モンテディオ山形 VS 川崎フロンターレ
J2 第31節
日 時 | 1999年10月17日 14:00 | |||
試合会場 | 山形市陸上競技場 (山形県山形市) | |||
天 候 | 曇り | |||
観 客 数 | 2523人 | |||
試 合 結 果 | ||||
山 形 | 0 | 前 半 | 1 | 川 崎 |
0 | 後 半 | 1 | ||
得点者 | 久野(30分) ツゥット (63分) |
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0 | 計 | 2 |
東北の強豪、モンテディオ山形と川崎フロンターレの一戦。
前回の対戦(8月29日:等々力競技場)で、フロンターレはツゥット選手(背番号9:FW)の退場処分により、苦戦を強いられた経緯がある。
J1昇格と優勝に向けて、何としても90分間で勝利をもぎ取りたいところ。
競技場に到着すると、フロンターレの選手がバスから降りるところに、ばったり遭遇する。
選手のみなさまも、遠路はるばるご苦労様です。
チケットを購入し、早速競技場に入ると・・・ピッチのあまりの悪さに言葉も出ない。
モンテディオ山形のホームページでも、ずばり「良くない」とあるのですが、こんなにひどいとは・・・。
芝生は荒れ放題で、地面は固く、砂塵が舞い上がる劣悪な環境
地方競技場の現実を思い知らされた瞬間
グランドに現れるモンテディオの選手の脇で
アップをするフロンターレの選手達
工事現場のような地面が痛々しい
寒さとグランドの固さに慣れるためか、ボールなしのアップに時間を割く
寒い風が吹き付ける中、サポーター間でエール交換を行い、キックオフのホイッスル。
選手が動くたびに砂が舞い上がり、まるで砂漠で試合を行っているようである。
環境の適応度の差が現れたのか、開始草々モンテディオのペース。
いきなりコーナーキックのチャンスを得て、ゴールを狙う。
フロンターレも浦上選手(背番号1:GK)のクリアで、立ちあがりの攻撃を防ぐ。
右サイドから攻めあがるモンテディオ、ムタイル選手(背番号8:FW)と
それを防ぐフロンターレ佐原選手(背番号3:DF)
ムタイル選手の前所属チームは何とフロンターレ!!
どおりで試合後に、フロンターレの選手と談笑していたのか・・・
序盤のピンチは、ひっきりなしである。
フロンターレは久野選手(背番号23:MF)が、ムタイル選手を倒してしまい、モンテディオ吉田選手(背番号7:MF)の強烈なフリーキックを与えてしまう。
そのあとには、高橋選手(背番号6:MF)を、ゴール前フリーにさせ、倒れながらもシュートを打たれるも、僅かにポスト上に外れてくれる。
10分過ぎても、モンテディオの一方的ペース。フロンターレは寒さのためか、選手全体がギクシャクしている。
そのためか、連携プレーのお粗末さは、誰が見ても明白なほどである。
倒れながらも、フロンターレ森川選手(背番号29:DF)が何とか猛攻を防ぐ
序盤はムタイル選手に、自由にシュートを狙われる
こうなるとフロンターレは、攻撃の糸口が見つからず。
一人ティンガ選手(背番号10:FW)が巧みなドリブルで攻め込み、久野選手に渡りセンタリングを上げるものの、誰もいない。
モンテディオの攻めに対する反撃も、単発に終わってしまう状況が続く。
そんなためか、全くシュートが打てずじまいである。
攻撃の中核となるはずの高田選手(右側:背番号2:MF)も守勢に
エンジンのかかりが、いつも以上に悪い
対するモンテディオは、更なる攻撃を見せ付ける。
ムタイル選手の卓越した動きにディフェンスが合わず、続けざまに攻撃のチャンスを与えてしまう。
更には見事なロングスローまで披露し、フロンターレサポータからため息が漏れる。
更に強烈なヘッドを放ち、フロンターレをあたふたさせる。
続けざまに真下選手(背番号9:FW)も負けじとヘッド。
これでもかと元コンサドーレのバウデル選手(背番号10:MF)にもヘッドを打たれ、浦上選手が必死にはじく。
やられたい放題で、見ている方もはらはらしてしまう。
ちょっと時間帯は違いますが、ムタイル選手のロングスローは
本当に滞空時間が長い
浦上選手が必死にパンチして防ぐほどである
ムタイル選手の動きはすさまじく。中西選手(背番号14:DF)がイエローで防ぐのがやっと。
この状況に、いつもは静かな知将・松本監督も声を荒げる。
モンテディオのフリーキックに対し「この後気をつけろ!!」と大声をあげる。
その後も相変わらずモンテディオペース・・・であった僅かな瞬間。
前半30ごろ、フロンターレが突如カウンターを仕掛け、ゴール前の乱戦で久野選手がシュートを放つ。
ミートはしなかったものの、ふわりとしたボールはゴールにすい込まれ、フロンターレが先制点をあげる。
その後はフロンターレの連携が、ようやく発揮される。
点には結びつかなかったものの、高田選手が中盤で体を入れ替え相手をかわし、伊藤彰選手(背番号19:MF)につなぐ、いつものパターンがようやく見られるようになる。
また、ムタイル選手に対するマークも、見張るように良くなる。森川選手がきっちりと守り、フリーの状態を作らせない。
更に、ツゥット選手から、高田選手の流れるような連携も始まる。最後には流れたものの、リズムに乗るようになる。
フロンターレの控え選手は、前半は殆ど動きなし
じっくり流れを見極める、松本流のやり方でもある
モンテディオも前半終了間際、中間距離から再三シュートを放つが、大塚選手(背番号16:MF)の体を張ったディフェンスと、浦上選手の正確なキャッチで阻まれる。
ゴロのシュートは、不規則なバウンドを描くが、浦上選手はそれをものともしない。
ここで前半終了。フロンターレはやや不本意ながらも、少ないチャンスを点に結びつけた。
ピッチから下がる久野選手と、お互いにエールを送る。
後半開始前に、引き締まった表情で戻る松本監督
声をかけても全く応じてくれなかったが
その後意外な一面が・・・
寒さが一段と厳しくなる中、後半開始のホイッスル。
フロンターレは足を痛めたティンガ選手に代わり、浦田選手(背番号13:MF)を投入する。
フロンターレの選手は、休憩中に体を冷やしてしまったのか、またもやモンテディオに攻め込まれる。
おまけに固いピッチが負担となったのか、動きが突如悪くなりだす。
ゴール付近、長橋選手(右側:背番号20:MF)が
いつもの角度からドリブルを披露するも・・・
足をつってしまい、引きずった状態でピッチに戻る
(その後は回復)
モンテディオは浦上選手をゴールエリア外に誘い出し、空になったゴールにシュートを叩き込む。
しかし、大きく上にそれ、難を逃れる。
だが、モンテディオの攻撃は、決して止むことがない。
シュートの嵐となるものの、浦上選手が悪いピッチを感じさせないセーブで防ぐ。
ミスが連発するフロンターレ選手に対し、監督・コーチ陣も声を荒げる。
モンテディオの激しい当たりに、フロンターレの選手もハイテーションとなる。
モンテディオ岩元選手(左側:背番号4:DF)に押され
むっとする浦田選手(右側)
岩元選手は、ベルマーレ時代からおなじみの選手
だが15分すぎ当たりから、徐々にペースがフロンターレとなる。
ツゥット選手が個人技で持ち込み、高田選手に渡して放ったシュートは、惜しくもバーの上。
ここまで目立たなかった、伊藤彰選手も、相手選手をすり抜け、スルーパスのチャンスををうかがう。
ようやくペースアップ
そして後半18分、フリーキックからの素早いリスタートから、ツゥット選手が放ったシュートは、モンテディオのゴールネットに突き刺さり、2点目をゲット。
こうなると、フロンターレの押せ押せペース。獲物を狙うかのごとくの攻撃を見せ付ける。
守備でも圧力をかけ、岩元選手のクリアに伊藤彰選手が迫り、たまらず外に蹴り出してしまう。
対するモンテディオは、無理な個人技が目立ちはじめ、大味なプレーになる。
また中盤のラフプレーが多くなり、イエローカードが連発する。
伊藤彰選手が更にゴールを狙うものの
注に浮いてしまった
ツゥット選手は残念ながらトラップミスを犯し
チャンスを潰してしまうが
いい流れは続く
モンテディオは30分すぎから、右サイドの攻撃を基点に置き始める。
だが、詰めが甘く、フロンターレのガッシリした守りを崩せない。
更に左側から2本のフリーキックを得るものの、キックの正確さに欠け、チャンスを殺してしまう。
フロンターレの中盤のチェックはますます磨きがかかり、伊藤彰選手を中心に攻撃を許さない。
また相手ゴールラインを割りそうなボールに対し、ツゥット選手が懸命に追いかける。
結局ボールは切れてしまったものの、懸命なプレーに観客から割れんばかりの拍手が起こる。
プレッシャーと言えば、高田選手も決して負けない
相手ゴールキーパに襲いかかり、慌てさせる
試合終了直前にもかかわらず、ツゥット選手の攻撃は
緩めることを知らない
モンテディオも最後の反撃も、フロンターレ佐原選手の頭に粉砕され、実を結まず。
ここで試合終了。フロンターレJ1昇格に向け、大きな勝利をもぎ取った。
更にこの日はFC東京がコンサドーレ札幌に負けたため、2位との勝ち点差が5に広がる。
このまま独走態勢に入ればうれしいですね。ただし油断はまだまだですが
悪条件の中、両チームの選手に熱いエールを送ります
ここからは恒例の?試合後の風景について。
モンテディオグッズを手に入れた私は、その足で選手が乗ってきたバス付近に張り込み、ひたすら現れるのを待つ。
辺りにたむろす、モンテディオサポーター(それでも30人ぐらい?)と並び、しばし待ちつづける。
30分近くすると、松本監督が先陣を切って登場。
「監督!」と声をかけると、試合中の表情が信じられないほどの笑顔で応えてくれました。
その後またもや信じられない風景が私を襲う。
松本監督は、別のフロンターレサポータに近づき、何とサイン攻勢に快く応じているではないですか。
監督が自らサインに応じるとは・・・。サポーターを目にしない選手も多い中、この姿はただ素晴らしいの一言です。
その気さくな姿には、思わず感激してしまいました。
私も声をかけ直し、改めて監督からサインを頂きました。
そして握手を交わし、監督と並んでモンテディオのサポーターに「これがウチの松本監督です!!!」と自慢までする始末。
今考えると恥ずかしい。でもあんなに楽しい時間もありませんでした。
選手のみならず、監督のサポータに対する姿勢も、頭が下がるばかりです。
その後続々選手が現れ、何人からまたもやサインを頂き、応援のメッセージをかけてあげました。
足を固定しながらも、サポーターに応じる大塚選手
フロンターレの選手は、サポーターを心から大切にします
サポータに接する選手達の姿は、モンテディオの選手よりもはるかにサービス精神に優れ、きっと彼らのサポーターも羨ましいと感じた事でしょう。
北の奥羽の大地にて、こんな機会があるとは、夢にも思いませんでした。
これだから、フロンターレのサポーターは、地獄に落ちても止められないのです。
おおおおおおおお・川崎オレ!オレ!
アヴァンテーオオ・川崎オオ・らららららーららーらー!!!!!
ヘイ!ヘイ!レッツゴー・レッツゴー山形ヒーロー!!!
一部に他チームの応援が混ざっていますが、気にしないでください(笑)。
モンテディオ山形を支える、協賛企業(会員)の一覧
J2一年目なのに、これだけの数が
余談ですが、チームの経営母体を社団法人化したのは
Jリーグでここだけです
山脈をバックに、モンテディオの熱きサポーター達を撮影
リズム感の溢れる応援はいまだ健在
何と!!!平塚で見かけた岩元選手の応援旗が(中央緑色の旗)
ここ山形にあったとは
移籍先でも平塚での元気の良さをみせて欲しいものです
夕闇に沈みかけている競技場
最後に残ったフロンターレサポーターは、この私です(多分)