地球環境高校 VS 立正大学淞南高校
~ 第81回全国高校サッカー選手権大会 1回戦 ~
日 時 | 2002年12月31日 21:10? | |||
試合会場 | さいたま市浦和駒場スタジアム (埼玉県さいたま市) | |||
天 候 | 晴れ | |||
観 客 数 | ? (変なJ2の試合より多かったかも) | |||
試 合 結 果 | ||||
地球環境 (長野) |
0 | 前 半 | 0 | 立正大淞南 (島根) |
3 | 後 半 | 1 | ||
3 | 計 | 1 | ||
得 点 者 | ||||
下司 隆士 | 若松 義和 | |||
下司 隆士 | ||||
中塚 秀生 |
若き闘士の登竜門、全国高校サッカー選手権大会。天皇杯と並び、日本サッカー界、真冬の風物詩。
松本育夫氏(元川崎フロンターレ監督・社長)が率いる地球環境高校を応援に、駒場スタジアムに足を運ぶ。創設から僅かな間で全国の舞台に駆け上がり、松本采配の凄みを再認識させる。
高校サッカーを生観戦するのは、実は初めて。真冬のピッチで、如何なるドラマが待ち受けるのだろうか。
スタジアムに到着すると
サブグラウンドでアップに励む選手達が
松本氏の姿を探したが
あいにく発見ならず
スタジアムに入り程なくすると
松本氏が観客席に挨拶に
フロンターレ時代と比較すると
幾分歳を重ねたようだが
精悍な表情はかつてのままである
キックオフの時間が刻々と迫る
子どもたちもメガホン片手に声援
ちきゅーぅかんきょう!ちきゅーぅかんきょう!
両チームの選手達がピッチに登場
短い真冬の決戦は
間もなく火蓋を切ろうとしている
地球環境の応援は本格派
写真を拡大すると、等々力で見掛ける
サポーターの顔がちらほら
対する立正大淞南は、メガホン部隊が対抗
白熱の舞台に向け、いよいよキックオフ!
早速、立正大淞南が強烈な先制パンチ。地球環境サイドへと大きく蹴り込み、大胆な年賀挨拶か。
地球環境もお返しとばかりに攻め返し、高橋選手(背番号2:MF)がミドルシュート。相手GKが抑えるものの、ゴールキックは痛恨のミスキック。
相手のミスを見逃さず、地球環境が更に押し込む。プロの試合に時折見られる序盤の緩慢さとは無縁で、極めてスピーディーな展開は心地良い。
対する立正大淞南も強引な突破。低い強烈な一撃を浴びせるものの、桑原選手(背番号1:GK)がしっかりと抑える。
的確なセービングは安心感が高い。笹原氏(元フロンターレGK:現地球環境コーチ)の指導の賜物であろうか。
ボールをしっかりと掴み、地面に確実に押さえる
安定感の高いセービング
両者共にサイド攻撃を披露する。立正大淞南の低い厳しい攻めに、地球環境の守備は崩れがち。
桑原選手もゴールから飛び出してしまい、一気に危機的状況へ陥る。ここは危うくゴールキックに逃れ、幸運にも命拾い。
地球環境は中盤を西田選手(背番号8:DF)から上木選手(背番号6:MF)へと繋ぎ、前線をしっかりと見据える。
その直後に太陽が雲に覆われ、ピッチの空気は急に冷え込む。それに呼応してか選手の動きも一瞬鈍るも、直ぐにスピードを取り戻す。
地球環境の攻撃はリズム感に溢れている。立正大淞南の攻撃を断ち切って、左サイドに滑らかなパスが通る。
下司選手(背番号9:FW)がパスにあわせ、一気に前線へ。ゴールライン付近で相手のマークに遭遇するも、するりと交わして直角に切れ込む。
続けてコーナーキックのチャンスが到来。キックは相手GKがパンチするも、見事なカウンターに拍手が起こる。
下司選手が左の選手を鮮やかに交わす
右側の選手に阻まれるも
うまくコーナーキックを得る
直後に立正大淞南の反撃を受けるも、地球環境は即座に反撃。相手DFのマークに邪魔されつつも、最後はシュートを放つ。
その後も立正大淞南の執拗なプレッシャーを受ける。背後から押し倒されるも、バランスを崩しつつ懸命にクロスを繰り出す。
あれだけ乱れつつも、見事なパスだ。下半身の強さには、目を見張るものがある。
地球環境が一方的展開になりかけた矢先、立正大淞南も決死のカウンター。一瞬にして地球環境ゴールへと迫り、正面からシュートの体勢に入ってきたぞ。
立正大淞南に先制ゴールを許すのか?。真冬とは不似合いな冷や汗が流れた瞬間、背後から鋭いスライディング。
立正大淞南の選手は思わずバランスを崩し、シュートは枠を外れた。地球環境の果敢な守りが、間一髪で間に合い難を逃れた。
間一髪の守備で、失点の危機から逃れた
立正大淞南の選手は悔しさを全身で表現
このプレーを皮切りに、激しい時間帯に突入する。中盤を軸に、両者がカウンターの応酬合戦。
地球環境は右サイドを切り裂き、厳しい角度ながらもクロスを繰り出す。最前線の選手が頭で合わせ、強烈なヘディングシュートを披露する。
立正大淞南の反撃も中盤で断ち切り、地球環境が怒涛の攻撃。左サイドをぐいぐい駆け上がり、コーナーキックを掴み取る。
ニアサイドのこぼれ球を押し上げるも、ボールは相手GKがキャッチ。その直後に立正大淞南にフリーキックを献上するも、ボールは桑原選手がしっかりキャッチ。
地球環境は速攻からチャンスを狙うが、立正大淞南の守備も固い。またもやファウルを与えてしまい、ここは我慢の時間帯。
それでも地球環境の守備は比較的安定。立正大淞南のチェックももろともせず、着実に危機を脱すあたりはさすがである。
上木選手の守備も落ち着き払う
立正大淞南が背後からプレッシャーをかけるも
浮いたボールを冷静に処理し、バックパスで対処
前半も中間点を過ぎたが、地球環境の優位は明白そのもの。安定した守備から精度の高い速攻が、実に機能している。
しっかりと守り抜いてからの鮮やかな速攻。これはまさに松本イズムであり、かつてのフロンターレそのものである。
対する立正大淞南はカウンターが主体であるが、攻撃の主軸がどうも不明確。
序盤の勢いはやや影を潜め、決定的な場面に持ち込めない。連携面が多少低いのかドリブルが目立ち、地球環境の守備陣も別段慌てる必要も無いようだ。
地球環境の応援に目を向けると、明らかなフロンターレ風。だれかが音頭を取って、応援をリードしているのであろうか。
ピッチに目を戻すと、地球環境の好守の切り替えの早さが目立つ。桑原選手からのボールが下司選手に渡り、スピード感溢れるドリブルを披露。
そのまま一気に立正大淞南のゴールへ迫る。思い切りの良いドリブルに、観客席から大きな拍手が沸き起こる。
下司選手のドリブルは
立正大淞南からすれば脅威に映るはず
高校生とは思えぬスピードに
追いつくのも精一杯
だが、立正大淞南も黙ってはいない。突然攻勢を強め、地球環境側へと攻め立てる。
ペナルティエリア内に侵入し、地球環境の選手と接触して転倒。あわやPK・・・の心配も、これは立正大淞南のファイルと判定。
更に立正大淞南が一気に加勢。その勢いに押されたのか、地球環境の守備が一気に崩壊。
左側から低いセンタリングが繰り出され、DFが懸命に足を伸ばすも届かない。GKも届く術が無く、地球環境のゴールはがら空き同然だ!!
正面から立正大淞南の選手が足を伸ばす。これはバランスを崩して、僅かに届かない。
逆サイドから別の選手が懸命に飛び込むが、これもタイミングが合わない。絶体絶命のピンチであったが、辛くも断ち切った。
立正大淞南の猛攻はなおも続くが、地球環境も懸命の守備。手に汗握る攻防は、地球環境が何とか逃げ切った。
形勢を逆転すべき、地球環境も懸命に攻め戻す。ここは攻撃の形が戻らず、決定的なチャンスには至らない。
我慢を重ねた立正大淞南が、一気に爆発
スピード感溢れる攻撃で、地球環境を脅かす
あ、決して公害ではないので・・・
(ヒュー・・・寒いギャグ)
前半も残りは僅かである。地球環境は立正大淞南のスピードに押され放題で、守備は依然不安定。
足元のボールを、立正大淞南の選手がシュート。ボールは正面に飛び、ここは桑原選手がしっかりとキャッチ。
立正大淞南の猛攻を耐え凌ぎ、地球環境も本格的に反撃開始。高橋選手が左のフリースペースを、ドリブルで一気に駆け上がる。
ゴールライン付近で立正大淞南につかまるも、冷静にバックパス。そこには尾田選手(背番号10:MF)の姿があり、立正大淞南ゴールに向けて、長いパスを繰り出した。
ボールに合わせて地球環境の選手が飛び込む。決定的な場面と思いきや、惜しくも先制点には至らない。
立正大淞南もロングパスを武器にサイドチェンジ。地球環境も2人がかりで一度は食い止めるも、立正大淞南の勢いと止めるには遠く、どうしても形勢逆転には届かない。
地球環境は前半終了間際、コーナーキックのピンチを迎えてしまう。
立正大淞南の鋭いキックが、地球環境ゴールへと迫る。ニアサイドのボールは、ヘディングでタッチラインに逃れた。
同時に主審の長い笛が響く。全く先の展開が読めず、互角の40分であった。
想像以上のレベルに満足度も十分。高校生の実力がこれほど高いとは嬉しい誤算でもあり、日本サッカー界の将来も明るいと言えよう。
立正大淞南のコーナーキックを
尾田選手が渾身のヘッドでゴールラインに逃す
この直後に前半終了
懐かしの笹原氏の横断幕が登場(松本氏のもあった)
ハーフタイム中に選手権の弾幕に
カメラを寄せていたら
不機嫌そうな顔つきの係員が近づき
「弾幕にしわがつくので、よっかかるな!」と注意された
はいはい、分かりましたょ・・・。
高校サッカーの応援とはにわかに信じ難い、盛大な拍手がピッチを覆う。程なく後半開始のホイッスルが響く。
地球環境も左サイドに大きくボールを蹴り、サイドをえぐる公算か。互いに激しく攻め立てて、前半同様の激しい攻防だ。
立正大淞南も意欲的に攻め上がるも、地球環境の守備は磐石そのもの。ゴール前を確実に固めるあたり、守備の王道を行く感じだ。
FWでありながら、佐伯選手(背番号13)の守備は光る
守備能力を重んじる松本イズムが、こんなところにも
立正大淞南の選手が地球環境ゴール前で倒され、そのまま負傷退場。僅かな静寂がしばしピッチを支配する。
だがそれもほんの僅かな時間。プレー再開と同時に静寂さはかき消され、ボールは激しくピッチを往来。
中盤では両者の攻防が続く。地球環境は立正大淞南のバックパスをカットし、混戦の中ゴールへとひた走る。
右サイドからパスを繰り出すも、前線にうまく繋がらない。選手が立正大淞南のペナルティエリア内で倒れるも、惜しくもPKにはならず。
地球環境はスローインからポストで繋いで、再び立正大淞南のペナルティエリア内へ。またもや地球環境の選手が倒れるが、この程度でPKとはさすがに甘過ぎる。
地球環境は早めの選手交代。判断力の早さは、これまた実に松本氏らしい。
ペナルティエリア内で倒れるも、簡単にはPKとはならず
世の中そんなに甘くはありません
立正大淞南の選手には疲れが見える。前半の鋭いカウンターが、徐々に影を潜めてきた。
ただ、ここは立正大淞南がコーナーキックの場面。流れたボールは立正大淞南のスローインになるも、直ぐに中塚選手が奪い取る。
立正大淞南の時間帯を耐え凌ぎ、地球環境もコーナーキックを迎える。高いボールを懸命に叩こうとするが、立正大淞南の厳しいマークに阻まれる。
こぼれ球も押し込めず、混迷の時間帯へなだれ込む。両者共に決定的な場面に手が届かず、膠着状況の打破は見出せない。
立正大淞南の度重なる速攻も
極めて落ち着いて対処
守備面の安定感は地球環境が明らかに上手
後はいつ、先制ゴールを決めるのか・・・
地球環境は右側から大きく旋回。だが、立正大淞南のマークも追いつき、地球環境の前に立ちはだかる。
ならばと左サイドから攻め返すが、立正大淞南もしつこく追いかける。困った地球環境の選手は、パスの供給先に迷う始末。
一応センタリングを繰り出すも、曖昧なパスに誰も合う筈が無い。中途半端な攻撃では、立正大淞南にプレッシャーは与えられない。
地球環境は結構攻め立てているのだが、ゴール直前で後一歩及ばない。立正大淞南の守備をどうしても崩せず、歯がゆさだけがつのってしまう。
だが、遂に歓喜の瞬間が訪れる。立正大淞南の隙間を縫って、滑らかなスルーパスがペナルティエリア内に通る。
下司選手が走り込み、落ち着いてシュート。ボールは立正大淞南ゴールネットを揺らし、待望の先制ゴールだ!。
この瞬間を待ち侘びたかのように、観客席から大きな歓声が。重苦しい空気は一掃され、付近は歓喜に包まれる。
遂にその瞬間が訪れた
下司選手が至近距離から蹴り込み
待望の先制ゴールを決める
観客席も大いに盛り上がる
これ以降、声援は一層大きくなった
このゴールで地球環境は勢いづいた。直後のフリーキックは立正大淞南ゴールへと鋭く迫り、連続ゴールかと期待が高まる。
だが、チャンスの後にはピンチもあり。立正大淞南も懸命に反撃し、コーナーキックの場面を迎えてしまう。
立正大淞南は体力面での消耗が激しく、セットプレーに全神経を注ぐであろう。先制ゴールの喜びは忘れ、ここは守備に集中したい。
地球環境はニアサイドのボールをヘッドで弾き、怒涛のカウンター。立正大淞南もロングパスで応酬するが、地球環境も懸命に戻り、同点ゴールは許さない。
立正大淞南はファウルから素早いリスタート。渾身のクロスを繰り出すが、地球環境も体を張って弾き返す。
40分ハーフの為か、後半も残り時間は意外と少ない。それ以上に立正大淞南は焦っているのか、強引な突破が一層目立つようになって来た。
立正大淞南の選手には、孤立するシーンが
地球環境はスローインから下司選手へと託された。ゴールライン付近で相手DFを豪快に振り切り、厳しい角度ながらも貪欲に突破を図る。
これは中盤まで戻されるが、下司選手へ再びパスが。低い体勢から右足を振り抜き、ボールは立正大淞南ゴールへと一気に迫る。
相手GKが懸命にジャンプするも届かない。放物線を描いたボールは鋭く急降下し、立正大淞南ゴールへと突き刺さる!。
素晴らしいシュートで立正大淞南を突き放す。余りの芸術性に、観客席もはちきれんばかりの拍手である。
下司選手が渾身の一撃
ボールは放物線を描き
相手GKの頭上を通過
鋭利の如く、ボールは急降下
無人のゴールに深く突き刺さる
勝負を決定付ける2点目をゲット
試合の状況からすれば
地球環境の勝利はほぼ確実だろう
立正大淞南は遂に後が無くなった。懸命に攻め返しクロスを放つものの、桑原選手が落ち着いてセーブ。
その風貌は正しく!現役時代の笹原氏。立正大淞南は冷静さが失せたのか、雑な攻撃が随所で目立つ。
在りしの笹原氏を回想する間に、止めの一撃が決まる。後は試合が終了し、新年をゆっくりと迎えるのみ。
立正大淞南も土壇場で1点返したが、時既に遅し。地球環境が磐石の勝利で、2回戦進出を決めました。
中塚選手が正面から止めの一撃
立正大淞南の選手も天を仰ぐ
立正大淞南もどんどん押し上げ
セットプレーから終了間際に意地の1点を返す
しかし、反撃も空しくここまで
程なく試合終了のホイッスル
地球環境の選手は喜びを分かち合い
立正大淞南の選手は地面に崩れ落ちる
観客席に向かう地球環境イレブン
その表情は歓喜に満ち溢れていた
2回戦は山形中央高が相手だ
この勢いで、どんどん勝ち進め
立正大淞南の選手も悔しさの中
深々とお辞儀
温かい拍手で迎えられました
いやぁ~、高校サッカーって実に面白い。実力も相当高く、プロのように妙な小細工とは無縁。
これって結構ハマりそう。次回の対戦は1月2日(駒場スタジアム)、もちろん観戦します。
それにしても松本氏の偉大さには、ただ感服。開校から1年と経っていないのに、全国大会で勝利を飾るとは。
こんな人を監督から降ろすとは、ウチのチームってやっぱり愚かだったのね・・・。
試合終了後も冷静な表情のまま
ピッチを見つめる松本氏
松本イズムが脈々と受け継がれる
若い選手達の姿に
感銘を覚えたのは私だけでしょうか
(もちろんササもお忘れなく)