イングランド VS スウェーデン

〜 2002 W杯 予選Fグループ 〜



日   時 2002年6月2日 18:30
試合会場 埼玉スタジアム2002 (埼玉県さいたま市)
天   候 晴れ
観 客 数 52,721人 (何故か満員ならず)
試  合  結  果
イングランド 前  半 スウェーデン
後  半
     
     
     
得   点   者
キャンベル 24分   59分 アレク
サンデション


世界の祭典、夢のW杯。一生に一度限りの、国内開催だ。
熱心なサポーターの努力が実り、国内販売分にサポータ枠が確保。足繁くスタジアムに通い、チケットの裏面に幾度と無く私の名を書き続けた。
どんな試合でも良い、世界が熱狂するその舞台に、何としても、何としても行ってみたい。
頼む、当選してくれ・・・。真摯な願いがサッカーの神様に届いたのか、晴れて当選を勝ち取った。
試合会場を確認すると、埼玉だ。近場とあって、実に幸運だ。
しかも!対戦カードはイングランドとスウェーデン。強豪と古豪が激突する、最高の決戦だ。

W杯チケット

待望のW杯チケット
当選すれば何処でも駆けつけるつもりであったが
近場の埼玉&強豪同士の対決に
こんな幸運にめぐり合うなんて、サポーター冥利に尽きる
(もう一枚は母にプレゼント)


「死の」F組だけあって、初戦から全力勝負を期待出来る。初戦で敗戦を喫してしまえば、予選突破は危うくなるのは、誰もが承知しているはずだ。
オーウェン(背番号10:FW)・ベッカム(背番号7:MF)を擁し、圧倒的攻撃力を誇るイングランドと、堅守と高度な組織性が自慢の、北欧の勇者スウェーデン。
晴れの舞台を制するのは果たして・・・。キックオフを前に、胸の鼓動は高まる一方だ。

浦和美園駅

混乱と混雑を避けるため、早めに出発
写真は最寄り駅の、浦和美園駅
キックオフから4時間以上前と言うのに
既に多くの人でごった返す
赤白(イングランド)と黄青(スウェーデン)の
サポーターが、各所で応援を繰り広げている



入口により通路が異なる

人ごみを掻き分け、競技場へ足を運ぶ
と、早速分かれ道が出現
競技場の入口(南北2箇所)により
指定された通路を進めとの指示
私は南ゲートだったので、左手を進む



入場待ちの行列

開場1時間前に、競技場へ到着
開門待ちの列は予想外に短く、50m程度であろうか
周囲の警備も周到で
混乱は何一つ発生していなかった



厳しい入場チェック

入口の脇には、入場チェックの案内が
物議を交わした、身分照会は
果たして実施されるのだろうか?



陽気なイングランドサポーター

心配をよそに、サポーターは至って陽気
イングランドサポーターは
自慢の旗を広げ、記念撮影に興じる
フーリガンらしき者は誰もおらず
サポーターの雰囲気も上々だ



ビニール袋が配布

スウェーデンサポーターも続々集結
興奮の度合いが高まり、開門時間が迫る
と、係員からビニール袋が配布される
この中に貴金属類を入れ、入場チェックに備えよとの事



ボディチェック中

さあ、待望の開門だ
入場チェックの際にノートパソコンを持参した事を、正直に申告
係員が一瞬対処に困惑するも
禁止リストの対象外で、持ち込みOK
ボディチェックもパスし、晴れて場内へ
ちなみに、身分照会は行われなかった



売店はごった返す

その足で、付近の売店へ直行
が、観客が一気に押し寄せ
パニック寸前の大混乱に陥る
販売員の数が少なく、グッズひとつ買うにも
30分以上も要してしまった
売れ行きは好評のようで
特にイングランドのグッズは、発売開始20分程度で完売



場内

世界の舞台へ足を踏み入れる・・・
紛れも無い、まさにそこが、最高峰の舞台だ
反対側にはイングランドの赤白の旗が
所狭しと掲げられている
感激と興奮で、鳥肌が立った



私の座席

私の席となった、23列63番
ピッチからの角度も丁度良く、文句無しだ



試合前のイベント

キックオフに先立ち、華やかなイベントが
そのひとつ、両国国旗のチアリーディング
鮮やかな演技が、なんともまぶしい
(イングランドの旗は、厳密には国旗とは異なるが)



スウェーデンサポーター

申し遅れましたが
私が着席したのはスウェーデン側
続々と黄色のサポーターが集結し
欧米人特有の低い声を響かせる



練習開始

練習で選手がピッチに登場すると
場内からうねりのような歓声が
はちきれんばかりの熱気に、早くも圧倒されそうだ


夕暮れと共に、待ち憧れた瞬間が訪れた。お馴染みのテーマソングが場内に流れ、両チームの選手がピッチに登場する。
続けて国歌斉唱へ。沸き上がる熱き魂に、身震いを覚えたのは私だけで有るまい。
両チームの選手がピッチに散る。センターサークルにボールがセットされ、夢の決戦がキックオフ。

選手入場

選手たちがピッチに現われた
憧れの決戦が、火蓋を切って落とされようとしている


興奮冷めやらぬ間に、イングランドが猛攻を仕掛けてきた。ベッカム選手を基点に、右サイドを激しく切れ込んで来た。
スウェーデンもしっかりと守備を固め、イングランドの先制パンチを必死に耐える。直後、せきを返したように、一気にカウンターを披露。
ボールは中央縦一直線。一瞬の間に、ゴール正面のラーション選手(背番号11:FW)へ。
開始直後から激しい展開だ。観客も総立ちで、ピッチに熱い視線を注ぐ。

序盤の攻防

イングランドが右サイドを鋭く攻める
バッセル選手(背番号20:FW)にチャンスを託すが
スウェーデンもヤコブソン選手(背番号15:DF)が
落ち着いてクリアする


イングランドのサイド攻撃はなおも続く。緊迫した攻防の連続に、観客も着席せずに釘付けだ。
イングランドの鋭いクロスが、スウェーデンゴールを襲う。手に汗握る、最高の展開だ。
が、背後から座れ!座れ!と怒声が響く。スウェーデンサポーターが総立ちし、視界をを遮られてた日本人観衆も、多くは座席を立っている。
それに怒った一部の観客が、大声でまくし立てる。普段はサッカーを見慣れぬのか、ゴール裏=立って観戦の構図が、理解不能に映ったに違いない。

徐々に試合も落ち着き、観客がぞろぞろと腰掛ける。スウェーデンサポーターも白髪の男性(誰だろう?)の指示に従い、礼儀正しく着席する。
スウェーデンサポーターの紳士的な態度には、好感が持てる。それにしてもゴール裏なんだから、立ち席で観戦するのは暗黙の了解ではなかろうか。
これは日本の恥だ。サッカーの歴史の浅さが、あからさまに露呈した。
実に嘆かわしい。サポーターも勝負を挑むのに、軟弱な観客が余りにも多過ぎる。
それでも大和魂の民族か!!え?そんな自己勝手なのは、私だけだって???

バックラインでボール回し

イングランドがバックラインでボールを回す
それを目の当たりにした、スウェーデンのサポーターは・・・



迫力のスウェーデンサポーター

力強いスウェーデンコールで勝負を促す
シンプルな応援は、誰でも簡単に覚えられる
拍手ひとつとっても、凄い迫力だ


スウェーデンの攻撃も抜け目無い。イングランドのパスをカットし、即座に右へ展開する。
ラーション選手がセンタリング。ふわりと浮いたボールは精度が低く、このチャンスは生かせない。
だが、続けて左サイドを攻め立てる。ユングベリ選手(背番号9:MF)の突破をミルズ選手選手(背番号2:DF)が倒し、フリーキックのチャンスを掴み取る。
鋭いボールが、イングランドゴールへ迫る。守備のこぼれ球をスウェーデンのメルベリ選手(背番号2:DF)が蹴り戻し、スウェーデンが波状攻撃になりつつある。

イングランドも件名の守備で対抗。だが、自慢の攻撃陣とは裏腹に、明らかに乱れている。
浮き球をユングベリ選手が拾い、イングランドゴールを貪欲に迫り立てる。
ゴール正面、ペナルティエリアぎりぎりの位置で、ラーション選手が倒された。
フリーキックか!?、いや、これは違った。スウェーデンゴール裏からは、盛大なブーイングが沸き起こる。
結果には至らぬも、イングランドのお株を奪う猛攻は、迫力満点だ。

メルベリ選手

スウェーデンのメルベリ選手が
こぼれ球をすかさず蹴り戻す


王者イングランドも黙っていない。守備が依然不安定ながらも、スウェーデンの縦パス攻勢を食い止める。
そして中盤、フリーキックの場面。キッカーはもちろん・・・ベッカム選手だ!
ベッカム選手のキックは、左サイドへサイドチェンジ。平凡なキックであったものの、彼がボールを蹴った瞬間、観客席から大きなどよめきが沸き起こる。
ワンツーで繋ぎ、ペナルティエリア内のオーウェン選手へ。足元でボールコントロールに失敗するも、スウェーデンの守備も多少慌てる。
クリアに至る間も無く、最後はGKのヘドマン選手(背番号1)が辛うじて蹴り出した。

こうなるとイングランドの猛攻は止まらない。続けてハーグリーブス選手(背番号18:MF)が左サイドを一直線に駆け上がり、ゴールラインぎりぎりの位置から低いクロスを叩き込む。
ボールは最前線のバッセル選手へ。足元の巧みなボールコントロールで、スウェーデンの堅守を翻弄する。
スウェーデンも3人がマークに入り、ここはバッセル選手を懸命に止める。
スウェーデンも直後速攻に展じ、コーナーキックのチャンスを掴む。イングランドゴール直前で、激しい空中戦に挑むものの、シーマン選手(背番号1:GK)の好守に阻まれた。

ベッカム選手のフリーキック

脅威の回復力で、怪我から復帰のベッカム選手
彼がフリーキックの場面になるや
場内から凄まじいフラッシュの嵐



バッセル選手の攻撃

対するオーウェン選手の動きは
やや精彩を欠いている
だが、バッセル選手の積極的な動きが
スウェーデンの守備を苦しめる



シーマン選手のファインセーブ

スウェーデンもコーナーキックから、ヘッドで一撃を狙う
ここはシーマン選手の勇気あるファインセーブが勝る



バッセル選手がGKと交錯

直後、イングランドも縦パス
バッセル選手が積極的に飛び出し
ヘドマン選手と激しく交錯


気が付けば、前半も半分近くを経過したのか。スウェーデンも中盤からチャンスを狙うものの、勢いは依然イングランドのままだ。
スコールズ選手(背番号8:MF)が中盤から飛び出し、スウェーデンのペナルティエリア内へ。イングランドがコーナーキックを得るや否や、コーナーエリアに観客の視線が集中。
そこにはベッカム選手の姿が。盛大な歓声の中、鞭のような反動をつけ、しなやかなフリーキックを繰り出した!
刃の如く、鋭い弧を描いたボールは、一瞬の間にスウェーデンゴール前へ、観客が総立ちすると同時に、キャンベル選手がヘッドで豪快に押し込んだ。
これが世界のゴールなのか!私の眼前で、紛れも無く最高のドラマは生まれた。
感動と歓喜の渦にもまれ、声が震え、体がじんと熱くなった。

ベッカム選手のフリーキック

ベッカム選手のフリーキックが
しなやかなひねりを加え
シャープなボールが繰り出される



ゴールシーンのつもり

あまりのスピードに、カメラも追い付かない
シャッターを切った時には
画面下のキャンベル選手が
先制ゴールを決めた直後だった
私の視線にも僅かにシーンが飛び込み
鮮烈な記憶に残っている



先制ゴールを喜ぶイングランドの選手たち

先制ゴールを挙げたキャンベル選手を囲み
イングランドの選手たちが喜びを爆発
場内も洪水のような歓声に包まれる


興奮の渦の中、プレーは再開される。先制ゴールでイングランドの勢いは、更に加速される。
瞬く間にボールはオーウェン選手へ。さあ、今度こそ見せ場を作ってくれ!
だが、ここも不覚のコントロールミス。スウェーデンにクリアを許してしまう。
ならばベッカム選手がお膳立て。右サイドを破竹のドリブルで、ぐいぐい前線へと迫り立てる。
観客の視線は、ベッカム選手に釘付けだ。世界最高峰のドリブルに、場内の何万・・・いや世界中の観客が魅了される。

対するスウェーデンも、懸命に突破を図ろうとする。だが、イングランドの守備は持ち直し、中央の抜け出しはままならない。
苦境の時間帯が長く続き、スウェーデンサポーターにはイライラの連続だ。
だが、ここでイングランドのファウル。スウェーデンゴール裏からは欲求不満のブーイングが沸き起こる。
それでもまたとないチャンスの到来だ。スウェーデンの選手が静かにボールを置き、イングランドゴールを冷静に見計らう。
ラーション選手が一瞬のタイミングを狙い、低いキックを披露。ボールはイングランドの壁側面を通過し、ゴール右側へと吸い込まれてしまう。

中盤の攻防

勢いは徐々にイングランドへ
スウェーデンも中盤で激しい守備で対抗するが
イングランドの勢いはそれに勝る


イングランドは中盤から、右サイドにボールを放つ。バッセル選手とミャルビー選手(背番号4:DF)が、タッチラインを跨ぎ、ボールの競り合いを演じる。
粘り強い攻防が続くものの、ここはバッセル選手が勝る。イングランドはスローインからボールを細かく繋ぎ、鋭いセンタリングをすかさず繰り出した。
スウェーデンも攻勢に転じるが、イングランドの守備も余裕で対処。浮き球からチャンスを掴もうとするも、逆にイングランドの反撃を許してしまう。
逆にイングランドが中央を突破し、左サイドへパス。ヘスキー選手(背番号11:MF)がゆったりとキープし、攻撃のチャンスをうかがっている。

スウェーデンもパスコースを潰しに入るが、ヘスキー選手は一瞬の隙を見逃さなかった。ペナルティエリア内のオーウェン選手にパスが渡り、イングランドは追加点の大チャンスだ。
さあ、世界のゴールが炸裂か!。だが、どうした事か、オーウェン選手は再びコントロールミスを犯してしまう。
主砲の不振に苦しみつつも、イングランドは攻撃の手を緩めない。ベッカム選手も積極的に攻撃に加わり、ディフェンスラインも中盤よりも前に、積極果敢に押し上げを図る。
こぼれたボールを、コール選手(背番号3:DF)がミドルレンジから豪快な一撃!。イングランドは攻撃の手を一切緩めず、更にはバッセル選手がスウェーデンゴールに迫り立てる。
そして場面は、イングランドのコーナーキック。ベッカム選手がコーナーエリアに立つと、場内は再びフラッシュの渦へ。
極度の興奮状態の中、鋭いボールはファーサイドへ。ヘディングからシュートを狙うものの、これはタイミングがずれてしまった。

オーウェン選手にボールが渡るも・・・

オーウェン選手にボールが渡る
しかし、足元の冴えが実に悪く
これもコントロールミスを犯す



ヘディングシュートならず

ベッカム選手のフリーキックから
ヘディングシュートを狙いにかかる
しかし、スウェーデンDFもマークが厳しく
ここはジャストミートせず


前半も残り時間が僅かだ。スウェーデンもカウンターから、右サイドを低く展開。
ボレー気味のシュートを放てど、決定的な場面には手が届かず。対するイングランドは、右サイドに大きなサイドチェンジを試みるも、ボールの勢いが強過ぎた。
これはタッチラインを割った・・・。いや、ベッカム選手が追い付き、しなやかなキックで中央へ蹴り返す。
躍動感溢れるベッカム選手のプレーには、観客席からも盛大な歓声が。スウェーデンも同点で前半を終えたいのか、中央から懸命に押し戻しを図る。
腰高のボールをミドルレンジから繋ぎ、アルベック選手(背番号10:FW)がバランスを崩しながらもシュート。
だが、これも決定的な場面には至らず。イングランドの攻撃は多少勢いが失せ、イングランドゴール裏では、ウェーブが沸き起こりそうな雰囲気だ。

前半はこのまま終了。世界の檜舞台は、瞬く間に半分を過ぎ去った。
興奮は未だ冷め遣らない。国内のリーグ戦とは比例しようも無い高度な技の連発に、改めて感慨深くなるばかりだ。
ただ、厳しい点を指摘すれば、オーウェン選手は期待外れ。ベッカム選手が復帰僅かな点を差し引いても、イングランドの破壊力は、この程度であろう訳が無い。
後半はスウェーデンの奮起も促したい。イングランドの守備は鉄壁と言うレベルに達せず、スウェーデンにも付け入る隙が幾らでもある筈だ。
スウェーデンのゴール裏に構える以上、北欧のノルマン魂の爆発を見たい。後半のキックオフが、とにかく待ち遠しい限りである。

イングランドサポーター

ゴール裏を埋め尽くす、イングランドサポーター
当初の印象とは裏腹に
整然と応援をこなしている
フーリガンに対する危惧もあったが
英国紳士らしい応援風景
ビール販売も規制されている為か
酔っ払ったサポーターもおらず


後半開始が近づくにつれ、イングランドサポーターの大絶叫が、場内をこだまする。
もの凄い迫力に圧倒されそうだ。スウェーデンサポーターの声も相当に響くのだが、それすら簡単にかき消されてしまいそうだ。
興奮のるつぼの中、スウェーデンのキックオフで後半開始。イングランドは早々に、左サイドを巧みなパスワークで、一気に切り崩しに掛かってきたぞ。
・・・と、それもつかの間であった。一瞬にして逆サイドにパスを繰り出し、バックラインからミルズ選手が飛び出す。
一直線のドリブルで、スウェーデンゴールへとぐいぐい迫る。余りにも鮮やかなコンビネーションに、思わず息も止まりそうだ。
対するスウェーデンも、右寄りからカウンター。ボールを中央に折り返し、ループシュートを披露する。
だが、ボールを制御し切れない。緩やかなボールは落下が弱く、ゴールラインをすっと割り込んでしまう。

ループシュートの体勢へ

スウェーデンの選手が
ループシュートの体勢に入る
イングランドDFの背後に空間が生まれ
面白い試みであった


イングランドのサイド攻撃は、なおも凄まじい。左サイドを粘ると思いきや、ボールは瞬く間に右サイドへ。
そこには再びミルズ選手の姿が。スウェーデンDFをあざ笑うが如く、怒涛のオーバーラップを存分に披露する。
瞬く間にペナルティエリアに入り、鋭いクロスが炸裂する。不意打ちを食らったスウェーデンもピンチを耐え凌ぎ、右サイドでフリーキックのチャンスを掴む。
ボールは緩いカーブを描く。ラーション選手がヘッドでゴールを狙うものの、イングランドもヘスキー選手が密着マークで、易々とシュートを許さない。

そして、イングランドがカウンターに転ずる。右サイドのベッカム選手が、破竹のドリブルでガンガン駆け上がる。
しかし、スウェーデンも黙ってはいない。ヤコブソン選手が渾身のスライディングで、ベッカム選手の行く手を遮った。
高度な技の競演に、観ている者は魅了され放題。全ての雑念を忘れ、ピッチに釘付けになってしまう。

ミルズ選手

イングランドサイドパスから
ミルズ選手が怒涛のオーバーラップ
ボールを持ってからのスピードも実に速く
FW顔負けの突破力だ



イングランドゴール前の攻防

スウェーデンも空中戦からゴールを狙う
ラーション選手にヘスキー選手が絡み
簡単にシュートを許さない





スウェーデンが一瞬の隙から
縦パスを繰り出し、イングランドペナルティエリア内へ
選手が引きずり倒され、PKの場面か!
いや、それは違った
不本意な判定に、スウェーデンゴール裏から
強烈なブーイングが延々と響く
ただ、日本のサポーターほど神経質では無く
欧米的なおおらかさも併せ持つ


試合の様相は一変しつつある。イングランドの勢いは徐々に失せ、流れはスウェーデンに傾いている。
左サイドを深く切れ込み、コーナーエリア付近で激しい競り合いだ。ボールはイングランドゴール正面へと戻され、ゴールを前で激しい攻防だ。
スウェーデンサポーターのブーイングに触発されたのか、スウェーデンの優位は明らかだ。右サイドの混戦から、アレクサンデション選手(背番号7:MF)が鋭いクロスを放ち、続く選手がシュートをお見舞いする。
イングランドの精彩も失せる一方だ。スウェーデンも絶好のチャンスと判断したのか、イングランドゴールを目掛け、立て続けにボールを放り込む。

イングランドも必死の守備で懸命に堪える。それでもスウェーデンの勢いに圧倒されたのか、中途半端なバックパスから、更なるピンチを招いてしまう。
ラーション選手がボールを目掛け、鋭い突っ込みを図る。このプレーを皮切りに、イングランドの守備は防戦一方の窮地に陥る。
クリアも弱く、ルーズボールが転々と転がる。アレクサンデション選手が冷静にボールを整え、豪快なミドルシュートを繰り出した!
ミサイルのような強烈な一撃が、イングランドゴールに突き刺さる!
オオオオオオオォォォォォーーーーーーー!!!
スウェーデンが遂に、同点に追い付いた!

ゴール裏の私も童心に戻ってガッツポーズ。世界のシュートは実に爽快で、感動の境地だ!!
巨大な絶叫が、スウェーデンゴール裏に延々と響き渡る。

アレクサンデション選手のクロス

イングランドの守備が、突如もろくも崩れ去る
アレクサンデション選手にクロスを許し
ここから窮地に陥ってしまう



イングランドの守備が乱れる

イングランドの守備は防戦一方
選手間の連携も乱れ
単調なクリアすらままならなくなる



同点ゴールを喜ぶ

そして、アレクサンデション選手の
強烈なシュートがネットに突き刺さる
素晴らしいゴールに、ノルウェーサポーターも大興奮
感動だ・・・にしても、日本人はちょっとおとなし過ぎるぞ


試合は振り出しに戻ったぞ。ピッチの勢いは、完全にスウェーデンが支配した。
イングランドの攻撃も直ぐに断ち切り、右サイドから凄いクロスが炸裂だ。
そしてボールは、ペナルティエリア内の選手へ。角度が厳しいながらも、強烈な一撃を繰り出した。
決まったか!?いや、ゴール枠には収まらない。それでもスウェーデンの勢いは圧倒的で、イングランドは袋小路に追い込まれる一方なのか。

声援を送るスウェーデンサポーター

同点ゴールで、スウェーデンサポーターも
完全に息を吹き返した
バイキングの末裔が繰り出す、分厚い声援
日本人にはとてもかなわない


イングランドはここでベッカム選手をベンチに下げる。怪我が完治していないとの処置であろうか。
だが、この交代劇を皮切りに、スウェーデンの闘志は更に鋭く牙をむく。
突如、中盤付近から鋭いカウンターが炸裂。おお!イングランドゴール前に、低い鮮やかなスルーパスが通ったぞ。
ルチッチ選手(背番号16:DF)が一気に抜け出し、スライディングシュート!
入ったか!?いや、シーマン選手が渾身の飛び出しで、逆転ゴールは割れなかった。
それにしても、ルチッチ選手はDFの筈だ。FWと錯覚しそうな猛然さに、ますます圧倒されそうだ。
世界のレベルは日本と比較にならないのか。これでは弱小FW陣は、足元にも及ばない筈だ・・・。

ベッカム選手が交代

ベッカム選手の怪我は
完全には癒えていなかったのだろうか


スウェーデンの勢いはなおも圧倒的。イングランドのスピードは低下の一途で、選手たちも完全に浮き足立っている。
スウェーデンの猛攻は止まらない。イングランドのこぼれ球から、豪快な弾丸シュートが飛び出した。
イングランドはミルズ選手の攻撃参加が頼みの綱。スウェーデンも持ち味の守備が崩れず、決定的な危機は絶対に与えない。
後半も残り時間は1/3程度。試合巧者のイングランドは、初戦は引き分けで良いとするのだろうか。

・・・違う、イングランドも同点では満足しない。スコールズ選手が、角度の厳しい位置から、起死回生の一撃を繰り出した。
スウェーデンのゴールネットが、大きく揺れる。しまった、再び突き放されてしまったのか・・・。
いや、それは杞憂に過ぎなかった。これはサイドネットを揺らしただけであった。
スウェーデンもスローインから鋭いクロス。即座にシュートを放ち、試合はめまぐるしく変動する。
余りのスピードに、カメラも追い付かない。肉眼で試合を追うのすら、困難になりそうだ。

速い攻防が

プレーひとつひとつが、極めて速い
デジカメでシュートシーンを追うのが
殆ど不可能な状態だ
(結局、一枚もシュートらしき場面を収められなかった)


ベッカム選手の抜けた穴からか、イングランドのプレーからは、緊迫感と緻密さが薄れつつある。
頼みの綱はカウンター狙い。左の速攻からスウェーデンのファウルを誘い、更にドリブルから突破を仕掛ける。
徹底した左サイドの攻撃で、スウェーデンの守備を切り崩しに掛かる。それでもスウェーデンの守備は集中し、イングランドに決定的な場面を献上しない。

対するスウェーデンもミドルレンジからシュートを放つ。シーマン選手が抑えたと思いきや、まさかのファンブル。
こぼれ球を狙い、選手が飛び出しを図る。一瞬のミスすら許されない、緊迫の空気は濃くなるばかりだ。
イングランドも得意のオーバーラップから、ミルズ選手からヘスキー選手へ。スウェーデンゴール付近へ迫るものの、疲れの影響は否定出来ないようだ。
イングランドも決定的な場面に持ち込めない。電光掲示板を確認すると、後半も残り少ない。
両者とも勝利が欲しいのか、見応え満点の攻防は止まらない。

激しい競り合い

スウェーデンのアルベック選手と
イングランドのキャンベル選手が
激しい競り合いを演じる


スウェーデンはアンデション選手(背番号22:FW)が、右サイドを大きく旋回。コーナーエリア付近から、クロスの体勢に入る。
ここは、コーナーキックの場面が到来。鋭いキックが繰り出され、ヘディングシュートをお見舞いだ!
違う、完全に欺かれた。ヘディングシュートは完全な偽装工作で、反対側から別の選手がゴールを狙う。
残念ながらバランスを崩してしまい、決定的な場面を逃してしまう。直後、イングランドの速攻を浴びてしまうものの、スウェーデンはすかさず反撃に転ずる。

イングランドゴール前に、ユングベリ選手が進入する。アンデション選手の動きにあわせ、低いスルーパスを繰り出した。
イングランドが懸命にクリアするも、スウェーデンに再びコーナーキックの大チャンスを掴む。
厳しいボールがイングランドゴールに接近。シーマン選手が懸命のパンチングで、絶体絶命のピンチを辛うじて耐え抜いた。
・・・と思いきや、スウェーデンの選手がこぼれ球を豪快にシュート。最後の最後まで、目を離せない展開だ。

だが、ロスタイムも間近に迫り、イングランドには引き分け狙いの気配が漂う。
イングランドのバックラインが緩やかにパス回し。場内からは欲求不満のブーイングが、盛大に響き渡る。
いや、それは完全な思い違い。勝点3を諦めるには、全然早過ぎた。
大きなパスワークからスウェーデンから隙間を生み出し、GKと一対一の場面に持ち込んだ。
これはGKのヘドマン選手が大きく蹴り返す。イングランドは更に波状攻撃に挑むが、スウェーデンも堅守で必死に耐え凌ぐ。
ロスタイムが電光掲示板に表示される。時間は4分とかなり長く、劇的なドラマはこれからだ。

最後の攻防

イングランドは引き分け狙いなのか?
対するスウェーデンはアンデション選手が
果敢にも勝負を挑んできた
最後の最後まで、緊迫の勝負を挑んで欲しい





いやいや、引き分けでは満足行かぬ模様
無理は避けつつも、一瞬の隙を見逃さないのは
強豪チームの基本ポリシー


だが、ロスタイム中は目立った展開に乏しい。
やがて、イングランドサポーターの絶叫が響き渡る。それは一体、何を意味するのか?
その声援に呼応したのか、イングランドの選手達も攻撃を止め、静かにボールを回し始めた。
そう、終焉の時が訪れた。やがて主審の長い笛が響き。世紀の一戦は幕を閉じました。

いや、感動した!某首相の言葉を借りるようで恐縮ですが。心の底から感動した。
世界のプレーを心ゆくまで堪能でき、多くの方に感謝したい。観戦前までは正直、W杯に失望していた部分も多かったが、最高レベルの真剣勝負を一度体験すると、もう何もいらない。
サッカーファンの一人として、最高の一日であった。場内のあの余韻が、今も脳裏に鮮明に残っている・・・。



試合終了後は、互いの健闘を祝し
ユニフォーム交換
サッカーは時として対立を生むスポーツでもありますが
この雰囲気をずっと大切にして欲しい



盛大な拍手が起きる

観客席からは、選手たちに盛大な拍手が
誰もが一体となり、最高の舞台が完成した
ありがとう、全ての人にありがとう



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