湘南ベルマーレ VS ベガルタ仙台
J2 第41節
日 時 | 2000年11月5日 14:00 | |||
試合会場 | 平塚競技場 (神奈川県平塚市) | |||
天 候 | 晴れ | |||
観 客 数 | 4,287人 | |||
試 合 結 果 | ||||
湘 南 | 1 | 前 半 | 2 | 仙 台 |
2 | 後 半 | 1 | ||
0 | 延長前半 | 1 | ||
3 | 計 | 4 | ||
得 点 者 | ||||
湘南:フチカ(31分),時崎 悠(53分),前園 真聖(83分) 仙台:大友 慧(31・42分),小林 康剛(75分), 伊藤 卓(95分) |
J2もこの試合が最後の観戦か、寂しいなぁ
J2も残すは4試合。本日の対戦は湘南対仙台と、両者目標が薄れつつある同士の対決。
今期は互いに中下位に甘んじ、リーグ戦の立役者となる機会に恵まれず。
秋風が冷たく舞う平塚競技場に、果たしてドラマは誕生するのだろうか。
私が観戦した平塚でのホームゲームは、湘南の全敗。この戦い様では、忍耐強いサポーターも限界に近いだろう。
湘南の雄、ベルマーレよ。最後の休日のホームゲームだけでも、勝利を飾る事はなるのだろうか・・・。
平塚の目貫通りには、試合開催を知らせる
青と緑の旗が
しかし、通りは閑散とし、サポーターの姿も
殆ど見当たらない
試合前の雰囲気が、全く伝わってこない風景
ピッチにはキングベルI世が
それと同時刻、選手紹介が場内に響き
湘南の加藤監督がアナウンスされると・・・
サポーターは白い布を振り回す
成績不振の加藤監督に対する不満が
我慢強い湘南のサポーターも遂に爆発
「加藤監督、さようなら」の意味をこめての行動らしい
特製の横断幕も、同時に掲げられる
汗ばむ陽気の中、試合は静かに始まる。湘南は俊足(である筈だが・・・)和波選手(背番号11:DF)に幸先良くサイドチェンジでボールを繋ぐが、競り合いの弱さゆえ、仙台の守りに阻まれる。
湘南はその後も、和波選手にボールを集中。前線の混戦に縺れこみ、コーナーキックのチャンスを得る。
再三押し込むも、最後は小川選手(背番号34:DF)へ。大きく右にボールを回すが、連携が乱れ、サイドラインを割り込んでしまう。
この時間帯は、湘南のパスワークが冴える。仙台の背後を突いたパスを、盛んに前線に送り込む。
仙台の守りが落ち着かぬ間に、湘南は果敢に攻め立てる。
和波選手を攻撃の基点とする湘南
この日は彼の突破力が、意外と発揮されず
連携を中心とした攻撃パターンで挑む
松原選手(背番号17:FW)も
最初からどんどん飛ばす
このシュートは仙台の選手に当たり
コーナーキックになる
湘南の圧力に対し、仙台の攻撃は沈黙。パス回しのミスが目立ち、右サイドの突破を図ろうとするも、連携が乱れてしまい、なかなか前線に迫れない。
対する湘南は、攻撃の手を緩めない。小川選手のロングパスが、仙台DFの迷いを誘い、誰もクリアしない間に湘南の選手が追いつき、仙台のゴールへ押し込もうとする。
その後も湘南は盛んに押し捲る。仙台は防戦一方で、反撃の糸口すら見出せない。
時間は10分経過。湘南は攻撃を一段落させ、バックラインから、中盤を飛ばして一気のパス。
前線の松原選手一直線。距離も長く、フォローの選手も乏しいためか、この攻撃は仙台に封じ込まれる。
その影響からか、流れは仙台に傾く。湘南のゴール右よりでFKを与えてしまい、ふわりとしたセンタリングから、仙台の選手が突進して来るなど、徐々に攻撃のリズムを掴みつつあるようだ。
仙台は選手間の呼吸がもうひとつだが
徐々に攻撃のリズムを取り戻す
湘南はあくまでも松原選手を得点源にする攻撃。ロングパスを繋いで、前線の彼のヘッドにパスを送る。
対する仙台は、湘南の右サイドを一貫して攻略。斎藤選手(背番号3:DF)>千葉選手(背番号7:MF)と繋いで、千葉選手がミドルシュートを放つも、ゴール枠を大きく外す。
前半15分過ぎ。この時間帯、勢いは湘南。ロングボールに、前線の選手が盛んに走りこみ、仙台の守備陣を慌てさせる。
仙台は攻撃のパターンが乏しく、これと特筆出来る点は見出せない。
仙台の大友選手(背番号29:FW 左)の攻撃も
湘南はフチカ選手(背番号8:MF)が冷静に対処
そして湘南の速攻に
守備面でも、湘南がやや優位
仙台の千葉選手がボールを送る
「カニトップ」、一度実物を見てみたいぞ
(健康食品か精力強壮剤らしいのだが・・・)
やがて試合の動きは止まる。これといった展開も見られず、退屈な時間帯。
湘南は和波>松原選手の速攻程度。仙台もファウルが目立ち、これと進展が図られない。
湘南の攻撃が勢い余り、キーパーチャージ。攻撃がどうも空を切っているぞ。
・・・とぼんやり試合を眺めていたら、突如仙台の速攻。中央にパスが送り込まれ、仙台の選手が突っ込んでくる。
瞬く間にボールはゴールに吸い込まれ、均衡状態は一気に崩れ去った。
仙台の大友選手のシュートが
豪快にネットを揺らした
ボケッとしてしまい、肝心のシーンを撮り逃した
試合再開後は、湘南が反撃。仙台ゾーンに攻め立て、激しいボールの蹴音が競技場内に響き渡る。
そして再びロングボールを前線へ。しかし、仙台は落ち着いてボールを裁き、勢いに乗る大友選手が、湘南のサイドをえぐる。
だが、湘南にも勝機は残っていた。仙台のセットプレーを凌ぎ切り、怒涛のカウンター。
和波>酒井選手(背番号25:FW)と繋ぎ、最後はフチカ選手が滑り込みながらシュート。
ゴールは仙台のゴールに低く突き刺さる。僅かな時間で、試合を振り出しに戻したぞ!
酒井選手の速攻が光った場面
仙台の守りも手薄であった
やっぱりフロンターレ以外であっても
得点で喜ぶシーンは最高です
湘南のゴール後は、仙台が再び右サイドを突く。湘南も和波選手が集中し、仙台の攻撃を防御。
仙台も懲りずに、数人がかりで反撃。湘南は落ち着いて攻撃を交わす・・・筈なのだが、右サイドでディフェンス2人が迷ったパスの回し合いを演じ、そこに仙台の選手が絡んで、最後はファウルを与えてしまった。
仙台は中央に折り返し、シュートの体制。勢いに欠けるものの、湘南の守備はどうも不安定。
・・・何て間に、仙台に左サイドを速攻で疲れ、角度の無い位置から逆転のシュートを浴びてしまう・・・。
またまた大友選手の一撃
場内には仙台サポーターの
「オーシャンセリゼー」の替え歌が響く
前半も残り僅か。湘南は果敢に反撃するも、仙台は選手を後退させ、守りを固めてしまう。
湘南のパスワークに対し、仙台は圧力の守備で対抗。両者激しい動きの中、前半を終了。
湘南は確かに良く攻めてはいるが、どうも進歩が感じられず、単調に思えてしまう。
だがまだ前半。後半の逆転劇に期待しよう。
日に日に減少する、試合当日が誕生日である
観客の撮影会
昨年ならば、最低でもこの5倍以上は
揃って撮影したような記憶が・・・
日差しは一向に和らがない。汗を拭きながら後半のキックオフ。
湘南のサポーターは異様に静かだ。まさか応援まで放棄・・・かと心配したが、数分後に応援再開。
湘南は後半から高田選手(背番号9:MF)を投入。シャープな動きを武器に、大逆転を狙う。
和波選手も負けじと、左サイドを駆け上がる。軽快にセンタリングを送り、コーナーキックを誘う。
そして仙台ゴール前の混戦へ・・・、だが湘南の得点は、どうしても遠い。
フリーになると、和波選手の快足が光る
だが、クロスボールは依然得意そうじゃないぞ
湘南も前半のお返しとばかり
仙台の左サイドを有効に攻める
湘南は押せ押せムード。フリーキックから松原選手がヘッドで繋ぎ、酒井選手が滑り込みながらのシュートは、惜しくも外す。
周囲は湘南!コール一色。得点の期待が否応無く高まる。
そしてその時が。続けてのコーナーキックを、時崎選手(背番号23:DF)がヘッドで押し込み、またまた同点だ!
見事なゴールシーンを取り損ねたので
これまたゴール後の一幕を
さあ、試合は振り出しだ。ここで前園選手(背番号10:MF)が投入され、行け行けムードだ。
体制を崩しながら、前園選手がセンタリング。反対側の松原選手がボールに合わせ、仙台のゴールを脅かす。
湘南のサポーターもどっと沸き返る。前園選手は力強い動きで、他の選手を引っ張る。
前線の松原選手と酒井選手も俄然輝きを増す。湘南の圧力に、仙台は必死で抵抗を試みる。
湘南の酒井選手と
仙台の賀谷選手(背番号4:DF)が
激しいボールの奪い合いを演出
時間は15分余り経過。両者動きが激しくなり、押しつ押されつの攻防が続く。
湘南のパスの乱れを突き、仙台が反撃。湘南も攻撃を凌いで松原選手がバックヘッドで、中盤の前園選手へすかさずボールを渡すが、惜しくもオフサイド。
仙台がロングパスへ前線へ。ボールが湘南の選手に当たり、ゴールラインに一直線。
湘南は伊藤選手(背番号1:GK)が、ラインぎりぎりでスライディングでクリア、コーナーキックを必死に防ぐ。
この展開がしばらく続く。湘南は速攻で、仙台は右サイドのえぐりで、得点を狙いに掛かる。
湘南の高田選手は
ボールを持つ選手にパスコースを指示しながら
自ら先回りして、ボールを待つ
仙台は湘南の弱点を右サイドと断定したかの如く、とにかく徹底して攻める。
対する湘南は、中央での強引な攻撃が目立つ。仙台の手薄な守りを振り切り、突破を図る。
高田選手がスルーパスに走りこみ、シュート。続けて押し込むがこれも得点ならず。
サポーターからは悲鳴が。最後は仙台が、懸命の守りで、湘南の猛攻を守り切った。
湘南は空中戦を仕掛ける場面も
仙台のGK、高橋選手(背番号1)が
一足早くジャンプし、ピンチを断ち切った
これは松原選手の華麗な足裁き
こんな繊細なプレーも時折披露
仙台のラフプレーが頻発。湘南は更に船越選手(背番号32:FW)を投入して、攻撃態勢を強化。
ただ、湘南は守りが貧弱。ルーズボールに対するボールも仙台に先を越されるなど、消極さが気になる。
依然として両者激しい攻防。湘南は松原選手の一瞬の飛び出しと、仙台はセットプレーを基点に、互いに譲らぬ展開。
ここで湘南の守備にほころびが。仙台はゴール前を軽快なパスワークで結び。最後はヘディングで湘南ゴール突き破る。
仙台は3点目。湘南は2度も追いついたのに、また突き放される・・・。
仙台も途中交代の
小林選手(背番号19:FW)が
改心の一撃を決める
夕日に冴える仙台のサポーター
左上の「伊藤家の食卓」横断幕は
伊藤選手(背番号14:MF)をなぞったものらしい
(名前が卓なので)
後が無い湘南は猛反撃。高田選手が起死回生のミドルシュートを放つ。
仙台のサイド攻撃を凌ぎつつ、更に反撃。右サイドの川口選手(背番号3:DF)にボールを流し、センタリング。
そこに船越選手が突進。この場面は高橋選手が一足早く飛び出し、ファインセーブで防ぐ。
それどころか、仙台の猛攻を食らう始末。地を張った速攻は、日差しと同様、中々衰えない。
両者死力を尽した戦い。攻め手は守ってのシーソーな時間帯となる。
奥手が船越選手
昨年の彼は下半身が異様に弱い
弱点を抱えていたが
今日の試合に関しては、まあまあ合格点か
低いパスを受け、すかさずシュートを放つなど
それなりに弱点は解消された様子
仙台の右サイド攻撃はとまらない。湘南も必死に攻め返し、中央に折り返して松原選手のヘッド。
しかし、これも高橋選手の手が早かった。時間は残り少なく、日も徐々に傾きつつある。
湘南のサポーターも焦りの色が。今日もダメか・・・いや、まだ希望はあった。
前園選手の低い弾丸が炸裂!ボールは強烈に仙台ゴールを揺らし。3度同点だ!!!
前園選手が僅かな隙間から
地を這うシュートを放つ
諦めかけていた観客席も
一斉に沸き返る
この喜びようは半端じゃない
さあ、湘南の大逆転だ!選手もきびきび動き、沸き立つシーンの続出。
あれ?またデジタルカメラが不調だ。シャッターを押したら、応答が無くなった(泣)。
何でこんないい場面で、おかしくなるの〜。必死に調整を繰り返す最中にも、湘南は一方的に攻め立てる。
どうにか直ったぞ・・・、お〜い、その間に後半戦が終わっちゃったじゃないかよ〜。
折角の好場面をやすやす撮影し損ねる。だがまだ試合は終わっていない。
延長のVゴールで、ホームゲームの連敗を断ち切ろう。それが地元サポーターに対する、最高のプレゼントでもあるぞ。
デジカメが正常に戻ったのは、延長開始直前
稀に発生する症状に
こんな場面で苦しめられるとは
何なのだ〜オリンパス殿
いよいよ延長開始。仙台のラフプレーで、湘南はフリーキックのチャンスだ。
だが、これも大ふかし。セットプレーの乱雑さは、どうも否めない。
続けて中央の前園選手が、前方に走りこむ松原選手にロングパス。
仙台の守備も薄い。これが通れば絶好のチャンス。
通ったぞ・・・しかしオフサイドだ〜。続けて和波選手が左サイドを突破し、中央におり返す。
中央の選手が豪快にヘッド!強烈なシュートは、仙台ゴールポスト脇を、もの凄い勢いで通過する。
更にはコーナーキック。仙台はゴール前を完全に固め、湘南の自在なプレーを決死に封じ込める。
船越選手も仙台の選手を振り切り
シュートを放つものの、ゴール枠の外
決定的なチャンスは湘南が圧倒するも
どうしても最後で崩れてしまう
湘南の押せ押せムード。サポーターはだれもが勝利を信じていた。この時までは。
だが、一瞬の隙から水戸戦の悪夢が再来。仙台の選手が右サイドをカウンター。僅かな間に湘南ゴールに迫る。
守備が乱れる間に仙台のシュートが炸裂。伊藤選手(背番号1:GK)のジャンプは及ばず、ゴール上隅へ。
ボールはポストに跳ね返る。このボールをどちらが奪い取るか・・・。
勝者は仙台だった。伊藤選手が押し込んで、劇的なVゴール。
仙台の選手は喜び爆発。湘南の選手は崩れ落ち、微動だにしない・・・。
跳ね返りを伊藤選手が気迫で押し込む
湘南は圧倒的優位な筈だったが
僅かな気持ちの緩みから、地獄に落ちてしまった
まさかの敗戦に呆然と立ち尽くす、湘南のサポーター
試合に負けたら、白い布を振り回すつもりだったが
ショックが酷く、その姿は疎らだった
加藤久、くそったれ!
温かな拍手で選手を出迎えるが、選手が去った後は、温厚なサポーターも遂にぶち切れる。
そしてサポーター同士で集まり、リーダー格の方が苦悩を打ち明ける。
いつまでも拍手だけで良いのか、もっと意思表示をする必要がある・・・等など。
だが言葉には脈拍がない。窮地に追い込まれたサポーターは、何もかも見失ったようだ。
リーダー格の方は熱弁を振るうも
覇気に失せ、方向性を打ち出せない
私が語るまでもないが、湘南の現状は悲惨そのもの。選手・監督・スタッフ・サポーター等、全てが自信を失い、チームは沈没寸前だ。
監督の采配も目指すものが不明瞭で、もはや信頼は喪失。この試合に限れば、選手交代のタイミングは評価出来るが、今期でチームを没落させた責任は否めない。
これでは監督交代も当然だ。何故その声が今まで上がらなかったのが、余りにも不思議だ。
それ故か、選手達も連帯に欠ける。ピッチで声を張り上げ、リードを買って出る選手もおらず、疑心暗鬼に陥っているようだ。
湘南のサポーター・ファンにも苦言を申し立てたい。この惨状を何時までも許容している神経が、理解不能だ。
ホームで連敗を重ねているのに、何故拍手?負けたのに悔しくないのか、悲しくないのか、泣きたくないのか。
この成績では、チームの存続すら危ぶまれる。エンターテイメント的な観点からしても、今の湘南は失格だ。
スポンサーだって、ただ金を排出している訳じゃない。既にフリューゲルスが消滅した事実もある。
一番悲しかったのは、湘南のサポーターが私に「加藤監督をどう思うか」と尋ねた際、私が正直に「フロンターレのサポーターだ」と返答したら、怖気ついて立ち去った事。
他のチームのサポーターの意見を聞く余裕も欠けるなんて・・・、互いにサッカーを愛する仲間なんだ。
私も今期何試合か観戦している旨を伝え、現状に対する意見を述べたかっただけなのだが・・・。
それとも率直に「今の湘南に進歩が無い」と言ったのが、余程ショックだったのだろうか。
それだけ湘南のサポーターには、真摯な意見を述べる場も無かったのか、そう考えると、ますます悲しくなる。
Jリーグ100年計画。長い歴史の中では、最高の時期はもとより、苦しい時期だってある。
地域に根付かせるためにも、もっとスタンド・ピッチ外で、自らの意思を明確にさせる必要もある。
そうでなければ、何も変わらない。停滞はやがて、崩壊を招くだけなのだから。