単焦点レンズは楽しい
(2006.11.06最終更新)

 

みなさまは単焦点レンズに興味はありますか?ズームレンズが主流の今、倍率が変更不能=不便な単焦点レンズは、選択肢から除外される方も多いかも知れません。
だが!単焦点レンズには単焦点にしか味わえない醍醐味が。同じ写真でもズームレンズと単焦点レンズでは、依然として画像の美しさに歴然たる差が存在するのです。

作例

よくある花のアップ写真。
こんなケースは単焦点のマクロレンズが大活躍。
Canon EOS 20D,シグマ MACRO 50mm F2.8 EX,
絞り優先AE(F5.0,1/400秒),太陽光,ISO200,
露出補正-1/3,RAW(DPP 2.2で現像)
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何故単焦点レンズから美しい画像が得られるのか?。筆者は専門家では無いので詳細は割愛するとして、単焦点レンズでは単一の焦点距離に特化され、幅広い焦点距離をカバーするズームレンズと比較すると、光学面で設計上無理がないためといわれています・・・というより、ずばりその通りか。

一度単焦点レンズの魅力を知ってしまうとズームレンズのピンボケっぽい画像に強烈な違和感を覚え、ますます単焦点レンズの虜になってしまいます。
それでは実際にどの程度差があるのか。EOS Kiss Digital(初代)レンズキットに標準付属のEF-S 18-55mm F3.5-5.6 USMの他に下記の2本を用意、様々な撮影テストを試しました。
  <テストに使用したレンズ一覧>
    キヤノン EF 28mm F2.8
    シグマ MACRO 50mmF2.8 EX


〜 テスト1 高層ビル 〜
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単焦点レンズで撮影
EF 28mm F2.8
 
ズームレンズで撮影
EF-S 18-55mm
F3.5-5.6 USM
F5.6,1/320秒,AWB,ISO 100相当で統一

EF-S 18-55mm F3.5-5.6 USMは安価ながらも優秀なレンズであり、一見すると差が分かりません。
しかし、奥の高層ビルの窓ガラスの格子のノイズの少なさはEF 28mm F2.8がややリード。手前のビルの鮮明さもEF 28mm F2.8が勝っています。
左脇の照明もEF 28mm F2.8の鮮明さが光り、明らかな差となって現れています。

〜 テスト2 夕暮れの街中 〜
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単焦点レンズで撮影
EF 28mm F2.8
 
ズームレンズで撮影
EF-S 18-55mm
F3.5-5.6 USM
F5.6,1/50秒,AWB,ISO 100相当で統一

こちらも差は極小ですが、EF 28mm F2.8の方が全体的にメリハリがあり、細部まで表現され好印象。
特に手前下のミラーの鮮明さが格段です。ただ、EF-S 18-55mm F3.5-5.6 USMは適度にボケており、照明の暖かみではEF-S 18-55mm F3.5-5.6 USMに軍配が上がるかも知れません。

〜 テスト3 マクロ撮影 〜
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単焦点レンズで撮影
MACRO 50mm
F2.8 EX
ズームレンズで撮影
EF-S 18-55mm
F3.5-5.6 USM
F5.6,1/100秒,AWB,ISO 100相当で統一

こちらも甲乙付け難い勝負ですが、鮮明さ・細部の表現力でMACRO 50mm F2.8 EXに軍配があがります。
このサンプルではF値を5.6まで絞っています。理由は単純で、EF-S 18-55mm F3.5-5.6 USMの制限で開放不可(撮影条件を同一にする目的)だった為です。
MACRO 50mm F2.8 EXでは絞りを更に開放出来るため、背景のボケ具合でもMACRO 50mm F2.8 EXが明らかに有利です。



・・・とここまでご覧になって、「なぁんだ、余り差が無いじゃん」と思われる方も多い筈です(私も同感)。EF-S 18-55mm F3.5-5.6 USMの健闘が光り、実力が接近しているのも事実です。
では、別のズームレンズと比較すると?。試しにEF 28-135mm F3.5-5.6 IS USMと比べると、差は如実となります。
下記に簡単なサンプルを掲載します。両者の鮮明さは雲泥の差であり、単焦点レンズの強みが増強されます。
様々なシチュエーションで撮影を繰り返しても、この傾向は全く同様でした。

〜 テスト番外編 EF 28-135mmとの比較 〜
高層ビルの拡大画像
単焦点レンズで撮影
MACRO 50mm
F2.8 EX
ズームレンズで撮影
EF 28-135mm
F3.5-5.6 IS USM
F5.6,1/320秒,AWB,ISO 100相当で統一


ご覧の通り、単焦点レンズには光るものがあります。確かにズームレンズは便利ですが、単焦点レンズの描画性能は極めて魅力的です。
とは言え実際問題としては適材適所。一例としてサッカーの試合では被写体の前後の動きが激しく、リアルタイムに倍率を切り替える必要がある場合、ズームレンズは必要不可欠な存在です(出来れば28mm-300mmの高倍率ズームを使いたい程)。
しかし、スナップやポートレート(人物撮影)では単焦点レンズでも大半のシチュエーションはカバー可能。構図がうまく決まらなければ撮影位置を変えれば済む話でもあり、単焦点でも十分に担えます。

作例

単焦点レンズの大きな魅力のひとつ、ズームレンズ以上に開放F値が稼げ(取り込める光の量が多い)、暗所でもめっぽう強い点。
夕暮れ下の厳しい条件でも、撮影の可能性が広がるのは魅力的。
もちろん、開放バリバリのポートレートなどでも威力を発揮。
Canon EOS 30D,キヤノン EF 100mm F2.0 USM,
マニュアル(F2.2,1/200秒),AWB,ISO1000,RAW(DPP 2.2で現像)
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一眼レフデジタルカメラのユーザはお金持ちが多いのか、最近の風潮として撮影結果に不満があると、即高価なLレンズに手を出してしまう等、撮影者側の工夫が乏しい気がします。
単焦点レンズであれば値段も安く、レンズ交換の楽しみも付いてきます。今のズームに飽き足りている方は、一度単焦点レンズをお試しあれ。



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