川崎フロンターレ VS ベガルタ仙台
J2 第28節
日 時 | 1999年9月26日 18:00 | |||
試合会場 | 等々力陸上競技場 (神奈川県川崎市) | |||
天 候 | 曇り | |||
観 客 数 | 4265人 | |||
試 合 結 果 | ||||
川 崎 | 0 | 前 半 | 0 | 仙 台 |
3 | 後 半 | 1 | ||
ツゥット (51分) 伊藤彰(81分) ツゥット (83分) |
得点者 | パウロ・ エンリケ (67分) |
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0 | 計 | 0 |
勝ち点がゆうに50を超え、J1昇格まっしぐらの川崎フロンターレと、未だ低迷を続けるベガルタ仙台との一戦。
ベガルタは勝ち運に見放されているとはいえ、個々の選手の潜在能力は高く、監督も清水秀彦氏に交代し立て直し懸命になると思われ、油断はならない相手ではある。
この日は各テレビ番組のサッカーコーナーであまりにも有名な、俳優の川平慈英氏がニュースステーションでの取材に訪れるとのこと。
会場に赴いた私は周囲も見渡すが、いつものとおり閑散とした雰囲気で、テレビ局の取材と言った気配はまるでなし。
川平氏を迎える競技場は、どんよりとした雲が空を覆い、何か嫌なムードを漂わせる。
(正直に言うと、私はニュースステーションのJ2巡りコーナーは一度しか見たことはないのですが、聴いた話では彼が行くと、たいていホームのチームが負けることが多いらしく、縁起は悪いようである)
試合の方は立ち上り、フロンターレが右サイドのフリーキックよりシュートの格好をつくり、主導権を握る形となる。
対するベガルタも中村選手(背番号15:FW)が左右の動きでボールをキープし続け、態勢を崩しながら自らシュートを放つが大きくそれる。
その後は、両者中盤での小競り合いとなる。
フロンターレの守備の要は、森川選手(背番号29:MF)である
期限付きとは言わず、ずっといて欲しい選手
しかし、7分過ぎ頃からは、ベガルタが流れを掴みはじめる。
この日動きがすこぶる良いパウロ・エンリケ選手(背番号28:MF)に巧みなドリブルで持ち込まれ、豪快に蹴られるものの、ぎりぎりポスト枠に外れ、何とか失点は免れる。
フロンターレのディフェンスは、立ち上りばらつき統制が取れない悪いパターン。
ゴールキーパー浦上選手(背番号1)も盛んに手を振り、選手に気合を送り込む。
それでも仙台の攻撃は緩まず、正面から相手キャプテンのドゥバイッチ選手(背番号5:DF)にミドルシュートを許すが、これも外れ難を逃れる。
ベガルタは右サイドを中心とした攻撃の組み立て。フロンターレのディフェンスは連携が取れず、相手のフリーキックのクリアがうまく行かず、あわやオウンゴールになりかけるなど、相手の攻撃をお膳立てする有様である。
森川選手のクリアは、相手選手に当たる
そのこぼれ玉を、ベガルタ平選手(背番号11:FW)が拾い
センタリングのチャンスをうかがう
フロンターレは少ないチャンスからカウンターを仕掛け、桂選手(背番号12:MF)の低いセンタリングにツゥット選手(背番号9:FW)が飛び込むが、ベガルタのゴールキーパー石川選手(背番号22)が一瞬早く飛び出し、ボールをがっちりセーブ。
フロンターレは再三攻撃を仕掛けるが、ゴール前のつめが甘く、繋ぎも相変わらず悪く、相手にプレッシャーをかけることがままならない。
ベガルタ、ニクソン選手(背番号27:MF)の圧力に
フロンターレ森川選手も慌ててクリア
20分過ぎてもベガルタの選手の動きはきびきびとしており、攻撃のリズムを微妙に変化させ、フロンターレサイドを攻め続ける。
対するフロンターレもボールを奪い、左右に波状攻撃を仕掛けるが、下位チームとは思えない執拗なマークに阻まれ、なかなか前に送ることができない。
痺れを切らしたティンガ選手(背番号10:FW)が一人で持ち込み、ゴール前で粘りのキープを見せるが、サポートが遅く、チャンスにならない。
続けてティンガ選手が個人技で突破を図り、相手の反則を誘いフリーキックのチャンスを得る。
しかし、久野選手(背番号23:MF)のキックは、適度な回転がかかるものの落ちが足りず、ゴール上を通過してしまう。
フロンターレは前線に低めのパスを再三送るものの、ミスが多く、ベガルタ選手の正面に。
フロンターレのサポーターからは、下位を相手にしながらふがいない動きに、ため息が漏れる。
35分ごろになると、フロンターレも相手のミスを見逃さないようになり、ボールを奪ったティンガ選手が、ドリブルで独走。
ゴール前の桂選手にスルーパスを渡すものの、フリーになりながらシュートはジャストミートせず、ポスト左に外れてしまう。
対するベガルタも、フロンターレディフェンスのパスミスを一気に持ち込むが、浦上選手が決死の飛び出しを見せる。
弾かれたボールは、がら空きのゴールに向けてセンタリングを上げられるが、飛び込む選手がおらず、事無きを得る。
危険な場面も、浦上選手が決死の飛び出しで防ぐ
ベガルタの攻めは止まらず、シュートの連発となる。
ニクソン選手の切れの良いシュートは、運良く外れたものの、平選手の素早い切り返しなどで、ゴールを脅かす。
対するフロンターレは、佐原選手(背番号3:DF)の長身を生かしたヘッドなどで、かろうじて攻撃を止める。
ベガルタに攻められながら、前半終了のホイッスル。フロンターレは王者らしからぬ試合運びとなってしまった。
ベガルタのリズム感あふれる攻撃
平選手の鋭い切り返しに、フロンターレディフェンスもたじたじ
恒例のハーフタイムショーは障害物競争。
そして遂に・・・川平氏がピッチに現れる。
テレビで見かけるノリの良さで、トラックを走り出す。
フロンターレサポーターも、暖かい声援で彼を迎い入れる。
観客に一礼した後、ふろん太君と組むために走る川平氏(左側)
ノリの良さはテレビそのまま
障害物競走が終わり、ふろん太君と共に前を通り過ぎる川平氏
その姿はテレビと全く変わらず(当たり前か)
更にアップで撮影
前傾姿勢からは、何か秘めたものを感じさせる
障害物競走が終わると、川平氏はフロンターレサポーターの元に駆け寄り、大きなゼスチャーを見せ声を張り上げるように促す。
サポータもそれに答えて、「フロンターレ!!」の熱唱を返し、川平氏もそれに応じる。
そして川平氏が、「フロンターレ、J1にあがっていいんですかぁ?」と叫ぶ。
お決まりの文句で、皆は大声で「いいんです」と返す。
そして大きな拍手の中、川平氏は控え室の方に手を振りながら去って行きました。
時間は短かったものの、本人の前で「いいんです」と叫ぶのは、快感以外の何物でもないです。
暗くて分りにくいですが、大きな身振りで観客に応える
私も興奮しすぎたためか、手ぶれが激しく良い写真はとれずじまい
どうもすいません
競技場の興奮が冷めやまぬ中、後半が開始される。
フロンターレは桂選手に代わり伊藤彰選手(背番号19:MF)を投入し、先制点を狙いにくる。
序盤はセンターサークル付近での競り合いが続く。
フロンターレの長い縦パスを、伊藤彰選手がヒールで落とすものの、誰もいない。
ややベガルタのペースで、しばらく展開する。
だが後半5分過ぎ、フロンターレが突如ペースを握り、ティンガ選手が粘りのドリブルでベガルタゴールまでのし上がる。
それを走り込んだツゥット選手に送り、先制点をたたき出す。
川平氏のパワーが乗り移ったのか、見事な攻撃でした。
ティンガ選手のこのアシストが,先制点を呼び込んだ
こうなるとフロンターレが圧倒的優位になる。
引き続きツゥット選手が2点目を奪いに行くが、シュートは惜しくもキーパー正面。
更にティンガ選手もヘッドで点を狙う。
フロンターレの選手は、能力の高さを見せ付ける。
森川選手がロングシュートを放つなど、後方の選手も積極的に攻撃に参加する。
コーナーにボールを置く、伊藤彰選手
最近パパになったためか、プレーの自発性が際立つ
高田選手(背番号2:MF)も、盛んに攻撃参加
対するベガルタは20分過ぎになると、中盤以降で玉を回し始め、静かに様子を伺い始める。
と思いきや、前方に鋭いパスを送り、一瞬のうちにフロンターレゴールに迫りくる。
これにはたまらず、フロンターレディフェンスは反則を犯してしまう。
正面からのフリーキックは何とか防いだものの、直後にパウロ・エンリケ選手に豪快に蹴り込まれ、同点に追いつかれる。
先制点を挙げて熱狂していたサポーター席は、急に静まり返る。
その後もフロンターレはピンチの連続。
ゴールを決め調子に乗りまくるパウロ・エンリケ選手を再三フリーにしてしまい。数十メートルの独走を許してしまう。
更にフリーキックから押し込まれ、逆転を喫す・・・幸いにファウルで助けられる。
フロンターレもショックから徐々に立ち上がり、何とか攻撃の糸口を掴もうとする。
だが、守りを固めるベガルタを、なかなか突破できず、前線にボールを送り込めない。
長橋選手(背番号20:MF)のセンタリングは相手ディフェンス
渡辺選手(背番号4:DF)にあたり、ゴールラインを切れる
しかし、勝利の女神はフロンターレに微笑む。
危ない局面の連続から、一転して反撃に転じ、スルーパスを受けた伊藤彰選手が、2点目を叩き出す。
更にティンガ選手のためから繰り出されたパスを、ツゥット選手が至近距離から強烈に蹴り込み3点目。
フロンターレ、あっという間にベガルタを突き放つ。
パパになった伊藤彰選手のゴールパフォーマンスは、「ゆりかごダンス」
両手をゆりかごを抱えたように振るのがポイント
両脇のティンガ・ツゥット選手と共に踊る
ベガルタも最後は食い下がるものの、力のないシュートは空高く舞い上がる。
ここで試合終了。フロンターレは川平パワーで勝利をもぎ取り、J1昇格にまた近づいた。
ここで、私が見た川平評を。
その姿と口調はテレビから流れるそのもので、あまりにもおなじみです。
それでもハーフタイム直前の控え中などは、周囲から声をかけられても全く動じず、下をうつむいたままという一面も見せてくれました。
芸能人は騒ぐのはテレビカメラの前だけで、それ以外は静かな人も多いようですが。彼もそのタイプかも知れません。
もしかして、意外と静かなタイプなんでしょうか?
あと、サポーターの前に現れた時間が短かったのも気がかりです。
これでどうやって、J2巡りコーナーを仕上げるのか?月曜日の放送が楽しみです。
※注:放送は10月1日(金)に延期したそうです。
ハーフタイムの障害物競走
一緒に参加するはずの川平氏(円中)は、横でうつむき特に何もせず
ここでも盛り上げて欲しかったです
なぜか招き猫の旗が登場
もしかして、富士通サマーフェスティバルで特製招き猫を落札した
あの少女が作ったのか!?
ほとんどの人は招き猫について御存知ないと思うので、
このページをご覧になってください。
川平さんも大事ですが、ここからは試合後のある出来事を。
試合終了後、フロンターレの選手が直筆のサイン入り生写真を自ら配るとの情報を聞きつけ(今ごろになって・・・)、試合終了後選手が乗るバスの前で粘り続ける。
周囲は鉄柵で囲まれているものの、最前線に陣取り、選手が現れるのをひたすら待ちつづける。
そして20分も過ぎたところ、最初にふろん太君が登場。
彼も直筆のサイン入り写真とオリジナルシールを配り、子どもたちを喜ばせる。
またもやピンぼけですが、写真をせっせと配るふろん太君
子どもを優先したためか、私は何も受け取れず
やがて待ちつづけること30分。選手達が続々と現れ、写真を配り始める。
脇ではニュースステーションの取材をしていたが、こうなると皆そっちのけとなる。
周囲は写真を欲しがる子ども達の声援で埋め尽くされ、あちこちから手が伸びてくる。
私も負けじと手を伸ばし、3枚の写真をゲットしました。
その写真を眺めると・・・いかにも直筆と思われる文字の浮き上がりと、生々しい指紋が。
選手の皆様、お疲れのところを本当にありがとうございます。
特にツゥット選手は、足を引きずりながらも子ども達のところに駆け寄ってくれました。
そして配り終わり、バスに向う途中、子ども達に向って「ゴメンなさい」の一声。サービス精神もユーモア感覚も最高です。
これだから、フロンターレサポーターは止められないのです。
フローンターレ!フロンターレ!
オレ!オレ!フロンターレをオーレ!!
オレ・オレ川崎!オレオレオレ!!!
頂いた順に上から小松崎・伊藤彰・大塚の各選手
小松崎選手の写真は、あの韮崎での姿です
どれもこれも、リアルなプレーに、感激します