サガン鳥栖 VS コンサドーレ札幌

J2 開幕戦



日   時 2000年3月12日 13:03
試合会場 鳥栖スタジアム (佐賀県鳥栖市)
天   候 曇りのち晴れ
観 客 数 3,800人
試  合  結  果
鳥   栖 前 半 札   幌
後 半
     
     
得   点   者
札幌:播戸 竜二(13分)
エメルソン(41分)(58分:PK)(71分)



ビジュ選手(背番号8:MF)とエメルソン選手(背番号9:FW)が
瓜二つにつき、勘違いがあるかも知れません・・・


J1に続きJ2も開幕。日本列島にサッカーのシーズンが到来する。
開幕戦のひとつ、川崎フロンターレが昨季J1昇格を決めた試合の相手であるサガン鳥栖と、北の勇者コンサドーレ札幌が、鳥栖スタジアムで激突する。
福岡まで来たのに、鳥栖まで足をのばさなくてどうする。レベルはJ1より多少劣るかもしれないが、戦う姿勢が前面にむき出るJ2の試合を見ずにして、サッカーを語る資格はない。
こうなったら、鳥栖に向かう以外何も浮かばない。博多からの列車に飛び乗り、いざ鳥栖へ出発!!
※この試合には多くのフロンターレサポーターが出向いてました。最後まで無視し続けてゴメンナサイ。

競技場は駅のすぐそば

鳥栖市民は羨ましい
競技場が駅から目と鼻の先にあるなんて・・・



トラックが無い

それだけじゃない
何と!選手とサポーターを遠ざける
トラックが無い!
ピッチも良好だし
一地方にこれだけの競技場があるのは驚異的



急勾配の座席

このスタジアムの特徴は
座席部の勾配が険しいこと
最高点に立つと、強風に煽られ
足元が竦みそうだ




和太鼓のお出迎え

ピッチの脇では、開幕を告げる和太鼓の演奏が
見事な打音に拍手


鳥栖市長(だと思う)の挨拶も直々に、J2の火蓋が切って落とされる。
その立ち上がり、自力に勝る札幌の攻撃力が爆発する。
左サイド、エメルソン選手が一気のスピードでドリブルで突破。まとわりつく鳥栖のディフェンス陣を、体当たり&ひじ打ちで、次々となぎ倒す。
余りの勢いにに、鳥栖の守備陣も足が浮き気味である。
鳥栖も負けじと、中盤を基点にふわりとしたパスを用い、札幌の裏を突きにかかる。
だが、オフサイド網にひっかかり、チャンスは途絶えてしまう。
札幌も巧みなパスワークで、前線を盛んに狙う。だが鳥栖のチェックも厳しく、最終ラインには至らない。

激しい競い合い

前半5分とたっていないのに、厳しい競い合いが


鳥栖は長めの縦パスから、一気に前へ送るものの、スピードが無く大味なので、前線の選手に繋がってくれない。
それでも中盤、川前選手(背番号4:DF)が無人の左サイドにロングパス。丁度よいタイミングで走り込んだ佐藤選手(背番号12:DF)へと繋がり、絶妙のセンタリング。
・・・のはずが、誰も追いつかない。札幌のGK佐藤選手(背番号1)に軽くキャッチされてしまう。
鳥栖のここまで、徐々に札幌のプレッシャーが重くのしかかる。

前半10分近くになると、一転して札幌のペースに。後方から低くて早いパスを繰り出し、エメルソン選手の卓越したスピードで、鳥栖のディフェンスを崩しにかかる。
鳥栖も何とか弾き返すものの、絶え間ない札幌の構成に、耐え切れなくなる。
迎えた前半13分、エメルソン選手の突破からゴール前で混戦となり、最後は播戸選手(背番号11:FW)が強引に押し込み、幸先の良い先制点を挙げる。

ボールが吸い込まれる

播戸選手が蹴ったボールは
鳥栖のゴールへ吸い込まれる



喜び合う札幌の選手

今期初ゴールを喜ぶ、札幌のイレブン


ゴールを決めた札幌は、攻撃を緩めずに、鳥栖のゴールを意欲的に狙う。
対する鳥栖は、エメルソン選手の猛攻にお手上げ状態。強引なスライディングで、ボールを無理やりタッチラインに割るのが関の山。
鳥栖もクリアボールをキープして、右サイドの突破を図ろうとするが、厚い札幌のディフェンスに包囲網に否応無く引っかかってしまう。
ディフェンス陣も積極的にに攻撃参加。だが攻撃の芽は赤い軍団に摘み取られる。

伊藤選手も盛んに攻める

フロンターレから移籍の
伊藤優津樹選手(背番号19:MF 中央右)も
積極的に攻撃を演出する


20分を過ぎると、札幌の容赦ない波状攻撃が、面白いように鳥栖のディフェンスを振り切り、ゴールキーパーまで、するりと交わしてしまう。
そこには無人のゴールが、後は転がすだけ・・・ここは川前選手が必死のスライディングで、失点を免れる。
鳥栖も左右に大きなパスを繰り返し、グランドを広く使ったプレーで反撃。コーナーキックのチャンスまでこぎつけるが、得点のチャンスを生み出すには至らない。
札幌は守りの展開。けれども鳥栖の選手がプレッシャーをかけようが、アウミール選手(背番号10:MF)の余裕をもったダイレクトパスで、まんまと逃れてしまう。
その直後、札幌の伊藤選手が右サイドを得意のドリブル突破・・・鳥栖はタックル&イエローカードでラインに逃れるのがやっとの、苦しい展開が続く。

誰も止められない

鳥栖のGK+6人の選手を
札幌は一人で振り切ってしまう


鳥栖も古賀選手(背番号11:MF)が抜け出し、手薄の札幌ディフェンスを尻目にスルーパスを繰り出す。
が、それに続く選手が誰もいない。結果としてチャンスは潰えることに。
攻めの姿勢を前面に出し、朴選手(背番号3:DFだがFWだった)が攻撃の起点となる。
点を奪えない選手達を労うかのごとく、サガンサポーターからゴールコールが沸き起こる。
それに答える如し、札幌のディフェンスのもたつきに乗じ、右サイドからクロスを放つ。
ボールは無人の札幌へ・・・のはずが、動きを察知した野々村選手(背番号7:MF)にヘッドでクリアされる。

だが、札幌が優位なのは、誰の目からしても明白。エメルソン選手の左右幅広い攻撃に、打つ手が全くない。
そして後半42分。エメルソン選手がばらついた鳥栖の守備陣を振り切り、最後はゴールキーパーを交わしてシュート。
ボールは難なく、鳥栖のゴールネットを揺らす。
ロスタイムに入り、鳥栖も粘りのプレーでコーナーキックを得るも、相手ゴールキーパーにパンチングされてしまう。
ここで前半終了。札幌のエメルソン選手の卓越した動きに、鳥栖の守りは完全に崩されてしまった。

エメルソン選手の動き

さっきまで右サイドにいたと思えば
いつの間にか左サイドに
ボールのあるところ、必ず
エメルソン選手が控えている



引き上げる選手達

前半終了時点に関わらず
鳥栖の選手は疲労の色を隠せない


さて、後半開始。鳥栖も黙っていないで、一矢報いたいところである。
鳥栖はセンターサークル後方での、落ち着いたパスワークで、虎視眈々と札幌の隙を狙うつもりのようだ。

中央からシュート

中央から鳥栖の古賀選手がシュートを放つ
ボールは枠に入らず、右に大きく外れる


鳥栖は札幌の不意を突き、後方から有村選手(背番号2:DF)が攻めあがり、ミドルシュート。これも大きく枠外に飛んでしまう。
久し振りに訪れた得点のチャンスに、鳥栖のサポーターもこことばかりに盛り上がる。

しかし、5分もしないうちに流れは札幌へ。組織的なプレーから生み出される、スピードと巧みなパスワークで、鳥栖のディフェンス人を翻弄する。
誰とも無くどんどん攻め上がり、たて続けにシュートを放つ。鳥栖のGK高嵜選手(背番号1)も左右上下に忙しく動き回る。
鳥栖の守りは完全に崩され、ぼっかりと穴が空いてしまう。
またまた無人のゴールにボールが・・・これも川前選手が気迫のスライディングで逃れるのがやっと。
札幌のプレッシャーが、鳥栖のゴールを徐々に脅かす。

競り合い

鳥栖の古賀選手と札幌の田渕選手(背番号2:DF)の
ボールの奪い合い
古賀選手が振り切ったものの
ボールはゴールラインを割ってしまった



そして後半12分ごろ、鳥栖は札幌の波状攻撃に耐え切れず、ペナルティエリア内で播戸選手を倒してしまい、ペナルティキックのチャンス与えてしまう。
それをエメルソン選手が、キーパーの動きを冷静に読んで、3点目をゲット。完全に札幌の押せ押せムードになってしまう。

リスタート後、鳥栖もフリーキックのチャンスを得るも、ボールを合わせようとした片渕選手が倒されてしまい、得点の機会を潰してしまう。
札幌も流れを直ぐに取り戻す。強いマークと空間を上手く用いた正確なパスワークに、鳥栖の選手は太刀打ちしようがない。
エメルソン選手の変わりない無尽のプレーに、もはや打つべき手段がないようである。

鳥栖も細かいパスでこまめに繋ぎ、リズムに強弱をつけると言った工夫がみられるものの、どうしても点に結びつかない。
フリーキックからのセットプレーもチャンスにならず。札幌の固いマンマークになす術も無い。
そして後半29分、鳥栖の守備ががら空きとなり、そこにエメルソン選手が豪快なドリブルで一直線にゴールへと向かう。
高嵜選手も飛び出すものの、あっさりと振り切りシュート。ハットトリックとなる4点目は鮮やかな個人技から誕生した。

朴選手が基点となるものの・・・

リスタート後、朴選手が基点に攻撃するも
個人能力の壁に阻まれる


鳥栖もゴール前、札幌のファウルを誘い、セットプレーからフリーの川前選手に。
ボールはヘッドにドンピシャ・・・としたいが、ボールの下を突き、ゴールポスト上方へ飛んでしまう。
チャンスを殺してしまったためか、川前選手も天を仰いでしまう。

けれども鳥栖も試合を捨ててはいない。35分過ぎになると選手が貪欲に攻め上がり、札幌のゴールネットを揺らしにかかる。
札幌のディフェンスも疲れのためか、隙間が多くなり、鳥栖の選手がそこを突く。
だが、最後に控えるはGK佐藤選手。落ち着いた守りで鳥栖の攻撃を封じ込める。

悔しがる朴選手

折角のセンタリングも佐藤選手にチャージされる
朴選手も悔しさを体全体でアピール


札幌の強いプレッシャーを何とかずらし、鳥栖も前へ前へとつなぎ続ける。
札幌に奪われても、クリアボールをすかさずカット。残り時間が少なく、ゴール前へクロスをどんどん放る。
鳥栖のサポーターも「翼をください」の替え歌で、得点の期待を最後まで諦めない。
選手もそれに答え、最後まで緊迫したプレーを披露する。
が、札幌の壁は厚かった。蓋を開ければ個人能力の高い札幌の完勝でした。
J1復帰に賭ける、札幌の攻撃が、目を引いたゲームでした。
経営危機が噂された札幌ですが、戦力的にも充実しているようで、このペースを維持できれば、J1復帰も見えてきそうです。

選手も元気が無い

力の差が歴然とした完敗に
鳥栖の選手もうなだれ気味


で、試合後ですが、ひねくれ者の私は札幌の選手が乗るバスに近寄るフロンターレのサポーターを尻目に、鳥栖の選手のバス付近で、選手が出てくるのをひたすら待つ。
フラグも買ったことだし、手土産にサインのひとつでも貰おうか。
だが、選手はなかなか出てこない。スタッフの話によれば、ミーティングが組まれたので、当分の間出てこないとの事。
数少ない鳥栖サポーターに囲まれ、足が棒になりながらも今か今かと待ちわびる。
バックを車に積もうとした鳥栖のスタッフが重さに耐え切れず、しりもちをついて笑いに包まれるシーンもありました。

バスの脇でスタンバイ

こんなところで待っていました


フロンターレのサポーターが姿を消し、コンサドーレのバスが出発しても、鳥栖の選手は一向に姿を見せない。
余りの惨敗にミーティングに余念がないようだ。
試合終了から1時間以上経過し、ようやく選手達が登場。その表情は一様に厳しい。
何人かのサポーターが生垣を乗り越え、選手に近づきサインをねだる。
が、建物の中から警備員が登場。サポーターは元の位置に押し戻されてしまいました。

一番人気の高嵜選手

鳥栖の一番人気はGK高嵜選手
凛々しいマスクに、女性からの人気は盛大
こんな状況でも笑顔でサポーターを迎えていました


こんな状況で無理に頂戴するのはいただけない。という訳で特に何も貰うことはありませんでした。
鳥栖の選手の皆様、他のチームと比較して戦力条件が厳しいのは確かに明白です。
それでもまだシーズンは始まったばかり。熱心な地元サポーターのためにも、全力を尽くしてリーグを盛り上げてください。
トラックも無く、芝生の状態も良好なスタジアムが羨ましい。あれだけのスタジアムを持つ都市なんて、そんなにあるものじゃないですよ。

札幌のサポーター

遥か彼方から訪れた、熱き札幌サポーター
左上の「俺達にアウェイは無い!!」
の文字が力強い



からす?も応援参加??

鳥栖の応援席を覗くと・・・
からすのような鳥が大暴れ



紙ふぶきが舞う

試合開始近くになると
鳥栖の応援席から盛大な紙ふぶきが



紙吹雪を掃除するボランティア

ハーフタイム中に紙ふぶきを掃除するボランティア
余り手を煩わすことは止めましょう・・・て?



フロンターレのタオルが・・・

意外なことに、札幌のサポーター席には
フロンターレのタオルマフラーが結構ある
誰かが贈ったもんなのか?



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