大分トリニータ VS 川崎フロンターレ

〜 J2 第18節 〜



日   時 2001年7月7日 18:00
試合会場 大分スポーツ公園総合競技場 ビッグアイ
(大分県大分市)
天   候 曇り
観 客 数 7,461人 (最大収容人員の1/6程度か)
試  合  結  果
大   分 前  半 川   
後  半
     
     
     
得   点   者
山根 巌 10分   29分 エメルソン
オウンゴール 43分      






本日の対戦相手は大分トリニータ。一時は低迷のあおりで、3年越しのJ1昇格に黄信号がともるも、順位表を確認すれば堂々の3位。
2位湘南と勝ち点は並び、石崎元監督の解任ショックを乗り越え、J1昇格射程圏内まで持ち直した。
フロンターレの近状は、相手にも恵まれたおかげで連勝中。一見すると調子も上向きで、追撃態勢は整ったかのようだ。
だが、前節も横浜FC相手に先制されるなど、試合内容は決して誉められたものではない。依然ちぐはぐな試合運びで、観ている者の安心を満たすに至らない。
その意味でも試金石のこの試合。フロンターレが真に上位復帰を目論むなら、内容はもとより、勝利は最低条件だ。

ビッグアイ

冒頭お約束で、ビッグアイを紹介
ラグビーボールを半分に切ったような外観
サッカー専用?のためか、想像よりは小振り



広大な場内

場内はご覧のとおり
屋根に覆われた競技場は初対面なので
ちょっと圧迫感を覚える
(実際には相当広い)



閉まった屋根

ビッグアイ自慢の開閉式の屋根
普段はこのように閉じているようですが・・・



開いた屋根

開いた状態をご覧あれ
日照も適切にコントロールされているのか
非常に観戦し易い競技場だ



場内の資料館

場内には資料館らしきコーナーが併設
ここでビッグアイを支える
最新技術を目の当たりに出来る



アウェイ側をを侵食する大分サポーター

おや?大分のサポーターが
アウェイ側にもかかわらずこんな仕打ちを
嫌がらせか?それともウチのサポーター数が
極端に少ないから??
事実、ゴール裏の人数を数えたら
私込みで26名しかいなかったりして


応援の人数では、大分サポーターに圧倒されそうだ。だが、ゴール裏に立つ以上、どんな場所でも全力の応援だ!
オオオー、オオオオオー、
フォルツ
ァツァ〜フターレ〜
数少ないながらも、どうしても応援が統率されない。打楽器も無ければ、普段の応援団もいないので、応援の主導をとる者がこの日に限り不在らしい。
それが故に、微妙にぶれてしまう。応援団の重要性を痛感させられる。
私も時折主導的な応援を試みるも、結局は誰もついていかなかったし・・・。最後方で統率を取れって言っても、それは無理ですな(笑)。

応援のリズムが乱れがちのサポーター

人数はこれだけなのに、不思議と応援が乱れがち
応援にはリーダー役が必要と、認識させられた


肝心の試合は、フロンターレが優位な立ち上がり。チームに加入して間もないアイルトン選手(背番号10:FW)と鬼木選手(背番号7:MF)の連携が冴え、左右に大きくパスを回す。
ペナルティエリア付近で、フロンターレのフリーキック。アイルトン選手が大きく助走を加え、豪快な一撃が炸裂だ!
が、ここはチャンスに直結せず。それでも序盤に関しては、フロンターレの優位が続く。
中盤のルーズボールを拾い、左寄りに構える久野選手(背番号23:DF)へ。
久野選手は大分の選手の足にボールを当て、スローインに切り替える。一度ボールはピッチの中寄りに戻され、その勢いで右サイドに流れる。
が、ここでも連携の悪さが表面化。ボールを持つ選手を誰もフォローせず、最後は大分の選手に奪われてしまい、問題の深刻性を浮き彫りにする。

ボールに絡む鬼木選手

この日は鬼木選手の動きが冴えない
この後、大分のボールをタッチライン際でクリアに入るも
プレッシャーに入る大分の
高松選手(背番号29:FW)に
ボールをぶつけてしまった
運良く、ゴールキックに切り替わったのですが


フロンターレの優位も長続きしない。大分も徐々に押し返し、逆にフリーキックのピンチを迎えてしまう。
原田選手(背番号14:MF)のキックは、ファーサイドへ。そこに山崎選手(背番号23:DF)が突進し、ヘディングシュートを放つ。
フロンターレも速攻で対抗。笹原選手(背番号21:GK)をセンターサークル内で一度止め、大分の不意を突いて一気に前線へ。
これもチャンスにならず、フロンターレのぎこちなさが目に付く。対するサポーターの応援も、未だ統一性が図られない状況だ。
私が率先してやるか?でも皆様の背後で怒鳴っても、効果は低いだろうしなぁ。

前半も10分近く、フロンターレの守備は不安定で、危険と隣り合わせだ。
クリアボールは軒並みタッチラインを割り込む。しかも右サイドのフリースペースが異様に広く、大分に散々突かれる始末。
あぁ!右サイドにぽっかりとスペースが。そこに大分の選手がドリブルで切れ込み、豪快なセンタリングが襲う。
それを山根選手(背番号8:MF)が、強力な首のひねりでヘディングシュート。
笹原選手のダイブの間もなく、ゴールネットにボールが突き刺さってしまった。

先制点を喜ぶ、大分の選手

得点を喜び、互いに抱き合う大分の選手たち
どころで箕輪選手(背番号5:DF)よ
手を掛けたからって、何の意味があるの?


リスタート後も大分の構成が。フロンターレの右サイドはまたもや隙間だらけで、大分の格好の鴨に。
再びゴールライン付近から精度の高いセンタリングが。先程の失点劇のリプレイを見ているのかと思うほど。
同じ手を立て続けに食らう事自体、フロンターレの惨状を如実に証明。サポーターの応援も失点に動揺を隠せないのか、早くも沈滞傾向だ。
フロンターレは中盤後方から一気に前線に縦パス。今野選手(背番号18:MF)が懸命にボールを追うも、大分のGK前川選手(背番号1)が楽々キャッチ。
特に両サイドの守備は、目を伏せたくなる程。何でも無いルーズボールのクリアさえ、伊藤宏樹選手(背番号25:DF)が、片足一本でタッチラインに蹴り出す有様。
応援も未だ統率されず。最前列のサポーターは主導的に奮起するも、いつもの統率力を発揮するには至らないようだ。

アイルトン選手が前線にパス

アイルトン選手(中央)が
前線のエメルソン選手(背番号9:FW)に
低いパスを送る
ここは大分DFに上手く体を入れられて
エメルソン選手には渡らず


フロンターレの守備レベルはかなり酷い。飯島選手(背番号31:DF)までも、単純なトラップミスを犯すなど、イージーなミスが目立ちつつあるようだ。
攻撃面では右サイドの突破に成功し、中央にセンタリング。が、大分の守備も安定し、得点の型まで許さない。
続けて左サイドにボールが渡る。これはエメルソン選手が上手くコーナーキックを得た。
コーナーエリアからの鋭いボールはゴール正面。伊藤宏樹選手と前川選手が交錯し、ボールをファンブル。
そこを押し込めb同点だ!・・・。だが、押し込むには至らず、貴重な機会を逃してしまった。
サポーターも一同天を仰ぐ。嘆く暇も無く大分は反撃に転じ、逆にフリーキックのピンチを迎える。
フリーキックはふわりと浮かせ、フロンターレゴールに迫る。大分の選手もフロンターレのウイークポイントが空中戦にあると、良く理解している様だ。

守備の呼吸が合わないフロンターレ

続けてコーナーキックの大ピンチ
ゴール前を横切るボールに対し
DF・GKどちらが対応するのかが不明確で
クリアすらおぼつかない



大分の選手に突破される箕輪選手

箕輪選手(右)の守備も頂けない
ポジション取りが悪い為か
フリースペースを与えすぎる
ここでも高松選手(左)の突破を許してしまう



伊藤宏樹選手のプレー

方や伊藤宏樹選手までこの有様
笹原選手も飛び出しが不安定だ
この日は選手の声も出ておらず
意思徹底に疑問符をつけざる得ない


オオオーオオオオオー、
フォルツ
〜フターレ〜
応援は多少乱れ気味。試合開始直後よりは改善されたと思うが、まだリズムが不完全。
フロンターレの選手は、とにかく黙ってばかり。いつもは快活な笹原選手ですら、沈着傾向。
ボールを前に投げる際も、黙ったまま。その影響からか、守備の乱れは酷くなる一方だ。
伊藤宏樹選手から久野選手への平凡なパスまでも、タッチラインを割る惨状。極度の連携不足は悩ましいばかりだ。
が、ここで福音が。フロンターレは中盤で大分のボールを奪い、前のエメルソン選手へ。
大分の守備はがら空き。エメルソン選手はドリブルで一気に前進し、ペナルティエリア外に飛び出した前川選手もさらりとかわす。
最後は軽くボールを蹴り、ボールは転々と無人の大分ゴールに転がる。運に恵まれたとは言えども、これで同点だ!

得点を喜ぶサポーター

得点シーンは超ピンボケなので
ゴールを喜ぶサポーターを
ぎこちない「ビバ エメルソン」コールが
実に面白い
(その前に私も積極的に応援せねば・・・)


さあ、ここから逆転だ。だが守備の不安定要素は、どうしても解消に遠し。
特に箕輪選手が頂けない。時間が経過するにつれ、ミスが頻発するようになる。
両サイドの守りが甘く、大分に散々狙われる。その結果、度々セットプレーのピンチを誘発してしまう。
笹原選手のプレーも精彩を欠く。コーナーキックをファンブルしたり、得意の筈の前線への鋭いパスまでも、失敗が少なくない。
とにかく選手全体の調子が上がらない。強いて挙げれば、エメルソン選手が巧みなボールコントロールで、セットプレーをゲットすること位だろうか。

渡辺選手のミドルシュート

アイルトン選手のフリーキックの跳ね返りを
渡辺選手(背番号30:MF)がシュート
これはゴール枠から大外れ


前半も残り僅か。ここにきてフロンターレの攻撃は、不可解だらけの印象が。
あれだけ連携が悪く、個々の選手が攻撃しようと、予想外に大分の選手はてこずっている。
大分の選手も調子がイマイチなのだろうか。鳴り物入りのスターレンス選手(背番号4:DF)ですら、余り目立っていない。
推測はともあれ、今は結果が大切なので、どんな形でも得点が欲しい。

が、ひょうんな事でその機会が。一瞬ピッチから目を離し、再び視線を戻すと、フロンターレゴールに浮き球が迫っている。
笹原選手が慌てて戻るも、ジャンピングパンチも空しく、ボールはフロンターレゴールに吸い込まれてしまった。
場内には盛大な「Gool!!」アナウンスが。私が目を離した隙に、一体何が起きたのか。
大分のセンタリングがシュートになったのか?いや、場内アナウンスでは「オウンゴール」ではあるまいか。
それなら笹原選手のパンチミス?いや、態勢を崩してのパンチングミスならば、通常ならばオウンゴールに該当しない。

正体が判明したのは、不覚にもハーフタイム中。オーロラビジョンに映し出されるプレーを確認すると、大分の選手が蹴ったボールが、伊藤宏樹選手の足に。
そのままボールは弧を描き、まさかのオウンゴールとは・・・。オーロラビジョンに映し出された、呆然とする伊藤選手の姿が、実に切なく映ってしまう。年に1度の七夕が、タナボタになるなんて・・・。
しかも前半終了直前に、エジミウソン選手(背番号8:MF)が負傷退場。ただでさえ戦力が薄いのに、今後致命傷ともなり兼ねない。

オウンゴール

これが伊藤選手のミスなんて
撮影直後は片隅にも思わなかった


脱力感に襲われながらも、後半の開始を迎えてしまう。一気呵成の大分サポーターに対し、フロンターレサポーターは意気消沈。
それを物語るべく、ピッチ上でも大分が一方的な展開。縦横無尽に攻撃し、フロンターレは一方的に攻撃されるばかり。

フロンターレの反撃もお寒い限り。選手間の連携は改善されず、中盤まで持ち込むのが精一杯。
サポーターも危機を覚えたのか、最前列から自発的に「フロンターレ」コールが。
声には危機感が溢れている。サポーターの真摯な想いに、選手たちはこたえてくれるのだろうか?

原田選手

大分の原田選手の
精度の高いフリーキックには要注意
どうして彼を再レンタルしなかったの>フロント殿


フロンターレもようやく反撃。中盤左サイドから、最前列の林選手(背番号33:FW 後半より投入)に一気にパス。
だが、ここで考えさせられるシーンが。ペナルティエリア外にGKの前川選手が飛び出し、何と!林選手とヘディングで競り勝って、まんまとクリアに成功。
空中戦への弱さが、より露骨に表面化してしまった。これ程問題を抱えてるとなれば、、頼みの得点機会すら遠のくばかり。
災難は更に続く。大分の悪質なファウルから、エメルソン選手がピッチに崩れ落ちる。
痛みをこらえて立ち上がろうとする姿が、実に痛々しい。何故故に試練の連続か、疑心暗鬼に陥りそうだ。

痛みに苦しむエメルソン選手

意地でも戦列復帰してくれ・・・
彼が戦線離脱したら
フロンターレの1年は終わったも同然だ


厳しい表情でピッチを見つめていると、私の背後から地元の子どもが。何と!握手してくれとのお願いだった。
ちょっぴり選手気取りで軽く応じる。こんな試合展開じゃ、応援するよりも、子どもたちと話でもしていようかな。
競技場の外でも挨拶してくるなど、大分の子どもたちには親近感を覚える。そんなことを考えつつも、試合観戦に復帰する。

ピッチに視線を移すと、依然大分ペースの模様。笹原選手と大分の選手が一対一になる等、依然危機のままである。
フロンターレはエメルソン選手の飛び出しが命綱。大分も原田選手が警告を受ける程のファウルで対抗し、体をはってでも失点を防ぐ公算だろう。
その後もエメルソン選手に対し、厳しい場面が続出する。彼の肉体的・精神的疲労も、限界に近いのでは無いかと、心配は尽きない。

エメルソン選手

追いかけたボールがゴールラインを割り
焦燥した面持ちで、看板にもたれ掛かる場面まで
事態を察したサポーターは
「エメ!エメ!」コールを送る


後半も15分近くを経過。フロンターレは調子が優れる塩川選手(背番号24:MF)を投入し、是が非でもゴールを狙いに掛かる。
彼が登場するや、バックスタンドからも拍手が沸き起こる。大分の人の優しさを垣間見たシーンだった。

さて、試合に集中しよう。大分DFの乱れに乗じ、林選手がゴール前に迫る。
しかし、前川選手も冷静そのもの。林選手の突進に慌てる素振りも見せず、冷静にボールを対処する。
すると大分も大逆襲。地を這う速攻で中央突破を図り、フロンターレゴールに一気に迫る。
鮮やかなパスワークで、フロンターレDFもばらばら。豪快なフィニッシュに対し、笹原選手がゴールラインに逃れるのが精一杯だ。

前川選手と林選手

林選手をあしらう、前川選手(左)
まるで大人が子どもをあしらうようだ


時間が経過するにつれ、フロンターレの攻撃は凋落する一方。反撃もスピードが非常に遅く、選手間の連携も乏しく、結果中盤で食い止められる。
一応は、左右に選手を広げサイド攻撃を狙う。だが、攻撃の組織力が非常に低く、まるで効果を成していない。
一応はシュートまで持ち込むも、角度不足。ボールは大分のゴールを捉える事無く、転々とゴールラインを割り込んでしまう。
それに対し、大分の攻撃は余裕すら感じられる。原田選手のフリーキックはファーサイドに向かい、そこにぴったりと選手が入ってくる。

フロンターレはますます連携が乱れるばかり。本能的にボールを扱う場面が多く、組織的な攻撃の組み立ては遠のくばかりだ。
パスの精度・スピード共に低い。ワンタッチパスですら頻度が下がり、ボールの蹴り出し(判断)に時間がかかるので、得点のチャンスすら引き寄せられない。

林選手のプレー

巧みなステップワークから
林選手が中央に折り返す
だが、ゴール前のエメルソン選手は
反応しきれず



前川選手のファインセーブ

後半唯一とも言える大チャンスもあったが
フロンターレの至近距離からのシュートは
前川選手が素晴らしいセーブ



前川選手のプレー

その後も前川選手の好プレーが続く
アイルトン選手のコーナーキックも
安定感誇るセービング
唯でさえ空中戦に難のあるフロンターレ
これでは得点など夢のまた夢
もはや絶望的な気配すら感じる


一息つく間も無く、前川選手は一気に前線にボールを蹴る。最前列で身構える大分の選手に繋がり、コーナーキックのピンチを迎える。
方や集中力・組織力が削がれたチーム、方や勝利に執念を燃やすチーム。選手の能力は大差ない筈だが、これほど如実な差が生じるなんて・・・。
これでは勝負にならない。試合放棄をすること事態、サポーターとして恥ずべく行為なのは当然としても、莫大なる意識の違いと結果に、打つ手立ても浮かばない。

この後の展開は触れたくない。チームとしての組織能力が消失し、本能だけで戦う選手たちしか記憶に残っていない。
チームプレーならば、一丸となって対抗すべきが、もはやその面影すらない。最後まで意識を明確に戦う大分に対し、フロンターレは勝負する資格すら疑問に思える。
結局このままで試合は終了。J1復帰の為には間違えても落とせない一戦をものに出来なかった。
チームとしての戦闘意欲が微塵なく失せたようで、寂しさばかりだ。

ゴール裏に訪れるフロンターレの選手たち

挨拶に訪れる選手たちには
サポーターから様々な反応が
拍手・怒声・励まし・・・
私としては、何も出来ず
黙って選手たちを見つめるのみだった


試合後の前川選手のヒーローインタビューが場内に流れる。勝負の厳しさに対する真摯な姿勢と、目的・問題意識が明快なコメントに、敵ながら拍手を贈ってしまった。
J1昇格のころは、フロンターレの選手たちも確固たる目的があった。だが今日のフロンターレは、目標や意欲が薄れ、惰性のみで戦っているとしか思えなかった。
個々の選手は頑張れど、結果チームとしての組織体を成した時、もろくも崩れるのが現在のフロンターレではなかろうか。
それが今や、選手個々レベルまで波及し兼ねないかと、気が気でならないのだ。

これでは強豪相手に勝機はゼロだ。いや、下位チームもペースアップは顕著なので、確実に勝てる相手は減る一方だろう。
このまま無意味な1年をだらだらと過ごしてしまうのか、愕然とさせられた試合でした。


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