポーターも
「次頑張ろう!」と温かな声援を贈る
この日は2位の浦和も敗戦。大宮にとっては、勝ち点差を詰める絶好の機会だっただけに、敗戦は悔やまれるばかり。
ただ、試合内容は満足。チームが一丸となり、最後まで攻撃重視を貫いたゲームに、満足感は高い。
今まで観戦したゲームは、中途半端な攻撃ばかりだったので、蓄積された鬱憤が、幾分晴れたようだ。
中途半端って、何処のチーム???、・・・余り書きたくないなぁ〜。
おまけ:冒頭のキャベツは、群馬県嬬恋村の高級品とのこと。当初は埼玉県産と勘違いしていたりして。