撮影日:2005年12月30日 他
常磐線の馬橋駅。豪快な車軸の音を響かせ、多くの列車が行き交います。 |
・・・と、ぽつりと離れた小さなホームに、愛嬌あふれる電車が止まっています。 その路線は総武流山電鉄。地元の方からは「流鉄」の名で愛されています。 馬橋〜流山間を5.7kmで繋ぐ、全国的にも最短クラスのミニ路線です。 |
馬橋駅を出発した電車は、建物の隙間をゆっくりと走ります。 常磐線の線路に沿うように、最初の停車駅へと向かいます。 |
建物の間に、ひっそりとたたずむ幸谷駅。 常磐線・武蔵野線からの乗り換え客が、多く利用する駅です。 |
幸谷駅を出発すると、線路は常磐線から徐々に遠ざかります。 小さな黄色い電車が、民家の裏手へと吸い込まれてゆきます。 |
線路脇の小道でカメラを構えると、電車が警笛を鳴らしながら接近。 撮影への嫌悪感と思いきや、この一帯は警報機の無い踏切が林立するので、 電車接近を知らせるべく、単に注意を促しただけのようです。 |
線路は川辺に沿って、大きく左へとカーブを描きます。 住宅地を側面に見つめつつ、列車は先へと進みます。 |
次の小金城趾駅は、唯一列車の交換可能な駅。 2色の電車が並ぶと、一層カラフルに映ります。 |
小金城趾駅を後に、徒歩の旅が続きます。 やがて鉄橋へとさしかかり、金属音を響かせながら電車が通過します。 |
この坂川には、大量のユリカモメが生息します。 列車が接近すると、一斉に飛び立つ・・・と思いきや、 中には慣れてしまったのか、微動だにしない鳥も少なくありません。 |
ユリカモメの大群にはただ圧巻、しばし息が呑まれてしまいます。 素晴らしき光景を惜しみつつ、線路脇を先へと進みます。 |
しばらく先に進むと、絶好の撮影ポイントに到達します。 傍らには巨大な三脚を強引に立てる撮影者がいましたが、 普通に手持ちで構えても、無理なくしっかりと全景が写ります。 |
この先はあいにく行き止まり。付近の陸橋を横断し、線路の反対側へと移動します。 陸橋から見ると、線路の路肩が急に広がっているのが分かります。 複線化に備えているなどの説があるようですが、真偽の程は不明です。 |
もっとも数百メートル進んだ地点で、路肩は消滅します。 付近の踏切を通過すると、普通の単線の風景に戻ります。 |
踏切付近の空き地(だと思った・・・)から、綺麗に全景を撮影。 紹介が遅れましたが、総武流山電鉄が保有する6編成の車両は 西武鉄道から譲り受けたもので、それぞれ固有の車体色と名称を持っています。 写真の黄色い電車は、「なの花」と名づけられています。 |
列車はカーブを通り過ぎ、流山市内を進みます。 住宅街の所々で、巨大な空き地が目に付きます。 都心回帰の影響で、宅地化が遅れているのでしょうか。 |
更に先に進むと、市街地へと差し掛かります。 この平和台駅付近には巨大ショッピングセンターも林立。 地方都市の寂しさは否めぬものの、人々の生活が感じられます。 |
直線に伸びる線路脇を進むと、終着点の流山駅に到着。 徒歩の時間は1時間程度、意外な形で終わってしまいました。 |
しばらく待つと、オレンジ色の車両がホームへと到着。 この電車は「流星」と名づけられ、年末年始は「みんなの流鉄号」として運行中。 |
関東の駅百選にも選ばれた、流山駅の駅舎正面。 駅看板の脇のベルが鳴り響くと共に、駅員が中から駆け足で登場。 入口で乗客の確認を行うと、速やかにホームへと戻ってゆきます。 駅員削減による合理化が進む都市の路線とは裏腹に ここには昔ながらの光景が残っています。 |
どこかに懐かしさを覚える待合室。 座席にひかれた座布団が、昔ながらの雰囲気をかもし出しています。 |
駅ホームへと足を運ぶと、若草色の車両が停車中。 日中は2編成での運行体勢につき、この「若葉」はお昼寝中でしょうか。 |
反対側の待避線には、褐色の「明星」が停車中。 最近再塗装された模様で、車体はピカピカに輝いています。 |
一見すると変哲の無いホームですが、不思議と懐古の念に浸ります。 合理化の名の下、いつの間にか消え去ってしまった光景が、 ここには頑なに残されています。 |
しばらく待ち続けると、「なの花」がホームに到着しました。 |
「なの花」に乗車し、馬橋駅まで戻ります。 途中で出会った沿線の風景が、ミニ路線らしく一気に流れ行きます。 |
旅情の余韻に浸るのもほんのひと時、電車は馬橋駅に到着しました。 反対側のホームでは、ライトブルーの「流馬」が停車中。 ローカルな気分に浸れるのは、この馬橋駅も同様です。 |
都市の片隅に静かにたたずむ、総武流山電鉄。 |
常磐線の駅ホームより、走り去る「なの花」を見送ります。 少子化やつくばエクスプレスの開通など、将来への不安は過ぎるものの、 地域沿線の住民の足として、今日も往復を続けています。 |
最後におまけの一枚、流山方面へと走り去る「青空」です。 |