湘南ベルマーレ VS コンサドーレ札幌

J2 第39節



日   時 2000年10月21日 19:02
試合会場 平塚競技場 (神奈川県平塚市)
天   候 曇り
観 客 数 7,428人
試  合  結  果
湘   南 前 半 札   幌
後 半
     
     
得   点   者
札幌:名塚 善寛(16分),播戸 竜二(68分),
エメルソン(89分)



札幌J1昇格記念につき、特別に背景を用意
去年のフロンターレJ1昇格を彷彿させるなぁ


J2も大詰め、今夜はコンサドーレ札幌が、悲願のJ1再昇格を賭け、湘南ベルマーレとの激戦を迎える。
2年前のJ1陥落以後、昨シーズンは不本意な成績で辛酸を味わった札幌。今期は岡田監督の確固たる采配を基点に、エメルソン選手(背番号9:FW)を軸にした強力な攻撃陣と、リーグ最少失点18の強固な守りで、J2で敵無しの強さを発揮。遂にJ1復帰まであと勝ち点1に迫った。
この勢いは、誰にも止められない。一気に湘南を打ち砕き、J1昇格一直線だ。
もちろん湘南も、地元での胴上阻止が絶対使命。ホームでの連敗の悪循環を断ち切り、札幌のJ1昇格を何としても防がねばならない。
熾烈な一戦は、火蓋を落とされる。札幌の勢いと湘南の踏ん張り、どちらが勝るのだろうか。

札幌サポーターの行列

開場前に平塚競技場に到着すると
札幌サポーターが競技場入り口付近で
渦を巻いて!行列
人数の多さに、ど肝を抜かれる
(ピンぼけなのは、カメラの調整が悪かった為です)



アンケート用紙

毎度の如く湘南側バックスタンドに着席
試合開始を待っていると
Jリーグ主催のアンケート用紙が
手渡されたので、正直に解答
私の字が汚すぎる
(選手名は間違ってないと思うが・・・)



札幌のサポーター

試合開始30分前になると
札幌側バックスタンドは満席
応援は既にヒートアップ
厚別の空気を彷彿させる


両チームサポーターの盛大な拍手に包まれ、試合開始のホイッスル。序盤は湘南がアウトサイドを基点とする攻撃を披露。
だが、流れはすぐに札幌に傾く。前線で細かくパスを繋ぎ、最後は播戸選手(背番号11:FW)がボレーシュートを放つ。
札幌の攻撃を引っ張るエメルソン選手も、抜群のスピードでピッチを駆け回る。湘南は3人がかりでエメルソン選手をマークし、ゴールを割らせないと必死である。

エメルソン選手

ピントが合っていませんが
エメルソン選手の爆発力に
湘南の選手は応対不能寸前
彼に匹敵するスピードの持ち主は
J1にも皆無と断言出来る


だが、J1昇格のプレッシャーからか、札幌の選手はやや固い。湘南もホームで昇格を許すものかと、懸命の反撃を開始する。
フリーキックを得て、フチカ選手(背番号8:MF)が大きな助走からキック。だがこれはジャストミートせず。
それでもボールの支配率は、湘南が上回る。自在なドリブルで固さが見える札幌の選手を振り切り、盛んに攻め立てる。
そんな中、エメルソン選手が一人輝く。湘南の連携の乱れからボールを奪い。自らドリブルで湘南サイドに持ち込みシュートを放つなど、昇格へのプレッシャーを全く感じていないようだ。

試合は10分経過。両者カウンターの応酬合戦に突入。
幾度と無くゴール前に詰め寄り、コーナーキックを軸に得点を奪いに掛かる。共に惜しいチャンスが連続し、観客席はどっと沸き立つ。

水谷選手

札幌の強烈なシュートの嵐を
湘南のGK水谷選手(背番号21)が
連続し懸命に弾き返す
若手ながら度胸のある選手である


湘南は札幌の分厚い攻撃を懸命に堪える。だが遂に結界は破られた。
再び札幌のコーナーキック。伊藤選手(背番号19:MF)が左足を滑らかに振りぬき、ボールは曲線を描きゴールへ迫る。
そこに名塚選手(背番号5:DF)が詰め寄り、ヘッドで押し込み先制点を叩き出す。
かつては平塚に在籍した名塚選手の得点に、湘南サポーターも神妙な表情を浮かべ、沈黙してしまう。

伊藤選手のコーナーキック

昨年までフロンターレに在籍した
伊藤選手が冷静にキック



札幌の先制点

カメラを構えた時には
既に札幌の選手の姿は無く
ボールが転々とゴール内を転がっていた


リスタート後は湘南が押し返す。再びミドルレンジから、フリーキックのチャンスを得るが、松原選手(背番号17:FW)のキックは札幌の壁に当たり、チャンスを逸脱する。
ならばと前線にスルーパスを送り、札幌の隙間をぬおうとするが、これもコースを読まれてしまう。
それも駄目なら、ミドルシュートをお見舞いだ・・・。札幌の守備に慌てた様子は無く、GKの佐藤選手(背番号1)が落ち着いてボールをセーブする。
打つ手が失せた湘南は、リベロの小川選手(背番号34:DF)が盛んにロングボールを送り込むものの、前線の選手にボールが繋がらず、得点の機会にはどうしても至らない。
先制点で固さが取れた札幌は、徐々に反撃開始。相手の連携ミスを巧みに突き、エメルソン選手の突破力を軸に、湘南ゴールを脅かす。

エメルソン選手の突破

ちょっとでも気を抜くと
エメルソン選手が牙をむく
彼を見たのは鳥栖での開幕戦以来ですが
機敏さは俄然増しているようだ



和波選手のパス

湘南も和波選手(背番号11:MF)が
前線にパスを送るも・・・
札幌が既にマークに入っており
自在なプレーは封じ込められる


30分近くになると、札幌はバックラインをぐっと押し上げる。湘南はハイボールで札幌の背後を突く目論見だが、札幌の守備陣は好守の切り替えが極めて早い。
湘南のパスに合わせて、ディフェンスの選手がすっと引く。素早くボールに追いついて、容易くチャンスを与えない。
エメルソン選手のスピードは、驚異の一言。余りのスピードに観客席からでも、一瞬見失いそうになる。
これだけの選手の移籍金が2億円。彼がJ1でプレーすれば、日本選手のレベルアップにも直結する。
だれか資金を提供してくれる、気持ちの広いお方はいないんでしょうかねぇ。
(札幌では一口5万円の株主を募り、エメルソン選手の移籍金を確保する模様です。札幌の皆様、どうぞ宜しく。)。

湘南のセットプレー

湘南のフリーキックは、また大外し
セットプレーを次に生かせず
得点の機会を自ら殺してしまう


札幌の圧力に、湘南の守備陣はたじたじ。小川選手がクリアに迷ってしまい、その隙に札幌の選手にボールを奪われる。
右にボールを叩き、センタリングが襲う。湘南は一瞬の間にピンチに陥る。
ピンチを凌いだ湘南はカウンター。和波選手が左サイドを抜け出し、ペナルティエリア付近でセンタリングを上げる。
・・・がこれも流れてしまい、ゴールラインを割ってしまう。和波選手のパスの精度は極めて悪く、湘南サポーターも不満顔だ。

和波選手のカウンター

去年の和波選手は驚愕の突破力を
誇ったものの・・・
この一年で平凡な選手に凋落してしまった
彼に限らず、湘南の若手の成長度は
極めて悪く、チーム環境に問題があるとしか
言い様が無い


湘南は懸命に反撃するも、気持ちばかりが空回りしているのか、ゴール前で連携が乱れるの繰り返し。
ポストプレーを試みるなどはするが、札幌のディフェンスラインも固く、得点の形に持ち込むには至らず。
場内は札幌の応援が反響し、さながら厚別の様相。そんな舞台の中、前半終了。
札幌の攻撃陣は固さが残るものの、守備は安定し磐石の態勢。リーグ最少失点の守りは、さすがの一言だ。
方や湘南は、攻撃の連携が乱れがちで、プレーに進捗が感じられない。
このまま札幌の胴上げを、無抵抗で許してしまうのか?。それが一番嫌なのは選手自信の筈。
短い休憩時間で戦術面をチェックし直し、後半戦に挑んで欲しい。

スバルのフォレスター

トラックに展示中のフォレスター君も
一抹の寂しさを隠せない?
誰も着目していないようだし
宣伝効果は期待出来ず・・・?


札幌サポーターの興奮が渦巻く中。試合は後半戦に突入。
序盤は札幌が優位な展開。湘南も前線で松原>酒井(背番号25:FW)と繋ぎシュートを放つが、惜しくも札幌の選手に当たってしまう。
続けて渡辺選手(背番号30:MF)が右に流し、走りこんだ選手がセンタリング。
ボールは酒井選手の頭にドンピシャリ、GKの頭上をボールが通り、札幌ゴールのネットを静かに揺らす。
・・・が無情にもゴールポストに当たってしまい、跳ね返りを押し込むも、これもゴールにならず。
折角のチャンスも同点に追いつけず。湘南は天も味方しない。

アウミール選手と中里選手

札幌のアウミール選手(背番号10:MF 左)の
チェックに入る、湘南の中里選手(背番号33:MF)


試合はしばし流れが止まる。中盤の小競り合いの中、札幌のビジュ選手(背番号8:MF)が右サイドにロングパスを送る。
右サイドぎりぎりで選手が追いつき、そのままセンタリング。ボールはゴール正面に転がり、札幌の選手が豪快なシュートを放ち、湘南も水谷選手が懸命に防ぐのが精一杯。
札幌の流れるようなプレーに、思わず感動。選手間の呼吸が完璧に調節されている証明だろう。
方や湘南は、ピンチの連続。選手も疲労の色が濃く、札幌の高度な攻撃に応対し切れない。

ビジュ選手のセンタリング

このサイドチェンジは、お見事
選手の目が幾つ有るのか
不思議に思えた位



湘南の連携

湘南も中里>小川選手と繋ぐが
攻撃は途絶えてしまう
守りの要である小川選手にミスが目立ち始め
守りも不安定さを増してくる


湘南も前線に選手を集中させ、懸命に得点を奪いに掛かる。低いパスワーク等で札幌の守備網突破を図るが、札幌の守りに抜かりは無く、ゴール前に迫るに至らない。
和波選手のアウトサイドからのセンタリングも、軒並みゴールラインを割り込み、精度は低下する一方。懸命さはひしひしと伝わるものの、個々の選手に落ち着きが感じられず、得点の形は生み出せない。
まだリードは1点だけだ。慌てる必要は無いのだが、選手の自信は、既に崩壊しているかのようだ。

高田選手のシュート

湘南は高田選手(背番号9:MF)が
角度の無い位置で崩れながらのシュートを放つも
佐藤選手の好守に阻まれる
その後のフチカ選手のコーナーキックも
得点に絡めず
札幌の堅守に、歯痒いばかりだ


札幌は完全に落ち着き払っている。守備をしっかりと固め、湘南の猛攻を万全の体制で防ぎ、着実にチャンスを覗う作戦のようだ。
湘南の攻撃が尽きた瞬間、札幌が猛反撃。再三のシュートの嵐に、湘南は水谷選手が懸命のパンチングで、防御するのが精一杯。
札幌の攻撃は容赦無い。水谷選手の足が一瞬止まり、それを嘲笑うか如く、播戸選手(背番号11:FW)彼の頭上にボールを放り込む。
ボールは湘南ゴールを静かに揺らす。J1昇格が決定的とも言える2点目に、湘南の観客席は悲愴感に覆われる。
札幌の選手・ベンチ・サポーターは俄然沸き返る。もうJ1昇格は間違えない。誰もが信じて疑わない。

播戸選手のゴール

水谷選手の意地でゴールを防いだが
健闘空しく、遂に力尽きてしまった・・・



得点を喜ぶ札幌の選手とスタッフ

ゴールの瞬間、札幌から岡田監督・コーチ陣が
ピッチに向かい駆け出す
ゴールを決めた播戸選手と岡田監督が
しっかりと抱き合って、喜びを爆発



沸き返る札幌のサポーター

札幌のサポーターも大爆発
場内に札幌コールが木霊する
もう勝利とJ1昇格を
確信したも同然だ


湘南もこのまま朽ち果ててはならない。前線の松原選手に縦パスを通し、一気に得点を狙う。
だが、札幌の激しい当たりに、松原選手は転倒。もはや攻撃の余力は残って無いようだ。
湘南の選手は疲労困憊。それでも選手交代の気配は見えず、サポーターからは不満の声が上がる。
それから数分後、湘南は小松原選手(背番号20:FW)らを投入。攻撃的な布陣で得点を奪いに掛かる。
選手も僅かに息を吹き返し、左サイドを和波選手が駆け上がる。
最後はライン際でセンタリング・・・。だがこれも流れてしまった。
諦めてなるものかと、続けてのプレーで酒井選手がゴールを背にボールを受ける。
すかさず振り向きざまのシュート!。これも札幌ゴールポスト上方を、無情にボールが通過する。
湘南の得点は遠のく一方。サポーターの焦りも濃くなるばかりだ。

湘南は攻撃パターンが失せつつある。札幌の堅守に立ち向かう術が、喪失寸前である。
それでもゴール前の混戦から、再びヘディングシュート!今度も佐藤選手の頭上をすり抜け、ゴールが決まった!。
・・・と思いきや、これもゴールポストに嫌われ、鈍い金属音が場内に響く。
湘南は運からも、完全に見放された。ああ・・・。

コーナーキックも・・・

直後のコーナーキック
湘南は蹴り手が誰もおらず
サポーターから「早く蹴れ!」と
怒声が飛び交う



札幌の守り

湘南は単独で選手が飛び込むも
札幌は横一直線の安定した守り
この守備を打ち破るのは
湘南の力では不可能か


時間は刻一刻と過ぎる。湘南の個々の選手は懸命に攻め、札幌サイドに駆け上がる。
だが、体力面の低下は否めない。集中力も途切れがちで、連携は完全に崩壊している。
守備もボールをクリアするのが精一杯。それも札幌の選手に奪われてしまう。
札幌は既に勝利を確信したようだ。守備をしっかりと固め、前線に僅かな選手を残す程度で、無理な攻撃は仕掛けない。
そしてロスタイムに突入。湘南もセットプレーを軸に最後の抵抗を試みるが、安泰の札幌の守備に対して、対抗する術は無かった。
すかさず札幌のカウンターが襲い掛かる。湘南の守りはがら空きとなり、エメルソン選手が駄目押しの3点目を叩き込み、湘南の息の根を止める。

エメルソン選手の得点

エメルソン選手の爆発力に
もはや抵抗する術も無かった


試合時間は残り僅か。後はその瞬間が訪れるのを、じっくりと待つばかりだ。
程なく試合終了の笛が鳴り響く。札幌側の観客席は歓喜の雄叫びが湧き上がり上がり、無数の紙テープが夜空を舞う。
それでも札幌の選手は冷静を保ち、ピッチの中央で挨拶。
だが、感情は抑えられない、一人二人と札幌サポーターの元に駆け寄り、札幌のサポーターの前にどっと集合し、J1昇格の喜びを爆発させる。

試合終了

試合終了直後の札幌イレブン
割と冷静に、J1昇格の瞬間を迎えたと思いきや・・・



喜び溢れる札幌の選手たち

感情を抑え切れない選手たちが
サポーターの元に向かい
ゆっくりと走り始める



J1昇格を喜ぶ札幌の選手一同

監督・コーチ陣もサポーターの前に駆け寄り
記者に囲まれる中
押し合って喜びをわかちあう
歓喜の余り、飛び降りるサポーターも


コンサドーレ札幌、J1復帰おめでとう。2年間の苦難を耐え忍び、圧倒的な昇格劇でした。
J1昇格の苦しみを知る者として、素直に賛辞を贈りたい。来年はJ1の舞台で大暴れし、札幌旋風を巻き起こす事も、夢ではないでしょう。
岡田監督の手腕にも、最大限の評価を与えたい。昨シーズンの不振を見事に払拭し、確固たる戦術で選手の能力を最大限に引き出した采配は、賞賛されてしかるべきです。
コンサドーレ札幌、感動をありがとう。札幌に春よあれ。

湘南の選手たち

奮戦空しく、うなだれて引き上げる湘南の選手たち
限られたチーム環境の中
彼らは必死に戦ったと思います
だが事実、力関係は歴然としていた
抜本的な策を練らないと、湘南のJ1復帰は
遠のくばかりでしょう



試合結果一覧に戻る