モンテディオ山形 VS 川崎フロンターレ
〜 J2 第44節 〜
日 時 | 2001年11月18日 13:01 | |||
試合会場 | 山形県総合運動公園陸上競技場 (山形県天童市) | |||
天 候 | 晴れ(多少曇りがち) | |||
観 客 数 | 17,396人 | |||
試 合 結 果 | ||||
山 形 | 0 | 前 半 | 0 | 川 崎 |
0 | 後 半 | 0 | ||
0 | 延長前半 | 1 | ||
0 | 計 | 1 | ||
得 点 者 | ||||
91分 | 我那覇 和樹 |
熾烈を極めたJ2リーグ戦も最終節。最後の一戦でモンテディオ山形との対決を迎える。
断るまでも無く、山形はこのの勝負でJ1昇格に全てを託す。この一年、辛酸を味わい続けたフロンターレであったが、この場に及んで最高の舞台が巡ってきた。
今日の目標はただ一つ、90分間死力を尽くしで勝負を挑み、山形の胴上げを断固阻止すること。
超満員のスタジアム、90分後に待つものは、フロンターレの勝利と圧倒的な地元サポーターの悲鳴のみ。
フロンターレが勝利を挙げても、山形の昇格ならば潔く諦めよう。しかしみすみす負けるようでは、元J1の意地とプライドにかけても、絶対に許せない。
山形の自力昇格阻止のみが、フロンターレに託された使命なのだ。
試合開始1時間前
競技場に到着すると、黒山の人だかり
この人数は一体・・・、観客動員数に
決して恵まれたとは言えない山形も
緊張の一戦を前に、多くの人が駆けつけた
当然、当日券は完売していた
いや、もしかしたら当日券の販売も
疑問視される状況だ
ちなみにダフ屋も多く出没
券の価格は、何と10,000円也!
場内に入るのにも一苦労
長蛇の行列を何とかクリアするも・・・
メイン・バックスタンドは、既に超満員状態
その反面、ゴール裏はかなり空いていた
フロンターレのゴール裏に
こんな横断幕があった
NO!バルサンとは・・・物議をかもした
あの一戦が思い浮かぶ
山形側のバックスタンドには
山形サポーターがぎっしりと詰まる
試合開始を前に、異常な盛り上がり
観客席の最上段まで
紫と黄色の軍団が占めていた
川崎フロンターレ!川崎フロンターレ!
強圧な山形サポーターのボルテージに対抗し、フロンターレサポーターも絶叫する。青と黒の小旗を振り、負けじと気合を高める。
早くも緊迫感が走る中、山形サポーターから、不可解な「フロンターレ」コールが沸き起こる。
受けたフロンターレサポーターは挑発と判断したのか(真意は不明だが)、「ベガルタ仙台!」・「大分トリニータ」等と、逆にJ1昇格争いのチームを例に立て、冷徹に突き放す。
両チームの選手たちがピッチに現れた、ゴール裏の観客席も大半が埋まり、緊迫の部隊は整った。
山形サポーターの絶叫のうねりには圧倒されそうだ。だが、フロンターレが目標とするのは、唯一勝利のみ。
勝負は火蓋を切って落とされた。この勝負、絶対に譲ってなるものか!
オ〜〜〜、フーロンターレ!
オ〜〜〜、川崎オーオ〜
私にしては珍しく、サポーターを前から撮影
だが、彼らは厳密にはフロンターレサポーターとは違う
その正体は、何処からとも無くやって来た
仙台サポーターだったりして
山形が開始直後にシュートを放つ
フロンターレのGK、浦上選手(背番号1)が
飛びつくも、ボールは手からこぼれてしまう
そこに山形の根本選手(背番号20:FW)が詰めるも
一足早くボールを抑えた
幸先のピンチをガミさんの好守備で防いだ。フロンターレサポーターからも盛大な拍手が沸き起こる。
だが、山形の攻撃は実に厳しい。課題とも言える決定力不足は、微塵とも感じさせない勢いだ。
早くも試合に決着をつけるつもりなのか。右サイドでは激しいヘッドの応酬で、フロンターレ相当のプレッシャーを与える。
早くも山形にセットプレーのチャンスが。鋭いフリーキックはカーブを描き、フロンターレゴールの低い位置へ。
フロンターレも浦上選手が左に反応。ボールをゴールラインに逃し、場面は山形のコーナーキックへ。
このコーナーキックも浦上選手がパンチング。またもや山形のコーナーキックを迎えてしまう。
更に緊迫した空気の中、山形のキックはフロンターレゴール正面へ。これも浦上選手が大きく弾き、ボールはそのままタッチラインを割り込んだ。
山形はスローインから、すかさずセンタリングを放って来た。これも浦上選手が抑え、序盤のピンチを何とか凌ぎ切った。
浦上選手が積極的な守備を披露
この試合、彼の神業的な守備に
何度救われたか、数え切れないほどだ
山形は中盤スローインから、前後にボールを繋ぐ。ふと、フロンターレの隙をうかがい、強烈なミドルシュートを放って来た。
ここも浦上選手が左にジャンプ。卓越した反応で、このシュートをがっしりと抑える。
ボールは左サイドバックの小島選手(背番号29:DF)へ。しかし不用意なボールコントロールから、呆気なく山形に奪われてしまった。
そのまま山形の選手が右サイドを駆け上がる。小島選手がファウルを犯し、またもやフリーキックを与えてしまう。
このキックは逆サイドに流れたものの、山形の攻撃は容赦無い。前半の早い段階で、試合の主導権を握る公算か。
右サイドに山形のスルーパスが通る。フロンターレも塩川選手(背番号24:MF)が追い付き、山形の選手をコーナー付近に追い詰める。
最後は体を預け、ゴールキックに切り替わる。塩川選手もかつては石崎監督と共に山形に在籍しており、この試合に対する意気込みは、他の誰よりも強いに違いない。
フロンターレは伊藤宏樹選手(背番号25:DF)が
警告累積で出場停止
大事な試合に小島選手が託されるも
やや守りが心もとない
劣勢が続いたフロンターレであったが、ようやく左サイドに展開する。
しかし、これも単発で終わってしまう。山形の鈴木選手(背番号1:GK)のキックに合わせ、山形サポーターの「ウォ〜」と大地を揺るがす絶叫が。
異常とも思える声量に、フロンターレの選手も驚いたのか、直後ファウルを犯してしまう。
山形のフリーキックから、フロンターレペナルティエリア内で激しい競り合い。ボールは左サイドに流れ、浮氣選手(背番号24:MF)が追い付いた。
フロンターレも阿部選手(背番号16:FW)がマークに入る。最後は高田選手(背番号2:MF)も加わり、浮氣選手からボールを奪い戻す。
そのまま反撃を試みるが、山形にボールを奪い返された。センターサークルから横にドリブルを効かせ、高田選手を一気に振り切る。
ボールは根本選手に渡り、センタリング。高いボールがフロンターレゴール前に迫ってくるも、浦上選手は慌てていない。
両手を高く突き上げ、ジャンピングキャッチ。さあ、フロンターレも速攻を仕掛けるぞ。
山形の守備をもろともせず、フロンターレは右サイドに果敢に切れ込む。
最後は中央に折り返し、ゴール正面の伊藤彰選手(背番号19:FW)がシュート。
これはボールの芯を捉えず、決定的な場面には至らず。だが、フロンターレに久々に訪れた、得点を期待させるシーンであった。
北風が観客席を吹き抜ける中、サポーターも懸命に声を振り絞る。
おお、いとう〜あきら〜、ゴールね・ら・え、シュートは・な・て!
おお、いとう〜あきら〜、ゴールね・ら・え、シュートは・な・て!
フロンターレも右サイドアタックから
クロスボールを伊藤彰選手(左端)がシュート
これはバランスを崩し
ボールの勢いは死んでしまった
前半も15分近く経過すれど、試合はごく一部の局面を除き、山形のペースで進んでいる。
フロンターレは高田選手がピリッとしない。山形の選手にボールを奪われるシーンが多く、彼の所でリズムが崩れがちだ。
それでもフロンターレは更に前へ。幾分かは粘りを見せたものの、最後の縦パスは不用意なものとなり、山形ディフェンダーにカットされる。
山形は左から、中央へ。ゆっくりパスを回すと見せつつ、不意を突いて浮かした縦パスを放つ。
ボールに合わせて根本選手が飛び出し、あわやピンチを迎えそうになる。
山形の応援は相変わらずの凄さだ。それでもフロンターレ&仙台サポータはひるむ事無く、熱心な応援で選手たちをフォローする。
バモバモかわさ〜、バモバモかわさ〜
バモかわさ〜〜、バモかわさ〜〜
お〜〜、バモかわさ〜〜
かわさ〜、かわさ〜、バモかわさ〜〜
「き」抜けの応援が繰り広げられる。どうした理由で「き」が抜けるとは、後でじっくり考えれば良い。
山形と比較すると、フロンターレの攻撃の遅さは明白。山形ディフェンスも集中しており、これではゴールの機会は訪れる由も無い。
そんな間に山形が右サイドのフリースペースへ。危険なセンタリングが、フロンターレゴール正面へ放たれた。
一度は小島選手がクリアしたと思いきや、至近距離からシュートが襲う。低いボールはゴール角へ転がり、浦上選手も反応仕切れない。
最悪の事態が脳裏を過ぎるも、ボールはポストに救われた。ボールはそのままゴールラインを割れど、一旦フロンターレの選手に触れたのか、山形のコーナーキックの判定。
コーナーキックは空中戦に縺れ込み、山形がヘッドで押し込んだ・・・。今度こそ失点と覚悟するも、副審の旗(オフサイド)に辛くも救われた。
山形のシュートが決まってしまった・・・
誰がヘッドしたのか(そもそもヘディングだったか)
記憶が定かでは無いが
根本選手辺りとしたら、確かにオフサイドか
押されがちの試合展開を覆すには、応援が第一。ここは気分を入れ替えて、応援に集中だ!
オ〜〜〜、フーロンターレ!
オ〜〜〜、川崎オーオ〜
だが、フロンターレのリズムはぎこちない。ボールを何とか中盤まで戻したと思いきや、山形の選手が切り返した際に、小島選手(だったか?)がスライディング。
スパイクはボールとは異なり、山形の選手の足を捕らえてしまう。これでは当然ファウルの判定。
フロンターレはつまらないミスの多さ故か、山形のリズムを覆すには至らない。
山形がじりじりとパスを繋ぎ、前線を不気味に窺う。フロンターレもタイミングを見計らい、山形からボールを奪い取った。
そのまま左寄りを駆け上がる。最後は高田選手が流れるようなパスを繰り出すも、パスの先に誰も味方はいなかった。
だが、フロンターレのチャンスは続く。山形のゴール前を空中戦で粘り、フリーキックのチャンスが。
レッツ、ゴー、レッツゴー(ドンドン)
レッツ、ゴー、レッツゴー(ドンドン)
フロンターレサポーターも両腕を左右に振り上げる。京都生まれのこの応援も、早くも馴染んできたようだ。
ノリが良いだけに、多くのサポーターに
受け入れられたようだ
皆さんも恥ずかしがらずに
左(レッツ)・右(ゴー)・
左(レッツ)・右(ゴー)・拍手!(パンパン)
強烈なフリーキックは
鈴木選手もたまらずに後ろへ弾くのがやっと
続けてのコーナーキックは
誰かがシュートを放ったようだが
どうしてもゴールに一歩及ばす
直後山形が反撃。この急襲にフロンターレが絶えられず、痛恨のファウル。
ゴールから距離があるものの、真正面と嫌な位置だ。
フロンターレの選手たちも壁を拵え、今まで以上に集中する。山形の選手も一瞬の静寂を経て、鋭いキックを放って来たぞ。
が、これは大きくコースを外れる。浦上選手が見送る暇も無く、ボールはゴールラインを割り込んだ。
試合は激しさを増すばかり。その反面、プレーの精度は若干落ち込んでいるようだ。
山形は再びフリーキックを得るものの、これも狙いを大きく外す。対するフロンターレも山形のボールを奪うまでは良いのだが、その後の繋ぎが雑で、反撃が一向に続かない。
フロンターレは左サイドを展開し、センタリングを放つ。逆に山形もお返しとばかりに、反対サイドをドリブルで独走し、瞬く間にフロンターレゴールに接近を図る。
危険なセンタリングがフロンターレゴールに迫る。浦上選手の守備は極めて安定しており、何事も無かったようにボールをセーブする。
山形もオフサイドを警戒し、ロングパスを封印する。その反面スルーパスは鋭く、再三に渡りフロンターレを脅かす。
根本選手にパスが渡る。フロンターレも高田選手が対応するも、両者が激しく接触するう。
根本選手が大きく転がり、高田選手は警告を受ける。これ以外の手段は無けれども、山形にセットプレーを献上し過ぎる嫌いは、ちょっと否定出来ない。
山形のワン・ツーを
土居選手(背番号15:DF)がカット
だが、カットしたボールは
山形の選手の正面へ
そのまま左サイドを上がり
折り返したボールをすかさずシュート
攻撃力に課題があると言われながらも
J1昇格をかけたこの戦い
チャンスあらば狙って来る
バモバモかわさ〜、バモバモかわさ〜
バモかわさ〜〜、バモかわさ〜〜
フロンターレの攻撃はどうも頼り無い。中盤を越えた辺りで高田選手のスローインを迎えるも、瞬時に山形に奪われる。
山形は直ちに中央突破。フロンターレも小島選手が追い付き、一度はピンチを断ち切ったかに見えた。
だが、山形はすかさず左サイドを繋ぐ。根本選手が粘りのプレーで踏ん張るも、最後は土居選手がクリア。
それでも山形は攻撃の手を緩めない。すかさず右サイドに展開し、再び根本選手が足元で粘る。
フロンターレも足を伸ばし、山形のラストパスを阻止。山形はファウルで攻撃が途絶え、フロンターレにチャンスが巡るかにも思えた。
しかし、フロンターレも痛恨のファウル。山形は右サイドに浮かした縦パスを放ち、フロンターレディフェンスの頭上を抜く。
その直後にセンタリングを許してしまうも、運良くゴールラインを割ってくれた。山形も一時の決定力に失せ、前線の繋ぎが幾分雑になっているようだ。
再び中盤付近からミドルシュートを放つ。ボールはゴールの枠から遠く外れ。さしたるプレッシャーには至らない。
このところ、鬼木選手の影が薄い気が
実際にはそんな事無く、チームのけん引役として
重要な役割を果たしている
ただ、彼の負担が重過ぎるのか
チームの中核がぶれてしまい、反撃も散発に終始
するような気がする
山形は我武者羅にシュートを放つ。低い弾丸は想像以上のスピードだが、誰かに当たって命拾い。
続けて根本選手が左サイドを攻め立てる。フロンターレも土居選手がまとわり付くも、コーナーエリアで根本選手が柔らかな折り返し。
このボールは今野選手(背番号18:MF)がクリアし、中盤まで戻す。だが攻撃のリズムは悪いままで、あえなく山形にボールを奪い戻される。
山形の選手が突破を仕掛けるや、フロンターレも肩口に手を伸ばす。山形の選手は弾みで大きく回転し、危険な時間帯でファウルの判定か。
いや、逆に山形の反則だったようだ。フロンターレは中盤をじっくり窺い、右サイドの高田選手にパスを叩く。
最後は山形ゴール前に折り返すも、後に続く選手がいなかった。山形の攻撃は若干スピードが低下するも、低いパスを盛んに繰り出す。
フロンターレの守備は手薄なれど、浦上選手がペナルティエリア外に飛び出すなど、積極的な守備参加が光る。
だが、山形もそれを見逃さない。再び低いミドルシュートを放ち、一瞬の間にフロンターレゴールへ迫る。
不意討ちとも思えるシュートに、サポーターも騒然。だが、浦上選手も素晴らしい反応を披露し、このピンチも耐え抜いた。
直後のコーナーキックも、フロンターレは何とか守り抜く。ガミさんの好守には、ただただ関心するばかりだ。
ファインセーブにサポーターも興奮気味。前半も残り僅か、気を緩めずに応援するぞ!
お〜〜、バモかわさ〜〜
かわさ〜、かわさ〜、バモかわさ〜〜
浦上選手のファインセーブには
ただほれぼれするばかり
並みのGKなら、この時点で
2〜3点は献上していただろう
ロスタイムに突入すれど、依然として山形の流れ。それでも攻撃全体が幾分雑で、フロンターレも危なげなく守り抜く。
塩川選手が激しいタックルを受け、空中を回転。サポーターも心配でやきもきするも、このまま前半を乗り切った。
他会場の途中経過が電光掲示板に表示される。京都VS仙台は共に無得点。
鳥栖VS大分は鳥栖がリード。J1昇格争いは、残り45分まで持ち越しのようだ。
しかし、観客席最上段の寒さは半端じゃ無い。頭の毛を全て剃ったためか、ハーフタイム中はずっと震えが止まらなかった。
ハーフタイムに入っても
しばらく他会場の途中経過がアナウンスされず
まさかこのまま後半突入かとも思えたが
ようやく電光掲示板に表示された
注目の京都VS仙台は
まだ動きが無い模様だ
この行列は何?
正解はトイレ待ちの光景
後半が始まってしばらくしてからも
列が途絶えることは無かった
場内にアナウンスが響き渡る。「(山形の)J1昇格まで、あと45分です」
いやいや、45分後に待つのは、絶望と地獄と悲鳴の世界。
それを実現するには、フロンターレが勝利あるのみ。後半開始前に、サポーターも大きく気勢をあげる。
何が何でも、絶対に勝つ!山形の昇格はともあれ、勝負を挑む限り、負けは決して許されない。
オ〜〜〜、フーロンターレ!
オ〜〜〜、川崎オーオ〜
開始早々、フロンターレが右サイドを展開。軽快にクロスボールを放つものの、ここは鈴木選手(背番号26:DF)がヘッドでクリア。
フロンターレは早々にファウルを犯す。左タッチライン付近から、山形のフリーキックの場面を迎える。
フロンターレゴール前では、低いボールが交錯する。誰だかよく判らないが、スライディングで対抗するなどし、フロンターレも必死に抵抗する。
山形は佐藤選手(背番号13:MF)が左サイドを突く。山形の再三の攻撃を受けたものの、フロンターレも懸命の守備で耐え抜いた。
ただ、フロンターレのファウルの多さには閉口。苦し紛れでファウルを犯すだけでは、いつまでたっても進化しない。
山形がセットプレーから低く切れ込む
フロンターレの3バックも
捨て身の守備で必死に対抗
フロンターレは塩川選手のセンタリングを
阿部選手がシュートの体勢
山形の厳しい守備に阻まれ
ここはゴールならず
阿部選手は万全なシュートとならず。散財する仙台サポーターの絶叫も加わり、阿部選手のコールが何重にも増幅される。
あ・べ・よ・し・のーり、ゴール!ゴール!
あ・べ・よ・し・のーり、ゴール!ゴール!
塩川選手が中盤から再び前へ。ここは守備に回っていた大島選手(背番号9:FW)にボールを奪われ、ピッチ中央の永井選手(背番号8:MF)へ託される。
山形の勢いは、前半と比較すると多少落ちている。それでもスピード感溢れる速攻は、依然として驚異である。
バックスタンド寄りでは、山形とフロンターレが足元での攻防。積極的にサイドをえぐる山形に対し、フロンターレも必死の守備で行く手を阻む。
フロンターレの粘りに屈したのか、山形は一度中盤へ戻す。再び前にパスを繰り出すも、敢え無くタッチラインを割り込んだ。
中盤の混戦から、鬼木選手がボールをキープ。続けてスローインになるものの、またもや山形に奪取される。
フロンターレの選手をするすると振り切り、一気に右へ展開。ゴールライン付近に迫り、鋭いクロスが放たれそうになる。
だが、フロンターレディフェンスも追い付いた。最後まで諦めず必死のランニングで、山形の決定的なチャンスを極限で食い止めた。
山形に怒涛のドリブルを許すも
最後の最後で、フロンターレ
ディフェンスも追い付いた
チャンスを逸脱した山形の選手は
天を仰いで悔しがる
オ〜〜〜、フーロンターレ!
オ〜〜〜、川崎オーオ〜
山形の攻撃は相変わらずであるが、フロンターレも決して黙ってはいない。
浦上選手が大きく蹴り出し、ボールはピッチの左側。ボールを受けた阿部選手が外から回り込む。
山形の渡辺選手(背番号5:DF)がチェックに入るが、ためらいも無くセンタリング。ボールは渡辺選手に接触し、高く浮いたボールは、山形ゴール脇に落下する。
そこには伊藤彰選手の姿が。だが、不思議とオフサイドの判定を受け、最後の形まで持ち込めない。
一度はチャンスが途絶えかけるも、フロンターレも粘りを披露。右サイドで細かいタッチで、巧みにボールをキープする。
センタリングからシュート。ボールは誰かに激突し、跳ね返りを再びシュートする。
このボールは山形の選手に当たり、ゴールラインを割った。久々に訪れた波状攻撃に、フロンターレ&仙台サポーターは、俄然熱く燃え盛る。
オーレ!オーレ!、フーロンターレオーレ!!
オーレ!オーレ!、フーロンターレオーレ!!
久野選手が黙々とコーナーエリアへ
内に秘めた闘志から繰り出される
鮮烈なキックを見せてくれ!
久野選手のコーナーキックは、左に回転。山形も鈴木選手が冷静な判断で、ボールを抑えられてしまった。
なおもフロンターレは右サイドでボールキープ。山形の2人掛かりの守備に、伊藤彰選手が足元で必死に粘る。
更に粘りを効かせ、最後は久野選手がセンタリング。彼らしからぬ精度の低いキックとなり、ボールはゴールラインを割ってしまった。
久野選手も険しい表情を浮かべ、悔しさをあらわにする。ふとゴール裏を見渡すと、観客がぞろぞろと場内に入って来た。
山形は西山選手(背番号10:MF)を投入。ピッチ・スタンドの密度は高まる一方で、騒然の様相を帯びてきた。
選手交代の一瞬の間で、フロンターレは集中力が欠いてしまったのか。直後山形に左サイドの波状攻撃を許し、苦渋のファウルをしてしまう。
左斜め45度、フロンターレゴールからそれなりに距離はあるも、度重なる失態に嫌な予感が脳裏を過ぎる。
心配ばかりが募る場面ではあったが、その不安は杞憂だった。フロンターレは即座にクリアし、高田選手がボールを受けた。
サイドは完全にフリーだ。そのまま全力のドリブルで疾走し、鋭いセンタリングを放ってきたぞ。
慌てた山形のディフェンスも、ヘディングでコーナーキックに逃れるのが精一杯。よし、このチャンスは絶対に決めてやるぞ!
レッツ、ゴー、レッツゴー(ドンドン)
レッツ、ゴー、レッツゴー(ドンドン)
このコーナーキックは
ピッチの反対側に流れてしまった
それでも伊藤彰選手が
ペナルティエリアから必死に追いかける
・・・が、最後は山形のボールへ
判定に納得行かないサポーターは
強烈なブーイングをピッチにぶつける
周囲はにわかに曇ってきた
ピッチに降り注ぐ、晩秋の光
これは昇格への道しるべ?それとも地獄への案内・・・
その結果は、まだ誰も知らない
山形の縦横無尽の攻撃は止まらない。バックラインから太田選手が駆け上がり、ぐいぐいとフロンターレゴールに迫る。
鋭い角度からクロスを放って来た。が、太田選手がバランスを崩してしまい、センタリングの精度も落ちてしまう。
フロンターレも中盤から阿部選手へ。だが瞬時に鷲田選手(背番号22:DF)に奪われしまう。
ならばと今野選手が左サイド。ワン・ツーで軽やかに繋ぎ、ループパスを繰り出してきた。
しかし、これも対応する選手が不在。一度は山形のチャンスに傾きかけた瞬間、スローインから阿部選手へスルーパスが放たれた。
行け!一気に前へ!!が、山形の選手に倒されてしまい、しかも試合は非情にも流されてしまう。
山形の速攻がフロンターを襲う。低重心の攻撃が何度も繰り返すが、フロンターレもゴール前をがっしりと固め、是が非でもゴールを許さない。
最後はこぼれ球をミドルシュート。これは浦上選手がしっかり押さえ、一気の速攻だ。
お返しとばかりに阿部選手がミドルシュート。だがこれもゴール枠を捉えず、残念な結果で終えてしまう。
豪快に左足を振り抜いたが
惜しくも得点ならず
後半も20分を経過したのか。フロンターレは精彩に失せる伊藤彰選手を下げ、スーパーサブの林選手(背番号33:MF)を投入。
選手交代の隙を、山形も見逃さない。山形はフリーキックを素早いリスタートで、右サイドから永井選手が鋭いクロス。
山形はこのチャンスも生かせずも、今度はコーナーキック。大きな助走から繰り出されたボールを、フロンターレもヘッドで弾き返した。
山形の執念は想像以上だ。ピッチで味方の選手が倒れれど、多少でもチャンスがあれば、攻撃の手を緩めない。
フロンターレの守備も集中している。ゴール前に高いボールが上がり、根本選手と久野選手が、激しいヘッドの競り合いを演じる。
山形も最後まで押し切れない。さあ、フロンターレも反撃だ!
左サイドの塩川選手にパスが渡り、ドリブルで一気に前進を図る。しかし、太田選手の執拗なマークに苦しめられる。
何度かボールを奪われかけたが、最後は鮮やかなセンタリング。山形ゴール前では、林選手と鈴木選手が激しい競り合い。
林選手が貪欲にヘッドを試みるも、鈴木選手も負けじとパンチング。フロンターレのビッグチャンスは、短命で尽きてしまう。
一度は周囲に暗雲が立ち込めるも、ピッチに日差しが戻ってきた。手に汗握る攻防は、一瞬たりとも見逃せない。
ピッチは緊迫感溢れる
J1を賭けた山形の意地と
目の前の胴上げを阻止する
フロンターレの意地が激しく激突
地が燃える勝負を目の当たりに
サポーターとしての冥利に尽きる
アレーアレー、アレーフロンターレー!
アレーアレアレー、アレーフロンターレー!
フロンターレは右サイドの塩川選手に攻撃の的を絞る。かつて在籍した山形ではあるが、恩返しとばかりに積極的な攻撃を仕掛ける。
山形の攻撃も容赦無い。必死の形相にフロンターレディフェンスも崩れそうだが、辛くも守り抜く。
山形の猛攻に体力を消耗したのか、フロンターレのスピードは低下の一途。一対一での競り合いは互角だが、スピードで完全に山形に劣る。
ピッチの上空には、再び暗雲が立ち込める。場内の空気は一瞬にして冷え、不吉な予感を暗示させる。
山形はコーナーキックの場面を迎える。跳ね返りのボールは、山形が厳しいシュートを放つ。
だが、これはゴールの枠を捉えない。ゴールポストの上に反れ、逆に山形に焦燥感が漂い始めたようだ。
後半も残り少ない。僅かに許された時の中で、どんな結末が待ち受けるのか。
フロンターレは我那覇選手(背番号17:FW)を投入。石崎監督も古巣に対し温情を切り捨て、勝負を仕掛けて来た。
しかし、フロンターレは再びファウルを犯す。フリーキックから山形の鋭いシュートが放たれ、冷や汗をかく暇も無い忙しさ。
残り時間も刻一刻と減少。こう着状態に風穴を開けるのは、果たしてどちらなのだろうか。
山形の攻撃も厳しさを増すばかり
フロンターレも守りに集中し
ピンチを耐えに耐え抜く
浦上選手も他のディフェンスも
懸命な守備で山形の猛攻に対抗
ヴァーモーおおーおおーフロンターレ〜
ヴァーモーおおーおおーフロンターレ〜
おおおー、おおおおーおーお、おーおおお、おーお
ララーラララーラララーラララーララ〜〜ラ〜
フロンターレゴール付近では、激しい攻防が絶え間ない。久野選手がピッチに倒れるや、山形サポーターから強圧的なブーイングが浴びせられる。
ベティ!ピッチに戻ってくれ!久野選手は担架で搬出され、フロンターレのサポーター復帰を祈る。
その願い空しく、久野選手がピッチに戻る事は無かった。それをよそに、試合は激しく変動するばかり。
両者の執念は激しく拮抗している。J1を賭けた魂の激突が、極限に近い攻防を生み出している。
それでも山形も焦りと疲労からか、攻撃が徐々に乱雑に。安易な縦パスが盛んに繰り出され、フロンターレの守備も的確に応対している。
フロンターレは久野選手に代わり、盛田選手(背番号9:FW)を投入。もう彼の爆発に全てを託すだけだ。
だが、山形に痛恨のファウルを献上。ゴール真正面の、極めて危険なフリーキックを献上してしまう。
山形も最後のビッグチャンスか。山形サポーターも盛大に盛り上がり、場内は極度の興奮に包まれる。
頼む、ガミさん止めてくれ・・・。緊迫した空気が張り詰める中、チーム・選手・サポーター・・・、山形の全ての願いが託された、全身全霊のフリーキックが放たれた。
フロンターレの壁の大島選手が割り込み、ボールはその間をすり抜けた。鋭く厳しいボールが、フロンターレゴールへ一直線と迫る。
浦上選手が決死のダイブでクリア!。こぼれ球を山形の選手が執念のシュートを放つが、浦上選手がこれも抑えた!!。
フロンターレサポーターも大興奮。浦上選手の神業連発には、もう感動の一言だ。
このファウルは危険過ぎる
距離・角度、どれをとっても
山形は絶好の得点機を迎えた
山形のサポーターも死力の応援
J1昇格への必死の願い
熱き願いがピッチを包み
写真と言葉では伝え切れない
全てを託した山形のシュートが炸裂
フロンターレも浦上選手が
超絶的な反応で対抗
絶体絶命のピンチを、凌ぎ切った!
オ〜〜〜、フーロンターレ!
オ〜〜〜、川崎オーオ〜
電光掲示板の経過時間が消え去った。試合はロスタイムに突入すれど、緊迫した場面は一瞬たりとも途絶えない。
と、傍らでは仙台サポーターが絶叫している。前半終了時点で京都と引き分けであったが、どうやら決勝ゴールが決まったようだ。
それでも試合は続行している。仙台サポーターの歓喜をよそに、緊迫した攻防は最後まで絶え間ない。
程なく後半終了のホイッスル。その直後仙台サポーターは歓喜の雄たけびを上げ、山形サポーターは暗い沈黙に包まれる。
先ほどまでの興奮は一瞬にして冷め、場内に沈痛な空気が漂っている。
前節まで勝ち点で並んでいた仙台が90分での勝利。それは山形のJ1昇格が、はかなくも消え去った瞬間でもあった。
だが、この勝負は決着まだだ。これから延長戦に突入すれど、フロンターレの目標は、あくまでも勝利の一点だ!
この時点で仙台のJ1昇格が確定
フロンターレサポーターの傍らで
歓喜に浸る仙台サポーター
方や山形サポーターは沈黙に包まれる
仮に延長で勝利を挙げても
仙台に勝点で追い付けない
山形の夢と希望は、脆くも崩れ去った
だが、勝負に決着はついていない
延長戦、必ずや勝利で
最終戦を締めくくるぞ!
気持ちを入れ替えて、応援再開だ!!
さあ、延長開始だ!こうなったら絶対に勝利するぞ!!
オーオオー、レッツゴー川崎〜
オーオオー、フロンターレー
だが、夢と希望が消え去った山形に、もはや戦う余力は残されていなかった。
フロンターレの攻撃に対し、殆ど無力同然だった。開始間もなく、我那覇選手のVゴールが決まった。
フロンターレの選手とサポーターは喜びに舞う。その傍ら、山形の選手はピッチに崩れ落ちた。
決戦の幕切れは、実に呆気なかった。
我那覇選手のVゴールが炸裂!
激戦を制したフロンターレの選手たちは
喜びを満面にピッチを駆ける
サポーターも勝利に絶叫
辛く厳しい一戦であったが
激戦を制したぞ!
山形の選手が、ピッチに崩れ落ちる
掴みかけた悲願のJ1への道
最後の最後で、こぼれ落ちてしまった・・・
試合後に場内を一周する
山形の選手に対し
フロンターレのサポーターも健闘を分かち合う
そしてエールを贈る
山形DIO!山形DIO!
この1年、様々なドラマが繰り広げられた。最後の大一番はJ1昇格を賭けた戦いに相応しく、最も過酷な91分間であった。
山形の成長振りは目を見張るものであった。胸が熱く燃える試合で応援出来、サポーター冥利に尽きる。
この興奮と余韻は、一生の思い出として私の心に残るでしょう。
だが、冷静にフロンターレの1年を振り返ると、散々な結果であった、絶対目標であったJ1復帰はおろか、最後まで低迷に喘いだ罪は重大だ。
山形を筆頭に、新潟・大宮・大分・・・、そしてJ2降格チームも含め、過酷な来シーズンが待ち受ける。J1昇格が今年以上に厳しい条件となるのは、誰の目にも明らかだ。
監督交代の荒治療に踏み切るも、その効果が不透明なまま、不本意な1年を終えようとしている。
しかし、まだ天皇杯が残っている。石崎監督の下体勢を立て直し、過密日程の来シーズンに挑むだけ。
フロンターレが来年どのように変貌するのかは、私が知る限りでは無い。ただひとつ断言出来るのは、可能な限りのサポートを、これからも地道に続けるだけ。
そう、J1復帰を信じて・・・。
試合後、山形のサポーターは一切荒れる事無く
試合後のセレモニーに挑んでいた
応援熱心で礼儀正しき姿勢は
サポーターの鏡である
山形の選手・サポーターの皆様
感動の一戦をありがとう
来年のJ1昇格を目標に、共に戦おう!